保険の契約者変更は税務署にバレないって言うひとにモノ申す!

保険

保険の契約者を変更しても税務署にバレない=税金がかからない、

そういう都市伝説みたいなハナシを相続の世界ではよく耳にしますが。

甘い!考え方が非常に甘い!バレますよ(笑)

 

保険料に対する基本的な考え方

保険の仕組みを理解するためには、登場人物の理解が重要です。

保険契約者、保険料負担者、被保険者、保険金受取人、この4者を抑えましょう。

掛け捨て保険ではなく、積立型の保険のハナシをします。

 

登場人物をもっとわかりやすくするために、

国民的な家族にご登場いただきます。

波平、フネを軸に考えていきます。

 

波平が波平に保険を掛けた場合

波平は自分に万が一があったらと考え、生命保険に加入することにします。

この場合、保険契約者=保険料負担者が基本ですから、

波平は保険料を支払って、自分を被保険者にして、受取人をフネにします。

保険契約者:波平

保険料負担者:波平

被保険者:波平

保険金受取人:フネ

 

波平が天に召された場合。

保険金を受け取ったフネには相続税の課税関係が生じます。

この形が一番オーソドックスです。

保険受取人が、フネではなく、サザエやイクラちゃんの場合でも相続税の課税対象です。

 

波平がフネに保険を掛けた場合

この場合、波平が保険料を支払ったと仮定すると、

保険契約者:波平

保険料負担者:波平

被保険者:フネ

保険金受取人:波平

 

波平が天に召された場合。

被保険者であるフネに保険金を支払う事由が発生していない(保険事故が発生していない)

ので、相続税は課税されない。

と思われがちですが、相続税はかかります。

生命保険契約に関する権利として、相続税の課税対象です。

さらに、実際の保険金ではないので生命保険金の非課税の対象外です。

 

保険をめぐる課税関係は複雑ですが、

ポイントは誰が保険料を負担したのか?です。

名義保険の追及のされ方

難しい言葉でいうと、保険料の出捐者(しゅつえんしゃ)は誰かが問われます。

ようは誰がお金出したん?ということです。

 

積立型の保険については、

保険料を保険会社に預けて、運用しているイメージが一番しっくりくるかと。

 

波平が波平のお金を保険会社に預けているので、

保険金は波平の財産から発生しているよね、という結論になります。

 

たとえば、フネに保険契約者を変更して、

保険料もフネが負担した体(てい)にしたとします。

 

相続が発生して相続税の申告書を提出すると

税務署は被相続人を含む親族の預金の移動履歴を確認します。

その中で、波平が保険料を支出したことがわかれば、

上記の生命保険契約に関する権利の計上漏れが強く疑われます。

 

契約者がフネなので、保険料はフネが支出したと主張した場合。

専業主婦のフネには収入がないですから、

その保険料はどのように捻出したか、厳しく追及されます。

 

近年の税務調査の主流は、この契約者が変更されたいわゆる名義保険への

風当たりが非常に強い傾向にあります。

名義保険も名義預金も、漏れていると結構な課徴金がなされるケースが多く。

最初からきちんと申告していれば、という声もよく聞きます。

契約者変更してもバレます

今年からは、契約者変更がなされた場合、

保険会社から税務署に対して、契約者変更に関する調書が提出されることになりました。

 

つまり、税務署側は契約者変更に関して

情報を管理し始めたということに他なりません。

 

保険の税務は相続税だけでなく、

贈与税や所得税の課税関係が発生する場合もありますので、

これらの課税関係を見逃さない体制が整いつつあります。

 

今年よりも前に行われた契約者変更も

保険料の観点から追及されるケースが大半かと。

まとめ

税理士はお客様から提出された資料や

ヒアリングをベースに申告書を作成します。

その際に虚偽の内容や、隠し事をされても真偽のほどは税理士には正直分かりませんが、

税務調査の際の税務署の調査能力は、一般の方が思っているよりもはるかに強力です。

相続税の調査は一発勝負なので、必然的に追及も厳しくなりがちです。

 

なにより隠し事をしている状態で、何年も過ごすことは

精神衛生上もよくないかと、個人的には思いますが。

あなたには思い当たることはありませんか?

ご心配ならば、税理士に相談することをオススメします。

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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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