相続税申告書の電子申告対応ハードルは高い!?考えてみた。その①

ハードル

Pexels / Pixabay

平成30年1月16日に政府官邸により

デジタル・ガバメント実行計画が発表されました。

その中で相続税の申告書を電子申告できるようにしよう!という計画が盛り込まれました。

相続担当者として実現可能か、実現へのハードルを考えてみたいと思います。

デジタル・ガバメント実行計画とは

まずはデジタル・ガバメント計画とはなんぞや、

ということから考え始めましょう。

わたしはこれに関する報道を目にするまで

デジタル・ガバメント実行計画については知りませんでした。

(エヴァンゲリオンのヤシマ作戦みたいですね(笑)怒られそう)

デジタル・ガバメント実行計画とは

本格的に国民・事業者の利便性向上に重点を置き、

行政の在り方そのものをデジタル前提で見直す

デジタル・ガバメントの実現を目指すこととされている。

とされ、デジタル・ガバメントとは電子行政の意味で使われているようです。

全部漢字にすると「電子行政実行計画」。

デジタル・ガバメントの方が良さそうです(笑)

この計画が目指すべき姿として

1.必要なサービスが、時間と場所を問わず、最適な形で受けられる社会

2.官民を問わず、データやサービスが有機的に連携し、新たなイノベーションを創発する社会

を掲げています。

ものすごーく簡単にすると

行政サービスに電子・デジタルの良さを取り込んで便利にしよう!ということです。

マイナンバーも始まったばかりで

本格的な運用はまだまだでしょう。

マイナポータルにしても、見たことがあるひとはほとんどいないはず。

わたしも今度マイナポータルを覗いてみます。

その様子もブログのネタとして、アップする予定です。

行政分野のデジタル化が目的ですが、

政府のいう行政分野には、税金の分野も含まれています。

税金は最終的には国の歳入=収入ですので、

これをコントロールすることは行政分野を支える大きな役目です。

よって、電子行政の推進とは

税金の分野では電子申告を推進しよう、というハナシの流れになります。

電子申告の利便性とは

政府の立場として、行政サービスに電子の良さを組み込んでいこうよ!

と掲げているわけですから

税金の分野における電子申告の利便性に触れておきます。

電子申告とはe-tax(国税はe-tax、地方税はeL-tax)というシステムを用いて、

所得税、贈与税、法人税、地方法人税、消費税などに係る申告

全税目の納税

これらの税目に関する申請・届出等

を管理しています。

管理運営は国税庁が担っており、2004年から開始されています。

電子申告のメリットは

1.確定申告時期は24時間提出可能。

(法人の場合は24時まで)

→個人の所得税については自宅でいつでも申告できます。

このメリットは大きいと個人的には思います。

確定申告時期の税務署を見たことがあるひとならば、これについては強く感じるはずです。

申告書を出すのに、1時間も2時間も並ぶことには

税理士事務所に勤めるわたしでも抵抗があります。

時間がもったいないですよね。

郵送にしたって、郵便局に提出用と控え用を持って行って

出すのは面倒です。

郵送だと郵送費用が掛かります。チリも積もればで馬鹿になりません。

2.書類の添付と署名・押印を省略できる

5年間の書類の保存は必要ですが、申告は電子データで行われますので

添付書類は要件を満たせば提出不要です。(第三者作成書類といいます。今回は説明を省略します)

手書きの場合は、申告書に署名と押印が必要になります。

これが電子申告であれば、不要です。手間が省けます。

3.計算ミスを防ぐことが出来る

申告書はいまだに手書きじゃないとイヤ、みたいなひともいますが

手書きだと結構な頻度で書き間違い、計算間違いが発生します。

その度に書き直しが必要に。

確定申告書作成コーナーでは電子申告ではなく、

書面提出の場合でも申告書を作成することが出来ます。

作成したものについては基本的に入力した情報に基づいて

申告書が作成されますので、入力さえ間違えなければ計算は間違いはないです。

その他、還付が早いとかのメリットもあるにはありますが

インパクトとしては弱いです。

(せいぜい1~2週間早いだけですから)

大きなメリットとしてこの3点を知っておきましょう。

相続税申告書の特徴

電子申告のハードルを検証する前に

相続税申告書の特徴をおさらいしておきましょう。

1.相続人がまとめて提出できる

相続人がひとりの場合であれば問題ありませんが、

相続人または受遺者(遺言で財産をもらうひと)が複数の場合はどうするのか?

お客様からもよくある質問です。

原則は、一対一の関係ですので

相続人ごとの申告書提出となります、が。

結局は亡くなったひとの財産に対して相続税がかかることは

どの相続人にとっても同じです。

便宜的、特例的な取り扱いで

相続人・受遺者はまとめて相続税の申告書を提出することが出来ます。

申告書の提出先は亡くなったひとの、亡くなった時点の納税地管轄の税務署です。

2.明細が多い

通常、所得税確定申告であれば、添付する書類は青色決算書など。

法人税申告であれば決算報告書、勘定科目内訳書など。

相続税の申告書にも添えるべき明細があります。

その多くが財産の種類ごとにあります。

土地、建物、上場株式、非上場株式、定期金などなど。

つまりは財産の種類が増えれば増えるほど

明細書の数はふくれあがります。

3.添付書類が多い

評価に関する明細書のほかにも添えるものがあります。

添えるもんばっかです(笑)

相続税の申告書には明細書のほかに

亡くなったひとの生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍

相続人の現在戸籍

→法定相続人を確定させるため

遺言書または遺産分割協議書の写し

→財産が分けれていることで適用できる特例があるため

かつ、財産の取得割合で税金の負担割合が変わるため、誰が何を相続するのか確認するため

遺産分割協議書がある場合には、相続人全員の印鑑登録証明書

などなどです。

相続税の申告書は書面提出ですが、

分厚い場合には3~4cmを超えることもしばしば。

分量の多いことがその大きな特徴です。

まとめ

相続税申告書を電子申告できるかのハードルを検討する前段階で

本日はひとまずここまで。
明日は具体的にハードルを検証します。

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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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