税理士の仕事も過剰とは言わないまでもサービスを求められることはあります。お客様に見えないものを提供しているわけで、その辺は難しさも感じるところですが、過剰サービスにはならないように気をつけています。今日はその辺の話を少し書いてみます。
過剰サービスをしてしまうタイミング
何か物体があるものを販売している場合は、そのものをタダで提供したり、安く提供したりということで比較的目に見えやすいと思います。サービスとしておまけをつけることも可能ですし。
税理士の場合は見えないものを提供している、知識を提供している面もあるので、サービスとして値引きを求められたり、もう少しタダでやってほしいみたいなこともあるかと思います。
そういったことをしてしまいたくなるタイミングがあるかなと考えると、私の場合は例えば無料相談をしていて、その後の契約や相談料をいただきたい、顧問契約が欲しいと考えたときにそういうことをしてしまっていたかもしれないと、今書きながら思い出しています。
早い段階で無料相談をやめて有料相談に移行したのですが、少しの間、無料相談をしていました。
無料相談の場合は自分の時間を切り売りしているわけで、その場で終われば報酬はなしです。その時間以降に報酬が発生するご依頼をいただけなければ、結局タダ働きになってしまいます。
税理士の場合は知識という目に見えないものを提供しているわけで、無料相談もそれなりに価値がありますが、やはり無料で答えられる範囲というのは限られています。
そういったことを考えると、私にとって無料相談をしている状況は、それ以上のことをサービスとして提供してしまうことをやってしまう状況になりかねないということです。なので、私自身は無料相談をやめてから、自分が過剰サービスにならないようにというのは気をつけています。
具体的にどういう対策が必要か
私は無料相談を辞めたことで、ある程度自分の報酬と時間、また手間を検討するようになりました。無料相談をやめるというのは、1つの選択肢として持っておいたほうがいいです。
有料相談の場合はその時間だけである程度完結できますし、さらにその後のご依頼につながりやすかったりします。もちろんスポット相談は顧問契約やその後のご依頼を前提にしないようにしていますので、相談だけで完結できるようにしています。
なので私はいつも、その後、例えばスポット相談の後に申告のご依頼や顧問のご相談をいただけるかなという雰囲気になっても、少し時間をおいて考えてもらうことをお勧めしています。
必ずしも私に依頼をしなければならないというわけではないからです。その入り口の部分が無料だと、どうしても後の契約が欲しくなってしまうというのは、人間として素直な反応だと思います。なので、まずは無料相談を止めてみるというのはいいと思います。
他の対策としてはビジネスマンとして仕事をする上で、報酬の話はやはり切っても切れないので、必ずその話をするということです。
先日も事情があって早く決算を終えたいというお客様がいらっしゃったのですが、やはりその分こちらの業務密度は高くなりますし、普段よりもより前倒しで作業を進めていく必要があるので、割増しの料金をいただかないと難しい旨を素直にお伝えしました。増額の申し出があればもちろん嬉しいのですが、こちらからもきちんと報酬の件については伝えるようにしています。
もし自分のサービス提供のメニューや価格表がないのであれば、まずはそれを作ってみることもお勧めです。自分がこれぐらいの報酬をもらってこの仕事をしたいと考える内容を、きちんと価格表に落とし込めるかどうかは、自分の仕事と向き合うことでもあります。
もちろん価格に見合わないサービスや報酬体系になってしまっていることもあると思いますが、それはその都度直していけば良いので、そういう意味で価格表は流動的なものだと私は考えています。
一度決めたらその報酬でずっとやらないといけないというわけではないので、お客様の状況によって変える部分もあれば、ご依頼の内容や自分がその作業や仕事に対してどれぐらいの時間がかかっているのかということも含めて、価格設定を見直すというのも、事業を続けていく上で必要かなと思います。
スーパーと比べると少し状況は違うかもしれませんが、それでもコンビニやスーパーなど普段買い物する場所でも、比較的価格というのは流動的なものになっているはずです。
1週間前でも、例えばある品物は先週はこの値段だったのに、今日は違う値段になっていたということもあるわけです。なので、税理士の報酬も決して固定せず、ある程度、毎日変えるわけではないですが、流動的に考えておいても良いかもしれません。
まとめ
過剰サービスを防ぐためには、まず無料相談をやめて有料相談に切り替えることが効果的です。入り口を有料にすることで、自分の時間と報酬のバランスを意識できるようになります。
また、報酬の話を遠慮せずにきちんと伝えること、そして価格表を作って自分の仕事を見つめ直すことも大切です。価格は一度決めたら固定というわけではなく、お客様の状況や業務内容に応じて柔軟に見直していくものだと考えています。見えないサービスを提供する税理士だからこそ、適正な対価をいただくことを意識していきたいですね。