おはようございます、京都の所属税理士takasago(@co_develop)です。
先日、とあるところでこんな会話を聞きました。
新入社員とおぼしきお兄ちゃん「今までよりも効率化できました!」
上司とおぼしきオッサン「手抜きしてんじゃねーよ」
この会話を聞いたとき、ん?認識のギャップか?と思ったんですが
「効率化」と「手抜き」を混同するひとがいるみたいなので整理してみます。
効率化とは
まず効率化について。
効率化とは「効率」という名詞に、「化」という接尾語がくっついた状態です。
この「化」というのは接尾語というもので
名詞に添えて付けられて意味を追加する働きをします。
例として
一般→一般化
国際→国際化
ハゲ→ハゲ化
のようなかんじで、〇〇になる、というイメージでしょう。
よって、効率化とは効率的になる、効率的にする、ということを意味し
効率とは「費やした労力に対してのはかどりぐあい、能率」といえるので
効率化とは仕事や作業のはかどり具合・能率を良くした、と言えます。
ここに100キログラムのセメントがあります。
これを普通に運ぶと1時間で20キロ運べるとします。
100キログラムのセメントを運ぶのに今の状態なら5時間かかります。
でも作業手順を見直しマニュアルを作ったり
運搬具の改良をしたりした結果、1時間に25キロ運べるようになったとしたら
100キログラムのセメントを4時間で運べるようになりました。
同じ作業をするのに時間が短くなった=能率が良くなった、と言えます。
んじゃ、手抜きってどういうことなのか?
手抜きとは
手抜きとは、つまり手を抜くこと。
必要な手間を省き、仕事や作業をいい加減にすることを意味します。
前半部分は似ていますね、
必要な手間を省く、というのは効率化でも起きうることです。
ココが効率化のポイントでもあったりするのですが。
問題は、後半部分です。
仕事や作業をいい加減にするとはコレいかに。
先ほどの例でいうと
100キログラムのセメントを運ぶ作業があるとします。
普通にやって5時間のところを、8時間かかった。
→事情はあるのかもしれませんが、いわゆる「手抜き」した状態ですね。
大きな違いっていうか全然違う
効率化と手抜きでは得られる効果が違うことがお分かりになるでしょう。
仕事・作業をして得られる効果=セメントを100キロ運ぶ
というのは同じですが、能率=つまり要した時間が違います。
コレが実際のところ大きな違いなわけです。
冒頭の新人と思しきお兄ちゃんがどういう意味で効率化できた、
と上司と思しきオッサンに報告したかは分かりませんが、
少なくとも「手抜き」したことを報告するはずもなく
おそらく時間が短くなりました的な報告だったのでしょう。
であればオッサンの認識としては大きな思い違いであって
得られた成果が同じであれば、ホメてしかるべきです。
ていうかぼくならもっと「ドヤ顔」して言いますけどね。
もはやそんなこと(効率化できました報告)も
今の事務所ではしなくなりましたが(笑)
これは残業や人事評価に対する考え方にも通づるモノがあります。
例えば、A社員とB社員がいたとします。
二人は同じ年間売上目標2,000万円を達成するために頑張りました。
A社員は2,000万円の売り上げをあげるのに総労働時間2,400時間かかったとします。
(240日の実労働日数で毎日10時間の仕事=毎日2時間の残業ですね!キャー!)
一方のB社員は2,000万円の売り上げを総労働時間1,920時間で達成したとします。
(240日の実労働日数で毎日8時間の仕事=残業ゼロですね!イエーイ!)
はい、皆さんの職場ではどちらの社員がホメられて
=仕事を頑張っているとみなされて、なおかつ給与が多いでしょうか?
上場企業であっても削減できた残業代が給与に反映したり
賞与に上乗せになったりしている会社は少ないのではないですか?
ましてや中小企業やブラック税理士事務所であれば
そんなことは夢のまた夢。
ここに残業時間が減少しないジレンマが隠されています。
経営者としては、残業時間減らす→利益下がる、は避けたいですし
労働者としては、残業時間減らす→給与下がる、も避けたいです。
残業時間が減らない理由がよくわかりますね。
ハナシはそれてしまいましたが、
結局は「効率化」を何のために、誰のためにするのか、
という統一された認識がなければ効率化はうまくいきづらいし、
ましてや効率化できたことを手抜きとみなす上司がいると
やる気は全くもってなくなっちゃうよね、という結論です。
まとめ
残業が削減できたとういことは、すなわち人件費=費用が削減できているので
売上とほかの要素が変わらなければ効率化できている証拠です。
その部分だけを切り取って評価するというのは難しいかもしれませんが
少なくとも会社の方針で残業時間を削減する命令を出したのであれば
それに報いる制度も同時に制定すべきです。
でなければもはや誰も効率化には着手しません。