確定申告の時期が近づいてくると、スポット相談の頻度も増えてきます。私の事務所では無料相談をやっておらず、スポット相談でも有料対応にしていることの効果について少し書いてみます。
無料相談をやらなくなった理由
私も以前は独立したときに少しだけ無料相談をやっていたこともあるのですが、なかなか依頼につながらなかったこともあり、無料相談を止めて結構経ちます。
スポット相談は有料対応にしているのですが、無料で情報を取りたい人というのはやはり一定数いて、こちらができるサービス提供は知識や情報提供になりますので、そこに価値を感じない人も実際のところはいます。
一方で、有料対応を求める方も一定数いて、どこに違いがあるのかなというふうに感じることも多いのですが、やはり自分が得られる情報にどういう価値を求めるかで変わってくるのだと思います。
私は以前勤めているときにも無料相談の対応をしていたことがあるのですが、無料相談から実際に報酬が発生するような依頼につながるケースは私の経験上ほとんどありませんでした。
もともと相談をして依頼をするということが前提になっている場合は良いのですが、そうではないケースも実際のところは多いです。
ご紹介の場合には依頼前提ということもあるかもしれませんが、そういった場合でも実際に依頼につながるかどうかは未知数です。紹介してくださった方と相性が良いケースももちろん多いのですが、ご紹介いただいた方と相性が良いかどうかはまた別の問題です。
こちらが提供する有料相談に対して報酬を支払えるかどうかというのは、やはりお客様を選ぶ上ですごく大事なことだと私は思っています。
無料相談をやめたもう一つの理由としては、やはり回答が限定的になるということです。個別具体的な相談の内容になってくるとやはりシミュレーションなども必要ですし、その人にとってどうかということを判断する必要が出てきます。
無料相談は一般的な事柄でしかお答えできない(責任を取れないため)というのが大前提にあり、相談者の方の個別な事情を考慮して適切なアドバイスをしようと思うと無料の範囲では難しいです。
いまは書籍でもネットでも情報があふれていますがそれはすべて一般的なはなしで、相談者のかたにたまたま合致する話があったとしても個別な内容に答えているわけではないでしょう。
無料相談はより相談対応でお答えできる範囲が狭いと考えていただいたほうがよいですね。
最近でもあったのが、漫画家や同人作家の方の法人化についてのご相談でした。
ご相談の前段階で、こういったケースは法人化して良いものかどうかという内容だったのですが、私の事務所ではそれを勧めていません。
ざっくりとした内容にはなるのですが、こういった理由で法人化を進めていないので、他の先生のところに相談にいかれたほうがいいと思いますということをお伝えした次第です。
入り口の地点でミスマッチが起きていると、やはりその後もなかなか相性という意味では難しいと思っているので、そういう意味では無料相談をしないでおくことのメリットもあると思います。あくまで問い合わせという形で対応するに止めているということです。
有料相談の良さ
スポット相談は有料相談になるのですが、やはり一度相談してそれで満足する方も一定数いらっしゃいます。
それっきりという方もいらっしゃいますし、私の事務所ではスポット相談を顧問前提にしていないので、そういったこともあってスポット相談をご希望される方も多いです。
その後、顧問に移行される方も継続してスポット相談になる方も、もちろんいらっしゃるのですが、スポット相談だと個別具体的にアドバイスやこうしたほうが良いということをお伝えできる点は私はすごく気に入っています。
私も税務のことで少し迷ったりマーケティングのことで聞きたいとなったときはスポット相談を利用することがあります。
有料相談だとその場限りでも私の悩みや判断に資する内容をしっかり答えてもらえるというのは、私も何度も経験がありますし、例えば税理士さんだとではこうしてはどうかというご提案をいただけるととても安心します。
そこに相談の価値があると思いますし、無料相談だとなかなか難しいです。
有料相談には有料相談の良さがあるので、それを求めている方に提供していくという形で私はいいと思っています。
無料相談を希望される方はこう言ってはなんですが、やはりいろんな無料相談をはしごして、自分の満足のいく回答を得るという傾向があると思います。
有料相談だと料金をいただいていますが、その方にとってベストな方法、良いと思う方法をお伝えしたりできますし、無料相談だとその向こう側で報酬をいただけるようにしたい、ともすると相手の望む回答をしてしまいたくなる自分もいるので、そういった意味で有料相談は私にとって合っているのだと思います。
まとめ
私の事務所では、スポット相談を有料にすることで、お互いにとって良い関係を築けていると感じています。
有料相談にすることで、無料で情報だけを得たい方との初期段階でのミスマッチを防げますし、本当に価値を感じてくださる方に対して個別具体的なアドバイスを提供できます。
また、料金をいただくことで、お客様にとってベストな方法を正直にお伝えできる環境が作れているのも大きなメリットです。
顧問契約につなげることを前提としないスポット相談だからこそ、その場で完結する価値の高いサービスを提供できていると考えています。
確定申告シーズンを迎えるこの時期、有料スポット相談という形で、必要な方に必要なサービスを届けていきたいと思います。
