土地の値段はひとつじゃない。
お客様とお話ししているとよく驚かれます。
考え方の基礎を整理します。
土地の値段はひとつじゃない
何を言ってるんだと怒られそうですが(笑)
モノの値段はひとつ、と教えられることもなく
体感して経験してきて今を過ごしていると、
もはや常識かもしれませんが。
相続の世界では異なります。
特に土地の値段は、その計測の仕方で全く異なります。
相続税の計算をする際には、相続税評価額という値段を使います。
これは、相続税を課するのに公平な方法で、という観点から
財産評価基本通達(財産を評価する基本ルールと読み替えて下さい)にて
基本的に評価(計算と読み替えて下さい)します。
申告者が好き勝手に財産を計算できてしまうと、
課税の公平性が損なわれてしまうからです。
わたしがお客様に相続税申告について、お話ししたり報告したりする際には
必ず注意事項として、税金を計算するためだけの値段です、とアナウンスします。
時価じゃないの?って、よく聞かれますが(笑)
一物多価
土地の値段は様々です。
それは目的それぞれによります。
相続税の計算のため→相続税評価額
固定資産税の計算のため→固定資産税評価額
売買のため→時価
取引価格の指標のため→公示地価
など、その目的のためにイロイロな値段があります。
ひとつのモノにイロイロな値段が付く状態を一物多価(いちぶつたか)と言います。
不動産を取引したり、相続税の計算をしたり、
どの場面での何の価格かを意識していないと、勘違いが発生しますのでご注意を。
一方でモノの値段をつける、決めることは経営と直結します。
飲食業であれば、原価や人件費などを積み増して、いくらで売るかを計算したり。
税理士業であれば、時間単価でサービスの値段を決定したり。
当たり前ですが、モノの値段は売り上げに直結します。
そして、一度下げてしまうと上げづらい(笑)
値段をあげる理由が必要です。よく原材料費の高騰などのワードを耳にしますよね。
お客様の中には、値段を感覚で適当に設定している方もちらほら。
そういう方に限って、経理がズタズタで月次試算表すら確認できず
感覚で意思決定をしがちです。
では、自分自身が独立した際にはどうするのか?
税理士業では未だにHPで報酬規程を公表している同業者も少なく、
それゆえにお客様から見るとハードルが高いと感じられることもあるでしょう。
少なくともわたし自身はサービスの値段を公表して、定期的に見直すつもりです。
ひとり税理士であれば、人件費はわたしの分のみですから、
大手の事務所よりも価格を抑えられるメリットはあります。
独立当初はもちろん実績がないので、
実績作りのためにも値下げをせざるを得ない場面もあるでしょう。
値下げするにしても値段を決定するにしても、すべて自分自身の責任で行う必要があります。
自分の価値、提供できるサービスの価値を自信をもって提示できるように、
いまから色んな先輩方の報酬を参考に、考えていきたいと思います。
まとめ
昨日は、3年ほど前に相続を担当したお客様からご連絡があり、
相続した実家を売却したとのこと。
譲渡所得税がかかりそうなので、相談しましたと嬉しいお言葉が聞けました。
期待に応えられるよう励みます。