独立後は自分のフィールド、つまり勝負するところをしっかり見極めることが必要だと考えています。
税理士として個々の能力ももちろん大事ですが、勝負する場所を間違うと勝てる勝負も勝てず、むしろ負け続けることになります。
どこで勝負をするかの見極め、フィールドを探すことについて書いてみます。
自分のフィールドを探す
例えば釣りをするにあたって、その場所でずっと釣りをする人がいます。釣れるときはいいのですが、釣れないときもそこにいては仕方がありません。
どれだけいい道具を使っても、どれだけいい餌を使っても、そこに魚がいないと釣れないわけです。
釣り人は意外と短気な人が向いていると言われるのは、そういう状態になったときにサッと切り替えて釣り場を変えることができるからだとか。
魚がいないのであれば、そこは勝負するところじゃないということです。
私は学生時代にラグビーをしていた関係で、今でもラグビー観戦をオンラインでしたり、ラグビーに関する記事を読むことがあります。
ラグビーは15人でプレーするのですが、それぞれのポジションで特にセットプレーとそこから2~3フェーズぐらいまでは高度に役割分担されています。
オフェンスもディフェンスも組織化されており、自分の役割をいかに果たすかということが重要なのですが、私はプロップというポジションで学生時代はプレーしていました。
簡単に言うとスクラムの一番前で相手と組み合うところで、ラインアウトだとジャンパーを下から支える、球技なのに試合中はほとんどボールに触らないポジションです。
ラグビーの花形はバックスの中のウィングと呼ばれる一番外にいるプレーヤーです。そのポジションだとトライを取ることが多いので。
つまり足が速くないとウィングができないわけで、私は体が比較的大きく力も強いのでウィング向きではありません。
私がウィングをしてもトライはできないですし、勝負するところが違うと言えます。
逆にウィングのプレーヤーはスクラムを組むと不利になりますし、ラインアウトでジャンパーを持ち上げることも難しいでしょう。
適材適所とも言えますが、自分がどこを土俵にするかはやはり大事だということです。
税理士業界でのフィールド選び
少なくとも勝てそうなところで勝負しないと、いつまでたっても役に立てないわけですから、自分のフィールド選びはとても重要ですし、「なんか違うな」と思ったら勝負どころを変える必要があります。
ビジネスでもそれは同じですし、税理士業でも考えていく必要があります。
ひとりでやっているのでリソースは限られますし、競合相手が大きいとか取り扱う金額が大きいところは一人でやり切れない可能性もあります。
例えば独立してM&Aや組織再編など、大きな事務所で受注することが多い業務などを手掛けることができるかどうか。
依頼者側もひとりでスモールにやってますというところに依頼はしづらい事情もあるでしょう。
上場企業の税務顧問をするかと言うと、そういうところは監査法人の系列の税理士法人に依頼していたりしますので難しいです。
発信での営業もそうで、ご依頼をいただきたいターゲットになる顧客のペルソナをしっかり設定して、そこにアプローチできるようにしないと、意図しない顧客からしか依頼が来ない可能性もあります。
もっというと魚がいないところでずっと釣り糸をたらすことにもなりかねないので、自分のフィールドが今ここで大丈夫なのかは定期的に見直したほうがよいです。
その手探りの期間というのは人それぞれですが、例えば2~3年ぐらいかけてフィールドを見つけていくというのも私はいいと思っています。
実際私もそれぐらいかかりましたし、独立したときにはフィールドを広く設定しすぎていました。
まとめ
独立当初は誰しもフィールド設定を広くしがちですが、釣りのように「魚がいないところで釣り糸をたらし続ける」ことのないよう、戦略的にフィールドを絞り込んでいくことが必要です。
1. 自分の強みを正確に把握する
- 体力やスキル、経験値を客観視する
- 得意分野と不得意分野を明確に区別する
2. 勝負できるフィールドを見極める
- 競合が強すぎる分野は避ける
- 自分のリソースで対応可能な規模の案件を狙う
- 一人事務所の強みを活かせる領域を探す
3. ターゲット顧客を明確にする
- ペルソナ設定をしっかり行う
- 自分のサービスを求める顧客層を特定する
- 意図しない顧客からの依頼ばかりにならないよう注意する
4. 定期的な見直しを行う
- 現在のフィールドが適切かを定期的に検証する
- 「なんか違うな」と感じたら勇気を持って方向転換する
- 2~3年かけてじっくりとフィールドを見つけることも必要