自分de準備。戸籍編

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自分de準備シリーズ、本日は戸籍について。

何で相続税申告や相続手続きに戸籍が必要か、そこからお話を。

 

戸籍が必要な理由

相続税申告にも、相続手続きにも戸籍が必要です。

なぜか。

それは、戸籍でもって法定相続人を確定する必要があるからです。

 

日本における相続関係を規定する法律は民法。

その民法の中、第4編に親族(親族法)が、第5編に相続(相続法)が規定されています。

ここで注意ですが、相続税や贈与税の計算方法は相続税法で規定されているので、別もんです。

 

分け方は民法で、税金は相続税法で、と覚えておきましょう。

 

いわゆる戸籍があるのは、日本と韓国と台湾の3国のみ。

日本においてはこの戸籍によって、親族関係が記録されています。

戸籍を確認することによって、法定相続人の確認をします。

 

法定相続人とは

法定相続人とは、その字の通り、法で定められた相続人です。

ここでいう「法」とは民法です。

また民法が出てきました(笑)

 

相続税業務の難しさの一つに、税金を計算するための相続税法の理解のみならず、

民法についての理解も必要になることが挙げられます。

(法人業務は会社法の理解が必要なのと同じです)

 

なぜ民法で相続人を規定する必要があるかというと、

租税回避行為を取り締まるためというのが一つです。

 

例えば、法定相続人の規定がない場合を考えてみると、

相続税の計算は法定相続人がベースですので、

税金払うぐらいなら放棄して(法定)相続人を増やそうと考えるひとが出てきます。

 

なので、相続放棄も手段として必要なケースはありますが、

相続税の計算上は相続放棄しようがしまいが、法定相続人の数は変更されません。

(放棄がなかったものとして法定相続人をカウントします)

 

法定相続人のカウントの仕方

亡くなったひとに配偶者がいる場合には配偶者は必ず法定相続人です。

亡くなったひとに子どもがいる場合→配偶者と子ども(※1)

亡くなったひとに子どもがいない場合→配偶者と直系尊属(※2)

亡くなったひとの直系尊属が亡くなっている場合→配偶者と兄弟姉妹(※3)

 

(※1)子どもが既に亡くなっている場合には、孫へと引き継がれます、代襲といいます。

子や孫のことを直系卑属(ちょっけいひぞく、と読みます)いいますが、

直系卑属の代襲はその下の世代どこまでも、です。

(※2)ちょっけいそんぞくとよみます。

父母や祖父母など。存命の方で近い方から。(代襲とはいいません)

(※3)けいていしまい、と読みます。

亡くなったひとの兄弟や姉妹ですが、既に亡くなっている場合には、

亡くなったひとからみて、甥・姪に代襲されます。(甥姪への代襲は一代限り)

 

本来であればここに法定相続分や養子が絡んできますが、

これらのハナシはまたの機会に。

 

とりあえず亡くなったひとを出発点に、

親族図表を手書きしてみることをオススメします。

メモ程度で構いませんので。

 

戸籍の請求方法

簡単に親族図表がまとまれば、

戸籍を集める準備の第一歩が整いました。

 

では、法定相続人のどの戸籍が必要なのか?

亡くなったひと→生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍

法定相続人→現在戸籍

が原則です。

(代襲がある場合などはまた異なりますので、要注意)

 

戸籍は本籍地の市区町村役場でしか取得できません。

本籍地が分からない場合は、最後の住所地の役所で

住民票の写しを取得し、その際に本籍地の記載をしてもらいましょう。

そうすると本籍地がどこか判明します。

 

また、連続した戸籍の意味がわからないと、お客様からのお問い合わせがあります。

戸籍は戸籍法が改正されたときや、婚姻や離婚など戸籍に変更事項がある場合には、

新しく戸籍が出来たり、移ったりします。

現在戸籍の前の戸籍を、改正原戸籍(かいせいはらこせき)と呼称したりしますが、

今70歳代以上の方は、少なくとも3~4回は戸籍が移動しています。

 

よって、亡くなったひとの戸籍はいくつも必要です。

戸籍がつながっているかどうか、読み方なんかわかんないよ、といわれそうです(笑)

そんなときは、戸籍の窓口でこう伝えましょう。

 

相続で亡くなったひとの生まれてから亡くなるまでの戸籍を集めている。

この役所で集められる戸籍を全て欲しい、と。

 

窓口で請求する場合には、どうつながっているか教えてもらいましょう。

具体的には、その戸籍が作成された日付と、ひとつ前の戸籍が有効だった日付が

一致していればいいのですが、昔の戸籍は基本的にすべて手書きです。

非常に読みづらい、わたしも苦戦するときがあります。

(現行は電子化されていますので、読みやすいです)

 

戸籍の請求は窓口に行かなくても郵送でも可能です。

本籍地が遠方の場合は、郵送で請求しましょう。

その際にも、上記の連続した戸籍を集めている旨を書き添えると親切です。

 

郵送請求する際のコツですが、

手数料は現金ではなく、基本的に郵便小為替を使用して支払います。

郵便小為替は郵便局で発行してもらう小切手のようなもの。

この郵便小為替は多めに添付するのがコツです。

戸籍が予想以上に多く、手数料として足りないと、

郵便小為替だけまた送るという手間が発生します。

余った小為替は返却してくれますので。

 

亡くなったひとの本籍地は遠方であることも多いです。

その際には戸籍の附票も一緒に請求しておきましょう。

戸籍の附票とは、戸籍についている住所地の変遷を記録した帳票です。

相続税申告や後述する法定相続情報一覧図の写しの請求の際に

必要となる場面がでてくるときがあります。

一通で構いませんので請求しておきましょう。

あとで別に請求すると、正直言ってめんどくさいですよ。

 

まとめ

戸籍を収集する際には、

相続税申告がある場合はすべて2通ずつ請求してください。

これは、相続手続きで1通、相続税申告で1通、それぞれ原本が必要になるためです。

 

逆に相続税申告がない場合は、1セットで良いかと。

相続手続きでは、原本還付をおねがいすれば基本的に原本は返してくれます。

 

次回は法定相続情報一覧図について、お伝えします。

 

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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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