金曜日に、ポジショニングは掛け算だ、という話をYouTube動画でアップロードしました。
今日はその続きというか、もう少し個人的なところを書いてみます。
「好きなことを仕事に」とよく言われます。ただ独立してしばらく、私はこの言葉がなんとなく苦手でした。
先にお断りしておくと、これはあくまで私個人の考えです。好きなことで食べていらっしゃる方を否定したいわけではまったくありません。ただ自分はそうではなかった、という話として読んでいただけたらと思います。
「好きを仕事に」が、私には少ししんどかった
独立するとき、好きなことで食べていけたら、と漠然と思っていた時期はあります。
ただ実際にやってみると、これは好きなのか、と自分に問う場面が何度もありました。税務の仕事が好きでたまらないという人も中にはいるかもしれませんが。
好きなことほど、仕事にすると義務になります。締め切りがついて、値段がついて、他人の評価がつく。
純粋に好きだったはずの気持ちが、少しずつすり減っていく感じがありました。
それに「好き」を仕事の理由にしてしまうと、うまくいかないときに逃げ場がなくなります。
売上が落ちたときに、自分の好きという気持ちまで疑わないといけなくなる。それは私にはけっこうこたえる話でした。
好きを仕事にできる方は、たぶん強いのだと思います。私はそこまで強くなかった、というだけのことです。
楽しみたいものは、仕事を抜きで楽しみたい
もうひとつ、自分の中ではっきりしていることがあります。
楽しみたいことは、仕事のことを抜きにして楽しみたい、ということです。
走ることは、いまの自分にとってかなり大事な時間になっています。松江城マラソンに向けて、朝のうちに走る日が続いています。ただ、これを仕事にしたいとは、まったく思っていません。
ゲームもそうです。積んだままのソフトを崩す夜に、生産性とか発信のネタとか、そういうものを持ち込みたくないのです。
仕事にすると、どうしても数字とお客様がついてきます。それ自体は悪いことではなく、仕事なのですから当たり前のことです。ただ、その当たり前を趣味の側にまで持ち込みたくない。
ですので、趣味を仕事にすることについては、私はどちらかというと否定的です。逃げ場は逃げ場のままにしておきたい、という感覚に近いかもしれません。
仕事になったのは、相手の「苦手」と噛み合ったところ
では何が仕事になったのか。
振り返ってみると、いま続いている仕事は「好き」で選んだものではありませんでした。お客様が苦手なことと、自分が苦にならないことが、たまたま噛み合ったところです。
制度の改正を追いかけること。届いた封筒を開けて、期限と必要な対応を確かめること。帳簿付けをして決算確定をし、問題なく期限内に申告をする。
どれも私にとっては、そこまで消耗する作業ではありません。ただ、つくる仕事をされている方にとっては、手が止まる時間になります。しかも気が重い。
その差のところに、報酬が発生しているのだと思っています。
得意というのは、誰かより上手いこと、ではないのかもしれません。
同じことをやったときに、自分のほうが疲れないこと。そしてそれが、相手の面倒くさいと重なっていること。この二つが揃ってはじめて、仕事になる。そう考えるようになりました。
ひとつだけ、例外があります。文章を書くことです。
これはたぶん、やっているうちに好きになってきたことです。好きだから続いた、という側面は正直あります。
ただ、書くこと自体を売っているわけではありません。読んでくださった方が、ご自分では面倒な部分を持ってきてくださる。好きなことは、仕事そのものというより、その手前のところで効いているのだと思います。
先日、Kindleで本を出しました。あれはいちばん「書くことそのものを売っている」形に近いのかもしれません。
ただ、頼まれて書いたわけではなく、テーマも締め切りも値段も、自分で決めています。
そう考えると、線引きは売るかどうか、ではないのかもしれません。締め切りと値段を、誰が決めているか。
他人の時間割に入った瞬間に、好きは義務に変わる。私が趣味を仕事にしたくないのも、たぶんそこです。
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掛け算した先に、好きも居場所も、後からついてくる
金曜日の掛け算の話に戻ります。
苦にならないこと同士を掛け合わせると、そこが自分の居場所になります。私の場合は、税務とクリエイターと、発信を続けること、の掛け算でした。
どれも単体では一番ではありません。ただ掛け合わせてみると、意外と他に人がいない場所に立てます。
面白いのは、そうやって続けているうちに、後から「好き」がついてきたことです。クリエイターの税務も、最初から情熱があったわけではありません。
同じご相談が重なって、調べて、お役に立てる場面が増えるうちに、いつの間にか、この仕事は好きだなと思うようになっていました。
順番が逆だったのだと思います。好きだから続くのではなく、続けられるから好きになる。
朝の空気が、少しずつ秋のものになってきました。
好きなことが見つからない、と焦らなくてもいいと思っています。趣味は趣味のままにしておいて、やっても疲れないことを数えてみる。
そのどれかが誰かの苦手と噛み合ったら、そこが仕事になって、好きはあとからついてくる。少なくとも私は、そういう順番でした。
