おはようございます、京都の所属税理士takasagoです。
先日のブログで、贈与のことについてお伝えしましたが、
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続報ということで、贈与する前には相続税率を確認することをオススメします。
贈与税は一対一。相続税は全体をみる
贈与は財産を「あげます」、「もらいます」で成立します。
ここでは一対一の関係です。
贈与税も、もらった人がもらった財産に対して
払えばそれで済みます。
でも相続税は違います。
相続税は、全体からスタートする計算構造になっています。
相続税の計算の流れは
亡くなったひとの財産を評価=計算する
↓
一旦全部の財産の合計額を算出する
↓
財産合計額から基礎控除額を引く
↓
算出された金額を法定相続人が法定相続分で取得したとみなして分ける
↓
法定相続分で取得したとみなして計算した金額に対して税率を乗じる
↓
各法定相続人で計算した税金を足し合わせる
↓
実際に財産を取得したひとが取得した財産額に応じて案分する
大まかな流れはこのようになります。
ポイントは財産も税金も、全体を計算する必要があるコト。
よく相続のご相談で贈与をやりたいという内容をお受けしますが、
本来であれば相続税率を確認するために
財産全部を把握する必要があります。
相続税率を把握せずに贈与をしてしまうと
相続税率<贈与税率となってしまって
税金を多く払ってしまうことになりかねません。
でも相続の相談の場面で多く聞かれるのが
財産を全部明かしたくない、という主旨の発言です。
相談者の気持ちはわかります。
税理士とはいえ、さっき会ったような若造に
ご自分が築いた財産をさらけ出すことについて抵抗があることは。
でも有効な贈与を実行しようとすれば
全体を見る必要はあります。
なのでぼくはよく、正確な金額でなくても良いので
ざっくりと財産の総額をイメージしてもらうことを
相談者の方にお願いしています。
それで大まかな相続税率を把握することができます。
ただし、あくまで大まかなので
正確性が低い、ということは事前にお伝えしています。
もっと正確にやってほしいということであれば
正確な全体をみる必要があります。
税率の差をうまく使う
贈与税率は以下のようになっています。
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | ー |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
となっています。
[alert title=”注意”]今回の税率表は、一般税率を使っています。
贈与税の税率には一般税率と特例税率があります。[/alert]
贈与税の計算方法は
{贈与額-110万円(基礎控除)}×税率-控除額、です。
例えば、350万円を贈与した場合。
350万円-110万円=240万円
240万円×15%-10万円=26万円
となります。
贈与税の実効税率(贈与額に対しての税金)は
26万円/350万円=(およそ)7.4%です。
一方、相続対策を何もしない状態で相続税率を計算してみた結果、
相続税の実効税率が15%だとします。
この状態であれば、相続税率15%>贈与税率7.4%で
贈与税を生前に支払ってでも贈与したほうが、相続税に対して有利。
という判断を税理士はします。
[alert title=”注意”]実際には贈与原資が現金で充分でなかったりもします。
相続対策はそれぞれ個々のお客様の状況が非常に大きく影響します。
相続対策がオーダーメードが良いとされるのはこういう理由からです。[/alert]
また、贈与をすると、相続税の高い部分から財産が少なくなっていくので
その部分を加味したりもします。
少しややこしくなってきましたね。
要は、相続財産がいくらあって、
いくらまでなら贈与しても有利か、いくらまで贈与したいか、
しっかりと把握する必要がある、ということです。
お客様ごとにニーズは違いますし
贈与は特にお客様の考え方がモロに出ます。
多くは税金ファーストではなく
家族の人生ファーストだということです。
それゆえの相続税対策の難しさ、
オーダーメードが必要ということかと。
まとめ
相続対策で贈与をする前に、相続税率を把握しておくと
非常に有効な贈与ができます。
さらには贈与する相手にも注意を払いつつ、
しっかりとした贈与プランが作れるので
それだけでも相続税対策は十分と言って良いぐらいです。
コツコツと堅実に贈与することが、相続税対策で最も有効です。