先日手に取った本で自分の事業を売るつもりで事業をしていますか?という問いかけがあり、そういえば全くそういう発想はなかったなと。
税理士業界でも事務所のM&Aの話をちらほら聞くことが増えてきました。果たして自分の税理士業が売れるか否か、ここで書いて整理してみます。
そもそも税理士業は売れるか
自分の事業を売るとは文字通りM&Aで例えば成長著しい、拡大志向の税理士事務所などに自分の税理士業を売却するということ。
お客様のサポートで事業承継に関することも行っていますのである程度はわかっているつもりですが自分の事業についてどうか、というのは全く想定していませんでした。
税理士という身分は一身専属と表現されることもありますが、要は相続していくことができないということです。
もし自分の事務所を引き継いでもらおうと思うと税理士資格を持っている人(子や孫に限らず)に引き継いでもらうほかありません。
そのほかの選択肢としては事務所を一定年齢になったら廃業する、もしくは売却するということが選択肢です。
お客様の立場で考えると依頼している税理士事務所が廃業するとなると次を探す必要がでてきます。
この場合、急な病気などでない場合にはある程度計画的に廃業予定の税理士から次の税理士の紹介あっせんがあることが多いようです。
年齢的な要素としては税理士は高齢化がかなり進んでおり、お客様もともに年を取っていることもあって廃業予定で引継ぎ先を一緒に探してくれるというのは安心でもあるでしょう。
ただし探したからと言って必ず希望に沿った税理士が見つかるというわけでもないようです。ここにも廃業での引継ぎの難しさがあると。
また、代替わりを予定している場合には税理士が廃業予定のその時に税理士事務所を次の世代の経営者が探すということも見聞きします。
一方で税理士事務所を売却して買い取ってもらうとなるとお客様の理解を得られるかどうか聞いたところでは結構ハードルが高いようです。
その税理士にお願いしていたから、ということだったり次の税理士と合わない可能性もあります。
税理士事務所のスタッフも一緒に継続雇用して、ということで税理士法人の支店化して購入側から税理士を送り込んでしばらく運営するということもあるようです。
この場合でもスタッフ側の反発があると上手くいかないケースはでてくるでしょう。
お客様を引き継いでもらうにせよ事務所を買ってもらうにせよいろんなハードルが想定されますが、そもそも自分の事務所そのものに市場価値がなければ買い手もみつかりません。
実際に事務所の売却を考えるのではなく、買ってもらう前段階での事務所の市場価値を測るうえでどういう要素が必要か考えてみます。
売るには何が足りないか
税理士業でいうと年間の顧問料+決算料(個人の確定申告も場合によっては)が売買価格の目安のようです。
スポットで入る相続などの業務は考慮しないと。
また売却時点で契約解除になってしまった場合にはその分も考慮するわけですから大体年間顧問料等の8割ぐらいが売買価格の目安ラインで考えてもよさそうです。
価格については目安があるとして実際に査定を受ける上でどういったことが必要になりそうか。
お客様の顧問対応や決算についてはほかの税理士が担当することになるわけですからその情報がいかに整理されているか。
月次についてもスタッフがやっていて属人化しすぎていると引き継ごうにも引き継げないということになります。
システムを使っていてExcelなどを駆使している場合でもシステムやExcelマクロ、RPAなどに大きく依存している場合には外から見てわからないこともあるかもしれません。
まだシステムに関しては大きな税理士法人であればSEがいたりして対応可能な部分はあるでしょう。
ネックとして考えられるのは属人化しすぎている事務所運営です。
その税理士に依頼しているはずですからある程度の属人化、その税理士しかわからないこと、処理などはあってしかるべきな部分もあります。
その人に依頼してますからね。
キーになるのは属人化が一定割合あったとしてもそれを外から来た税理士が見た時にちゃんと処理できるかどうか。そこじゃないかなと。
顧客カルテなどもそうですしマニュアルなどスタッフだけではなく所長税理士しかしらない情報がないか、どこまで棚卸できるかもより重要性が増してきそうです。
まとめ
マニュアルの整備ももちろんですが事務所内の業務で属人化しすぎている部分がないか。少し違った視点で税理士業を見直しておくことは別の面で良いことだと考えています。
自分に万が一があったときと対応としてはよく似ているかなと。そのつもりで整理しておきたいところです。いまのところ税理士業を売却する予定はないですが。
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