現預金の贈与は手順が大事。

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klimkin / Pixabay

確定申告のこの時期は、所得税のみならず

贈与税の申告時期でもあります。

贈与についてもよく相談をうけますが、贈与は手順が大事です。

 

手順① あげた証拠を残す

現預金の贈与では、証拠が大事です。

証拠を積み重ねて、キチンと説明できるような準備が必要です。

 

ひとつは現金であげないこと。

家に貯めておいた現金をあげると、証拠は残りませんね。

でもどこかのタイミングでその貰ったお金を銀行口座に入金するとします。

すると、そのお金はどこから来たの?という問題が発生します。

 

これを専門的なことばでは、出捐(しゅつえん)といいますが、

要は「どちらさんですか?」ということです。

 

現金だとバレないと考えるひとが多いようですが、

このひとつのことを取り繕うだけで、いくつも嘘を重ねます(笑)

そういうところから綻んでいき、最終的には墓穴を掘っているパターン。

非常に多いです。

 

疑われたくなければ、

預金口座同士でやり取りしましょう。

そうすると、預金をあげたひと、もらったひと、双方にお金を動かした履歴が残ります。

 

さらには、贈与契約書を交わして

あげました、もらいました、を堅固なものとしましょう。

 

贈与は口頭でも成立してしまうので、

逆に口頭のみではなく文書で残しておくことで、証拠となり得ます。

余裕があれば、公証人役場で確定日付を取りましょう。

確定日付があれば、その日付の時点で確かにその文書があったことを証明できます。

後付けで、日付をさかのぼって書類を作ったでしょ?という

疑いを晴らすことが出来ます。

 

さらにさらに預金口座の管理は必ず、お金をもらったひと本人が行いましょう。

お金をあげたひとが、通帳も印鑑も管理していると、

名義預金と濃厚に疑われます。

これを覆すのは、税理士でも難しいです。

 

なにより一度疑われると他にもある!と税務署のひとには思われるので

追及はどんどん厳しいものになります。

 

手順② もらった証拠を残す

もらった証拠を残すことも重要です。

 

 

必要の際には少しそこから出しても良いかと。

なぜかというと、

税務署の調査官などは、もらっているのに使ってない、なぜだ?となり、

使ってないんではなくて、使えなかった、もらっているのを知らなかったのでは?

そう考えたりもします。

 

お孫さんへの贈与などは、使わせてしまうと

その子の金銭感覚が狂ってしまって心配だ、という声をよく耳にします。

そりゃそうですよね。

月々のおこづかいが、千円、二千円のこどもが

ポンと百万円もらおうものなら。自由に使って良いよと言われようモノなら。

ゾッとします(笑)

 

心配な気持ち、よくわかります。

その心配な気持ちが、通帳や印鑑をお金をもらったひとではなくて

お金をあげたひとが管理する、もらったひとがその預金の存在をしらない、

そのような名義預金を生みます。

 

名義預金と疑われたくなければ、

もらったひとがその貰ったお金を管理している、

使ったり運用したりしている、そういう証拠が必要です。

 

特によく使われるのが、生命保険への加入です。

保険料の贈与などと言われたりもします。

お金をもらったひとを契約者として保険に加入し、

保険事故が発生した際には、保険金を受け取り所得税を払う。

この仕組みをうまく使って、相続税の課税から切り離し、

なおかつ納税資金に充てる。

この流れは非常に有効です。

 

よくある勘違い

贈与はバレない、そのように税理士に堂々というひとがいます。

贈与はそれ単体で税務調査が入ることは基本的にはありません。

 

贈与がバレるのは相続のときです。

相続の際には、相続税の申告書を税務署に提出すると

亡くなったひとのみならず、親族は基本的に預金の履歴を調査されます。

不審な動きや入出金がないかどうか入念にチェックされます。

 

その権限は、一般の人が考えるよりもはるかに強力です。

今後はマイナンバーが預金口座に紐づけされることもあり、

預金計上漏れや、贈与の漏れ、名義預金の指摘は一層増えるものと考えられます。

 

最後に一言。

相続税の税務調査で、一番計上漏れの指摘や

修正申告の指導を受けるのは「現金」です。

 

国税庁のHPでも公表されていますので

興味のある方は是非ご覧ください。

 

まとめ

たかが贈与と思っていると、相続の税務調査で痛い目にあいます。

わたしも税務調査で名義預金の指摘をうけたことがあります。

追徴課税は、何百万円にもなりうる世界です。

贈与は、実行する前に必ず税理士に相談することをオススメします。

 

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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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