京都市の別荘税新設の動きを考えてみる

別荘税

こんにちは、京都の若ハゲ税理士ジンノです。

ぼくが住む京都では別荘税(仮)の創設に向けて市政が動いています。この動きについて整理し考えていることをまとめてみます。

 

目次

市の財政状況

京都にお住まい以外の方にはあまり知られていないかもしれませんが、京都市の財政状況は芳しくありません。

 

今年に入ってからもよく地元新聞紙上で話題になっていますが、コロナ禍により観光業への打撃がかなり大きく、それによる影響もあってか京都市の財政状況がかなり悪くなっています。

 

報道によると2028年度には京都市が財政再生団体(企業でいうところの破産。日本では北海道の夕張市のみ該当)になる可能性があると。

 

いろんな要因があるとされておりバブル期に京都市営地下鉄の東西線を建設したこと、学生が多くそもそも市民税が少ないこと、強い景観条例があり建物を高層化できない事による固定資産税の少なさ、などが挙げられています。

 

どれも今始まったことではなく以前から状況としては変わりありませんが、コロナ禍で財政不足に拍車がかかっている、ということのようです。

 

平成30年10月から京都市では日本で一番高いとされている宿泊税が導入されましたが、観光業の落ち込みで税収そのものも低減していると考えられます。

 

新たな税収を、というのは市の財政部門からすると切実な状況です。

 

敬老乗車証(一定年齢以上の市民が無料または収入に応じた定額負担で市営バスや市営地下鉄に乗車できる)の見直しなども掲げていますが、反対意見も多く本当にこのままで大丈夫かなと心配です。簡単にいうと赤字がずっと続いている状態の京都市、ということです。

 

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別荘税新設の動きの理由

そこで降ってわいてきたのが別荘税新設の動きのニュースでした。

 

財政不足を補うため、というのもあるとのことですが、目的として京都市中心部のマンションについて投資目的やセカンドハウスとして購入する富裕層が多く(海外を含む)、京都市中心部に住居を構えにくい、というのがあるようです。

 

市外流出している住民が増えており住民税が減収しているというのも理由の一つとされています。

 

つまり別荘税を創設することで市中心部のセカンドハウス需要を減らし京都市内に居住する人を増やしたい、という狙いがあるようです。

 

この理由を聞いたときにいくつか疑問がアタマをよぎりました。

 

確かに京都市内中心部、いわゆる田の字地区は不動産価格が高騰しているのですがそれと中心部に住みたいかどうかは別問題じゃないか、ということ。別荘税を新設したからといって京都市の財政に対する影響はそれほど大きくないのではないか。

 

さらにいうと市内中心部はテナント物件が空きが少なく企業の参入等が難しい状況が続いているのでそちらもテコ入れしたほうがいいんじゃないか。

 

京都市中心部に住む人を増やすというのは理にかなっていますが田の字地区だけが京都市ではないハズです。

 

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効果があるか

別荘税の想定税収見込みは一つの住戸当たりで考えると面積にもよりますが6万5千円から最高で43万円ほどを想定しています。

 

そもそも中京区の中心部でマンションをセカンドハウスに購入できるぐらいの富裕層がこんな微々たるランニングコストで購入に躊躇するとは思えません。5,000万円の物件をセカンドハウスとして購入できるような方々ですからね。

 

視点を変えると市内中心部の不動産市況はコロナ禍でもあまり影響がないのか高止まりしている状況です。

 

空室なこととそこに住めるか住みたいか、買えるか買えないかは別問題です。

 

行政側の主張としては以下のような行政需要があるとしています。

”居住者のない住宅であっても,基本的な行政サービスを提供するため,以下の行政需要が生じていると想定される。
・ごみ処理
・消防,防災,防犯
・公共施設整備(道路,橋りょう,上下水道など)
・地域コミュニティ活性化”

 

この内容どこかで見たことあるなぁと思ったら固定資産税の意義から同様の趣旨が見て取れることを思い出しました。

 

固定資産税の意義のひとつには「土地、家屋及び償却資産に対し固定資産税が課税されるのは、これらの資産の保有と市町村の行政サービスとの間に一般的な受益関係が存在するため」とされています。

 

同じ目的で同じ物件に課税をしようとしているのですから二重課税に見えなくもない。そこはどう解消し説明するのか気になるところです。

 

このまま市内非居住者の所有する市内の居住用不動産に別荘税が課税されたとしてもあまり大きなインパクトがないような気がします。(市内中心部に30代の子育て世代が居住したいかという根本的な疑問は解消されない)

 


まとめ

市内でいうと中心部のテナント空室率はかなり低いのでそちらをなんとかしたほうが経済が回っておカネが行政にも回ってくるんじゃないかなと考えています。

ただなにかしないとこのままだとあと6~7年で財政再生団体に本当になりかねませんので、市政運営、市の行政改革等には期待しています。

そもそも国内の土地を海外居住者が買えるというのも不思議な感じなのですが、それはまた別の機会に考えたいと思います。

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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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