毎年ではあるのですが、年末が見えてくると、漫画家や同人作家の方からのスポット相談や顧問のご相談が増える時期ではあります。
やはり皆さんそれぞれ状況があり、今も税理士にお願いしている方からの税理士変更のご相談や、スポット相談からの顧問、またはスポット相談のみのご相談もあります。
そうした中でよく見聞きするのが、同人作家や漫画家に特化した税理士を紹介するウェブサイトです。
私は自分が漫画家や同人作家の方をターゲットにした営業を始める前に、その存在を全く知らず、自前のホームページや動画で営業し始めたので後で知りました。
そういったところで紹介される税理士との違いを少し感じたので、自前で営業して良かったなと考えています。今回はその辺の話を少し書いてみたいと思います。
紹介料の支払いがないことは、お客様にとってメリット
同人作家のかた向けにサービスを提供している税理士事務所を紹介するサイトに登録して紹介を受けたとします。
その作家の方に報酬を請求をすることになるのですが、他の税理士紹介会社と同じで紹介料を支払う必要が出てきます。
なので、多くの税理士事務所、そのサイトを使って営業している税理士事務所だと、その紹介料を見込んで顧問料が増額になっていたり、売上に応じて加算されていくケースが多いようです。
多いと100万円から200万円位の請求になっているケースもあるようです。
そうした顧問料の増額というのはもちろん必要に応じてやればいいと思いますが、漫画家や同人作家の方で個人事業主の方だと、そこまで税務的な検討やリスクが高くないと私は考えています。
売上も上下動が激しいので、そこに合わせて顧問料の設定をするとお客様も困ることになるというのが私の考えです。
また紹介料ありきで顧問料を設定しているわけですので、紹介料がない税理士事務所よりも顧問料が高く設定されているケースはやはりあると思います。
お客様にとって何がメリットかというのは考えておきたいところです。
私はそこで営業をしてお客様を取ってくる、紹介いただくというのは悪いことではないと思っていますが、本当に詳しいのかそうでもないのかなというふうに、スポット相談のお客様の話を聞いていても感じることは実際にはあります。
法人化を勧めていたり、いろんな面で私とは違う考え方をしている税理士の話を見聞きすることが多いので、そういった面で違いが出てきているかなと思います。
仕事のやり方や考え方の違い、スタンスの違いは差別化になり得る
例えばその紹介サイトを使って営業し紹介を受けている税理士事務所は、仕事のやり方がかなり統一されているようです。
例えば資料のやりとりもオンラインでというわけではなく、基本的に紙で印刷したもの、明細やレシート等をすべてレターパックで送って、何々という勘定科目を書いて送ってくるように指示されているようです。
そもそもオンラインで仕事をしている方にとって、これはかなりストレスなはずです。私も最初その話を聞いてすごくナンセンスだなぁと思ったことがあります。
実際うちにそこから顧問替えで依頼をいただいた方は、基本的には資料のやりとりをDropboxを使ってやりとりしますので、すごく楽になったとおっしゃっていただくケースも多いです。
また法人化についても、私は勧めていないスタンスで発信などをしていますので、そうした違いをどう感じるかはお客様次第ではあるのですが、違いになるともいえます。
漫画家や同人作家の方にとって、法人化は節税目的でしかないケースが多く、それを目的にすると、何かボタンのかけ違いがあったときにやはり後悔することが多いと思います。
法人にしたから売上が増えるとか、法人じゃないとできない仕事があるかというと、漫画家や同人作家の方は特にそういった面は少ないというのが私の考えです。
なので、スポット相談で税理士変更のご相談や法人化のご相談があった時にも、私自身はそれを勧めていないので、もしどうしても法人化したいということであれば、私じゃない税理士に依頼したほうが相性としては良いと思いますよということはお伝えしています。
お客様を選ぶ立場でもあり、選ばれる立場でもあるので、自分の考えやスタンスを明確にしておいた方が相性の良いお客様が来ると思います。
仕事のやり方ひとつとっても、オンラインを活用するのか、紙でやりとりしないといけないかというのは、こちらもそうですが、お客様も意外とストレスに感じることも多いでしょう。
どういったところで効率化するかはいろんな考え方がありますし、紹介料を払ってでもお客様を増やしたいという考え方を否定するつもりはないです。
私はその紹介料の支払いもないし、自分のスタンスを明確にしていることで、お客様からご依頼を定期的にいただけているので、そうした営業の仕方を選択した方がストレスは少ないと考えています。
営業の仕方もいろいろありますが、私は自分が紹介会社を使って営業してこなかったので、今は自前で営業している形になります。
そうしたことを評価してくださるお客様も、作家業の方に限らずいらっしゃると思いますので、自分がどういうスタンスで営業していきたいか、紹介料を払ってでもお客様を増やしたいかどうかというのは、考えてみたほうがいいと思います。
まとめ
税理士紹介会社を利用しないという選択は、私にとって正解だったと感じています。
紹介料の負担がないため、お客様により適正な料金でサービスを提供できますし、自分のスタンスを明確にすることで、相性の良いお客様と出会えています。
オンラインでの効率的なやりとりや、安易に法人化を勧めない姿勢など、自分の考え方を大切にした営業スタイルは、同じ価値観を持つお客様から評価していただけています。
紹介会社を使うか自前で営業するか、どちらが良い悪いということではなく、どんなお客様と仕事をしたいかを考えて選択することが大切だと思います。
