「◯◯だったことにする」がもたらすもの 営業活動のスタンス

営業活動のスタンス

税理士の仕事をしていてときどきあるのが◯◯だったことにする、なかったことにする、というお話を相談されること。

やめておいた方がいいです、とハッキリ伝えることも大事です。

目次

〇◯だったことにする、とは

例えば小規模宅地の特例の適用を受けるために同居していたことにする、というのがあります。

同居していたのであれば特定居住用宅地に該当して相続税計算上、特例適用ができて有利になります。

この影響というのはかなり大きく、住んでいる自宅を相続税の納税のために処分しなくてよいようにするためという配慮もあると考えられます。

1億円の相続税評価額の土地だとすると面積330㎡までは80%減できますので、相続税計算上は2,000万円で計算します。

もちろん適用できる特例があればそれを適用して計算するのがよいのですが、この特例を適用させたいがために「同居していたことにする」となると話が変わります。

住民票は移したけど自分の家(若しくは配偶者の家など)に住んでいて実態は異なる、というケースも中にはあるようです。

こうなると、同居していたとは言えないわけで事実を捻じ曲げて税金計算をしていることにほかなりません。

事実の捻じ曲げがもたらすもの

事実の捻じ曲げがもたらすものは他にも影響します。

というのもそれに沿うようにほかのことも取り繕う必要が出てくるからです。

◯◯だったことにする、という一つのキッカケがどんどんと他の◯◯だったことにするを生み出していきます。

そうなるともう収拾がつきません。

例えば企業会計においても棚卸しをごまかしているケースが時々あると聞きますがそこで利益の調整をすると味を占めるわけです。

実際このようなことに手を出してしまうと元の正しい内容に直すのはかなり大変です。

ここまでに無理を通して減らしてきた税金もドカンとかかる可能性もあって、はっきりいって後の祭り。

やめておいた方がよかったということを後で後悔することほど悲しいことはありません。

都合が悪いことでもきちんと説明をする

税理士として仕事をしていると税金のことがとかくついて回ります。

それでもお客様に都合が悪いことがあってもきちんと説明する姿勢が大切で、片棒を担ぐわけにはいきません。

お客様は一人ではなく、自分がサポートをしている他のきちんとやっている事業者の方に申し訳が立たないですし。

正しいことをきちんとやっていくことが遠回りに見えても一番いい方法なわけです。

もちろん、適用できる税制や特例は可能な限り適用をしますが、事実を捻じ曲げてまで適用してよいわけがないのですがこの辺りを説明しても分かっていただけないケースというのは実際問題あります。

そういう人と付き合って関係が続いてしまうと断ち切るのはこれも大変です。

営業活動をガンガンやっていくのもよいですが、自分と考え方が合うお客様をいかに見つけるかいかに見つけてもらえるか。

お断りすることをポジティブに考える必要はないですがそういうことも必要なことがある、と思えると営業活動への姿勢も変わってくるのではないかなと。

他山の石ではないですが、よその様子を見て自分はこういうことをしてはいけないなと襟を正せるようにしたいところです。

まとめ

税理士として独立して最初の関門が営業活動でした。どうしていけばいいか、何が自分のとってよいのか。何しろ初めてだったわけですので。

ただ、これはやらない、こういう人とはお付き合いをしないと定めておくと少し気持ちが楽になりました。私の場合は事実を捻じ曲げたいひととはお付き合いをしないということでした。

営業活動を始めるとお断りすることに躊躇するかもしれませんが、請けたほうが大変なことになりがちですので自分の軸・スタンスを決めてそれに沿って判断したいところです。

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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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