独立後は自分で仕事を受けるかどうかの判断が必要になってきます。自分の軸・スタンスに沿って判断することになりますが、その軸・スタンスをどう磨いていくか。
何でもかんでも仕事を受けていると回らなくなること以外に自分の既存のお客様にもご迷惑をおかけすることになりかねません。
営業面の実務で考えていることを書いてみます。
受けてはいけない仕事の見極め
独立するときわたし自身はゼロベース、つまりお客様ゼロの状態でのスタートでした。
事務所との関係が良好でいわゆるのれん分けがあるケースや、自分が営業活動も担当していたからそのお客様を持って出るケースなどもありますが、わたしはそういうことがなくゼロからです。
そのため、仕事が欲しい、税務申告を作る仕事で報酬が欲しいと前のめりになっていたことは否めません。
税務会計でやるべきことは自分の帳簿付けぐらいですからホントにないわけです。時間もありますから営業に時間もリソースも9割をあてるぐらいの感じでした。
そんな中でもやはり受けてはいけない仕事があるということはわかってはいましたが痛い思いもしつついまに至ります。
受けてはいけない仕事は税理士として例えば名義貸しの仕事や脱税ほう助になる仕事はNGです。
税理士として仕事ができなくなる可能性があるわけですから自分がそれに加担することはできません。職業倫理的にアウトな仕事というわけですね。
こういった仕事は税理士登録をしたときの登録時研修だったり、職業倫理・綱紀監察の研修で見聞きすることがあります。
それでも所属の時には実感を伴わないというかそんなことあるのかね、気をつけようぐらいの感じでした。
独立すると上司や所長、所属する事務所や税理士法人というガードが外れるわけで、そこからはより一層気を付けるべきこと、アラートが鳴るようにしておくことを営業活動では意識していました。
こちらが業務を進めるのに必要な書類の共有がないとか遅い、それによって申告期限が過ぎて期限後になることが頻繁になってしまうなど仕事を進めるうえで支障があるケースも気をつけたいところです。
報酬を払わないとか、業務に対して過剰な報酬の提示がある(名義貸し、ハンコだけ押してほしいなどはこの傾向が強い)とか、関わってはいけない人がいることは頭の片隅に置いてます。
契約書も随時更新していて新規のかたを中心に見直した契約書で契約をしていますし、単発業務でも可能な限り契約書を準備することにシフト中です。
終わりも丁寧に
たまにあるのが契約終了で関与が終わったことをお互いの認識のずれがあってどこまで報酬の支払いがあるか仕事をしたかがあいまいになるケースです。
わたしは顧問契約の場合はどこまでの報酬を支払わなければならないなどの規定を解約条項のところに定めて記載しています。
こんな感じの内容です。
甲の都合により本契約を解除した場合は、甲は乙に当月分までの報酬を支払わなければならない。
また、甲の意向により今期の確定申告業務をもって本契約を解除したい場合には、甲は乙に確定申告期限までの月分の顧問報酬を支払わなければならない。
乙の都合により契約解除となった場合は、会計処理を行った月分までの報酬を甲に請求することができる。
資料返却や届出の状況などは引き継ぎ書という形で一枚ものにまとめて顧問先宛てに郵送しています。関与停止を明確に通知しておくのがトラブル防止も含めてよいです。
解約になることは残念ではありますがあることなので過度に心配することなく、次のお客様を見つける、見つけていただく機会と捉えていて引きずらないことが一番だと言い聞かせています。
解約に至った理由などを税理士変更案件で伺っても一方からしか言い分を聞けませんし、税理士にも守秘義務があるので文句が言いたくても言えない状況はあります。
なので過度に引きずらないのが一番というわけです。ご縁が切れたんだなと。
あと今年の春から「税務代理権限証書に記載した税務代理の委任が終了した旨の通知書」の提出が可能になったので関与が終了したら控え等と一緒に送るようにします。
まとめ
依頼があると仕事がないときはとくに前のめりになりがちですが、自分が仕事を受ける軸・スタンスは徐々にでもよいので明確にしておいた方がよいでしょう。
自分の事業を守るためでもあり、いまご依頼をいただいているお客様の仕事に影響しないためでもあります。