税理士試験 科目選択の考え方

考える人

estelheitz / Pixabay

税理士試験の合格発表も終わり、悲喜こもごもかと思います。

5科目揃えば受験勉強は終わりですが、

科目合格であれば来年の試験科目をどうするか、考えどころです。

私が取得した科目について、実務面からの考え方をお伝えします。

 

法人税法はとったほうが良い

法人税法は選択必須科目です。

法人税法と所得税法とどちらかとればよいのですが。

 

どちらかでと言われると、実務面で考えますと

圧倒的に法人税法かと思います。

 

実務の頻度が、所得税法と法人税法では全く異なります。

所得税法の申告は、毎年2月から3月の1か月です。

一方の法人税法を使う頻度は、基本的には毎月。

多ければ3~4件の申告をひと月に担当することもあります。

 

頻度だけでいえば法人税法です。

ただし!税務相談における頻度は、所得税法とくに譲渡所得税に分があります。

税務相談では法人のお客様それほど多くなく。

むしろ、相談内容の多くは相続税と所得税に関することが8割以上という実感もあります。

(勤務する税理士事務所・税理士法人の特色にもよりますが)

 

さらに、税理士登録したら毎年税務相談を担当することになります。

支部会や税務会場にて、税理士関与のない一般納税者に申告の指導をします。

これも基本的に所得税の知識が必要です。

 

さらにさらに、相続業務の担当になった際には、

取引相場のない株式、いわゆる非上場株式の評価を行う業務を行うときに

評価対象会社の法人税申告書から数値を読み取ることになります。

法人税法の理解があったほうが、仕事がしやすいことは間違いありません。

 

消費税法は大きな改正が待っている

税法科目の選択肢として人気がある消費税法ですが、

消費税法には消費税率が10%になるのと、軽減税率導入のビッグイベントが控えています。

(延期がなければ平成31年10月(もう平成ではないのでしょうが)には)

 

実務面で考えますと、

消費税法は会計とセットで、税理士事務所の担当として知っておくべき税法です。

法人税法と並び実務面ではよく使う税法の一つです。

 

ただし、法人税法と違い実務面ではあまり解釈が問われない印象です。

かなり細かく消費税の区分が費目ごとに決まっていますので、

法人税法のように給与課税認定や過大役員給与の是非などのややこしい、

税理士によって見解の異なる論点は少ないと思います。

 

要は、消費税法は日々の業務で調べ物をすれば

答えが見つかる税法かと思います。

 

改正があれば試験内容としては全ての受験生にとって初見の問題が多くなりますので

比較的問題が易しくなる、という人もいますし。

一方で、現行制度で勉強をしている受験生には、

改正内容も含めて覚えなおす内容が出てきますので、きつくなるのも分かります。

 

今回の軽減税率導入などは

受験生にとっても大きなインパクトです。

改正の年はあえて消費税法ではなく、ほかの税法を選択することもありかなと。

 

相続税法は目指す税理士像による

相続税法も人気のある科目です。

今は事業承継業務は、非常にニーズのある業務です。

 

中小企業の社長・オーナーの事業承継対策は、

相続税法と切っても切れない、密接な関係があります。

会社の資産負債、業績などと社長個人の相続とにバランスをとることが求められます。

 

非上場株式の評価は、会社の業績によるところが大きく、

株価対策も非常に重要になります。

 

相談業務を考えても、相続にニーズは非常に高いのが現状です。

相続税の基礎控除が下がり、課税対象者が増えたこと、

高齢者に富裕層が多いことなどが要因です。

 

独立したときに相続業務が担えるようになりたければ

相続税法の勉強はしておいたほうが良いと思います。

 

まとめ

私自身は科目選択にあまり時間をかけないようにしていました。

特に、実務面で不利にならないように考えていたので、

法人税法、消費税法、相続税法に落ち着きました。

 

今は、来年の確定申告時期に向けて所得税の勉強をしています。

どこに重点をおくか、受かりやすさか、実務面か。

自分の中で軸を持つことが必要です。

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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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