独立したてのかたとお話しする機会があると値付けについて考えていることがいろいろあるんだなと。
私自身もちょうど5年前に独立してゼロからのスタートで税理士業を始めました。もし今から独立するなら値付けをどうするかを考えてみます。
仕事を得るための価格設定
全くゼロベース、お客様がいない状態での独立だと仕事の割合としては営業にかける時間としては8割とか9割になります。
仕事まずは得なければ食べていけないわけですし、借り入れしたとしてもずっと仕事がない状態だと預金口座の残高はどんどん減ります。
この預金残高が減る恐怖は独立している人にはよくわかる話ですが、そうではない人にとっては伝わりづらいです。
明日どうにかなるような超ピンチな状態ではなく、このままだと2か月後には資金が底をつくかもしれないという真綿で首を絞めるようなじわじわとした焦燥感、不安が頭の中にわいてきます。
割と今でも不安な気持ちはあるにはあるのですが、独立当初はその不安な気持ちがピークでした。
こうなると何が起きるかというと仕事を得るために報酬を下げたくなります。
下げることで仕事が取れるなら私はそれでいいかなとは思っていますが、あまりに下げすぎると仕事に忙殺されかねません。
これぐらいいただけるとしっかり頑張れるよなというラインは決めておいたほうがよいです。
結局のところ、税理士業は安くしたとしてもその分手を抜ける、どこかを簡素にするというのは難しい面があります。
そのため、値段を下げるとモチベーションがどんどん下がってしまうのもまた事実で、しんどさだけが増すものです。これは実体験としてという意味でも感じたことでした。
牛丼ではないですが「安い早いうまい」は税理士業ではなかなか採算がとれなかったりします。
ひとりでやっているとキャパシティがあるわけですから安請け合いをしてすぐに限界を迎えてしまうのです。
私自身はその状態になるのは避けたかったので、抑えるといっても一年間だけとか、スポット相談は最初は低めの設定にしていました。
あるお客さんはこの金額で、こちらのお客さんはまた違う金額でというのはしておらず、価格表を作ってそこに当てはめるようにしています。
値上げできるかどうか
抑えた価格でスタートするにしても後で値上げをしないと持ちませんので、タイムリミットは設けておくのがよいです。
お客さんの件数として5件まで、10件までは抑えめでそれ以降は価格改定で値上げをした形で営業をするような形がよいかなと。
しれっと値上げして文句を言われるかどうか。
わたしはここまで2回ほど値上げをしていますが既存のお客様の価格は据え置きで、新しい方のみ新価格表での対応です。
スポット相談も何度かお願いされることがあるかと思いますが値段でお願いされているケースは値上げで離れていきます。
それを是とするかどうかですがわたしはそれも致し方ないと思っていました。今でもそう思いながら価格表の改訂をするときには腹を据えてやっています。
値上げをして文句を言われたらそれまでかなと。
もし値上げをするにしても同じ仕事をしていて値上げするというのは納得しがたい部分が自分に置き換えてもあるので、なにか付加価値、新しいオプションが付くなども考えるのがよいでしょう。
値付けは経営とよく言われるものですが、お客様の入れ替えに伴って新しい価格表が適用されれば自然と値上げにはなります。
私自身はほかのかたの価格を参考にすることはあっても値上げのタイミングや業務内容の見直しは自分自身で考えて行っています。
実際、インボイス対応にあたってはどういうふうに工数が増えるか、消費税のことをどこまでケアした帳簿付けが必要かがわからなかったのでインボイス制度導入に伴う値上げはしていません。
一部のお客様には会って話をするというニーズがそれほどない業種などもあるため、会わなくてよい形での価格設定にしています。
売上が増えれば増えるほどもちろん税務リスクはあがっていくものですが、わたしは訪問回数で基本的には顧問は値付けをしています。
ある程度仕事がある状態になれば入れ替えを見越して価格改定をしておくのもよいでしょう。あくまで既存の方はそのままで。
スポット相談については結構あげています。一番最初の3か月は5,500円(60分)とかでやっていましたがあまり当初は営業活動の成果がでなかったので値下げしても一緒かなと思って9,800円にあげて、いまは15,000円(60分)にしています。
顧問業務は価格表を頻繁に触るというのはやりづらいですがスポット相談はその場限りなのでやりやすさはあります。
ちょっと変えてみて反応を見るというのもいいでしょう。
直接交渉で値上げをお願いするというのはなかなか難しい面があるでしょうから、そこは工夫しつつということになりますね。
自分自身が考える適正な報酬を、時間やリスクを加味して探っていくことは今でも変わりません。
まとめ
値付けはホントに難しいですがやらないといつまでたってもできないままです。値上げするときには解約する覚悟でと言われたりもしますがそのつもりで価格改定に臨んだ方がいいでしょう。
積み上げにするのかオールインにするのかなど報酬形態も様々ありますので試行錯誤の独立後です。