前回の相続税申告書を確認しておくべき3つの理由

過去

Monoar / Pixabay

相続税申告に取り掛かる際、

お客様に過去に相続税の申告を、亡くなったひとが相続人として申告していた場合

その過去の分の相続税の申告書を見せてもらうようにしています。

 

相次相続控除の適用の確認

相次相続控除とは、相続税の税額控除のひとつです。

税額控除とは、税額を減らす、控除することで、

適用できれば税額を減らすことが出来ます。

 

制度の趣旨としては

今回、亡くなったひとが過去10年以内に相続した財産について

そのまま相続税を課税すると、

同じ相続財産に2回、相続税がかかることになるので

それを避けるためです。

 

簡単な事例を用いると、

今回亡くなったAさんの相続財産が1億円の場合。

Aさんが相続人として、引き継いできた財産がこの1億円の中に

5千万円含まれている場合。

 

この含まれていた5千万円について、

2度目の相続税がかかってしまうことに。

 

これはマズかろうという事で、

一度目の相続で支払った相続税のうち、

二度目の相続ではその一度目の相続税を、一部控除しましょう、という制度です。

 

この相次相続控除は、資金の流出もなく、手間もかからないので

必ず確認するようにしましょう。

最悪の場合は、税務署にて申告書の閲覧申請をすれば閲覧することはできます。

財産の構成と漏れの確認

相次相続控除が適用できなくても、ほかに確認すべきことはあります。

 

それは前回の相続で引き継いでいるものが

今回の相続で漏れていないか、の確認です。

 

例えば、前回は非上場株式を持っていたのに、

今回はその申し出がない場合。

売却したのか?それとも計上漏れなのか?

確認しておくべき事項です。

 

もし売却している場合には、追加で所得税の確定申告書を確認しますし、

計上漏れが疑われるのであれば、しかるべき対応をします。

 

さらには、財産の構成内容も重要です。

前回の相続で不動産の割合が多いのに今回は少ない場合。

さらには、現預金が増えているワケでもない場合。

この財産どこいった?となります。

 

登記が完了していないのか、売却したのか。

売却したのなら現預金が増えていないのはなんで?

と、ストーリーを求めます。

 

税務調査でも大事なことですが、

説明ができる、証拠をのこしておく、ことは非常に重要です。

わかりません、知りません、が一番マズいのです。

 

わからない、知らないと言うと

最悪の場合、言葉は悪いですが調査官につけこまれる可能性も。

質問されても否定できる証拠が大事。

財産評価の確認

さらにさらに、確認すべきことが。

前回の相続と、今回の申告を担当する税理士・税理士事務所が違う場合。

 

財産の評価については、その変更点がないか、確認しておきます。

決して、前回の相続のアラさがしではありません。

 

相続の場合、財産の構成内容が変わったり、

財産の評価について方法が変わったり、というのはあり得ます。

 

前回と同じ評価をするのであれば問題ないですが、

例えば土地の評価について隣と一体で評価したりなど

違う評価になりそうな場合。

 

その根拠、論拠を整理しておく必要があります。

これも税務調査になった場合、前回と今回の違いは、

必ずと言っていいほど突っ込まれます。

まとめ

相次相続控除を適用できないとヒアリングの段階で判断した場合、

前回の申告書を確認しないケースがあります。

これは非常にキケンです。

 

ちょっと手間になるかもしれませんが、

必ず確認しましょう。また確認してもらいましょう。

 

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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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