相談会などに従事しますと相談者のかたからこんなことを言われることがあります。
申告しなくても大丈夫だよ、申告は必要ない、と。
税理士として対応していて申告しなくていいケースというのは一般の方が想像するよりも少ない印象です。
無責任なことを言う人からガードするというのも仕事のひとつだと考えています。
無責任なことを言う人はなぜそんなことを言うか
例えば不動産を売却したときに不動産屋さんから「申告しなくても大丈夫じゃないですか」と言われた場合を考えてみましょう。
不動産屋さんは申告書を作成したり税務の相談に乗ることはできないはずですが、売却したお客さんから聞かれてつい答えてしまった、みたいなことはあり得ます。
そのこと自体はここではいったん横に置いておくとして。
不動産屋さんも売却に関しての税金のことはなんとなくご存じではあるでしょうけれど上記のような事情がありますので、もし申告が必要な状態だったとしても責任を取ることはないでしょう。
お客さんが申告をしようとしまいと自分の売却の仕事は終わったわけですし。
無責任なので何でも言えるわけです。
もしその言葉を信用して申告をしなかったとしても不利益をこうむるのはその売却したひとですし、クレームが入っても音声などが残っていない限り損害賠償などは絶対にしないです。
申告をするかどうかは自己責任ですので、ご自身が適切に処理をしなかったことの責めは自分で受けることになります。
そんなことあるの?と思うかもしれませんがこれがほんとにあるんです。
相談会で相談者のかたから「不動産屋さんは申告しなくていいと言われた」という主旨の発言があると、まぁそういうわけにもいかないけどそうしたいならそうしてください、という気持ちになります。
不動産に限らず保険金の受け取りなどでもそうです。個人的な印象ですが申告しなくていいケースのほうが少ないぐらいです。
税理士じゃない人から申告のことを聞いても話半分以下に聞いておいて、税理士がいる相談会か税務署にてきちんと確認しておくのがお勧めです。
申告が必要かどうかは自分で確認を
不動産の譲渡、売却ですと年明けに譲渡所得についてのご案内が税務署から届きます。
申告が必要かどうかをお尋ねがあるのですが、これは申告漏れしないようにしてねといういわば注意喚起です。
不動産の売却については特に税務署は登記情報から申告が必要そうなケースについてご案内を出しています。
これはまだ親切ですね。
年金保険等の受け取りをした場合にはこちらも金額等の通知があって、申告が必要かどうかが書いてあったりします。
所得税は特に申告納税制度といって「自分で申告をして納付する」タイプの税金ですので、自発的に申告が必要かどうかは確認しておくのが望ましいでしょう。
相談会や税務署に相談にいくなどして自発的な行動が求められます。そのうえでやっぱり申告が必要じゃなかった、ということなら安心です。
申告が必要ないことを確認できればゆっくり寝れますよ。
まとめ
税理士じゃないかたには想像がつきがたいと思いますが、相談会の業務に従事すると一定数こんなご相談というか申告しなくていいと税理士じゃない人に言われたというひとがいらっしゃいます。
素直に申告が必要だとわかっていただけるとよいのですが目の前の税理士の言うことを信用しない方も中にはいて、それなら税務署に行った方がいいですよ、とご案内しています。
申告が必要かどうかを税理士以外の人からアドバイスをいただくことそのものが間違っているのですが、言っても聞いていただけない時は仕方がないのかなと。