ありがたいことに、先日から顧問契約の件数が増えています。以前から私は顧問契約の件数について、ぼんやりとではありますが限度を設定しています。
それは自分が見切れる件数に限度があるというキャパシティの問題でもあり、自分の仕事の質をキープしたいという思いもあるからです。今回は顧問契約の件数について、自分が思うところを少し書いてみます。
顧問契約の考え方
私自身は、独立したときに相続部門に長くいたこともあり、相続をメインにやっていこうと思っていました。
ただ、営業するうちに今のスタイルに落ち着いてきて、漫画家や同人作家、同人ゲームクリエイターのお客様がかなり増えています。
確定申告時期だけで言うと、申告件数は40件近くあり、半分以上が事業所得による申告です。つまり、事業者としてそれなりにボリュームのある申告を扱っていることになります。
当初は年一契約でも良いと思っていましたが、最近は顧問契約をお願いするようにしています。
年に1回の契約で申告を対応するというスタイルもあるのですが、それだと受けられる件数が限られること、また件数が増えてしまうと年間を通じて記帳を整えておかないと、年が明けてから睡眠もままならない状況になりかねません。
そうなると私自身の健康はもちろん、お客様の申告の質も下がる可能性があります。睡眠不足や過度な忙しさが仕事のパフォーマンスを下げるのは、どんな職種においても言えることでしょう。
ですので、ある程度件数をコントロールしたいというのは、漫画・同人作家の方の顧問が増えてきてからずっと考えていることです。
件数の考え方にもいろいろある
例えば、大きな税理士法人であれば、チームで対応すべき複雑な案件というものが確かにあります。私も以前は税理士法人に勤めていたので、そういった案件のイメージはわかります。
税理士が複数の目で検討した方が良い事案というのは確かにあり、そういった場合は件数よりも規模感でカウントする方が実態に合っているでしょう。
私の場合、法人でも大きなところはありますが、個人事業主の方は売上1億円前後までが多く、ボリュームゾーンは5,000万円以下の方が圧倒的です。ですので、規模感での判定よりも、件数での判定の方が合っていると感じています。
件数についてもさまざまな考え方があり、例えば記帳代行をメインにしてパート・アルバイトをたくさん入れ、税理士1人で60件・80件・100件とこなすという方法もあります。
ただ、前述のとおり私は自分の仕事のパフォーマンスや質を落としたくありませんし、お客様にご迷惑がかかる可能性も出てくるので、そういった仕事の仕方を私自身はしたくないと思っています。
もちろん、件数が多くても質が担保できる税理士もいると思いますが、私の場合は件数が多くなればなるほど質の低下が起きる可能性が高まります。
そのため私が顧問件数の目安にしているのは、「自分が税務調査に対応できる件数」です。現状、私の事務所は税理士が私1人で、申告書もすべて自分を通しており、すべての責任は私にあります。
税務調査の件数をゼロにするのは実質的に難しいので、それを見越した上での件数コントロールをしておく必要があります。
昨年も私の事務所で規模の大きな法人の税務調査対応がありましたが、それなりに時間が取られ、精神的な疲労も大きかったです。
私でもそれだけ大変でしたから、お客様はもっと大変だったと思います。比較的穏やかに済んだ調査ではありましたが、すべての税務調査が穏やかに終わるとは限りません。
年間4〜5件の税務調査であればまだ何とかなると思いますが、それが2桁になるような件数を受けていると、1人で仕事を回すのは不可能になります。
昨年久しぶりに事業者の税務調査に対応して改めて感じたのですが、税務調査はやはり交渉の場であり、過去の処理をチェックされるという、あまり気持ちの良いものではありません。それは私も、お客様も同じです。
ですので、普段の税務処理からきちんと丁寧に対応できる件数としても、「税務調査を基準にした件数の目安」は有効だと思っています。
規模の大きなお客様をどんどん受けていくような話になってくると、税理士1人ではなく2〜3人での対応が必要になりますし、そうなれば組織の問題として考え直す必要があります。
現状、私の事務所は私と学生アルバイト(週1日)という体制です。増やすとしてもパート・アルバイトを1〜2人程度でしょう。
それでも日常処理はうまく回る可能性はありますが、税務調査を念頭に置いた件数を考えると、少し限界に近づいてきているなという感覚はあります。
まとめ
顧問契約の件数管理は、単なる効率の問題ではなく、お客様へのサービスの質と、税理士としての責任を守るための問題でもあります。
私が件数の目安にしているのは「税務調査にきちんと対応できる件数かどうか」という基準です。件数が増えることはありがたい反面、1人事務所としてのキャパシティには正直な限界があります。
量を追うよりも、一件一件に丁寧に向き合える環境を整えることが、結果的にお客様にとっても、私にとっても、より良い関係につながると考えています。
