おはようございます、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
昨日から合計18時間の成年後見人養成等研修に参加しています。相続に普段携わるものとしてどんなものか実際のところを見てみたいという思いと、純粋に税理士が成年後見人をすることの意義などを勉強したいからです。
そもそもなぜこのような研修に参加してみたのか掘り下げてみます。
[memo title=”MEMO”]この記事では「成年後見」を後見のみならず、保佐、補助、任意後見などの類型を含めての表現としています。[/memo]
実際の現場の感覚や状況を実務者から感じ取りたい
いきなり冒頭でこんなお話がありました。
「関西では税理士が成年後見人に選任されるケースがほとんどない」ということ。
税理士会の幹部の方がおっしゃるので間違いないと思うのですが、そんなに選任されていないんだなというのが第一印象でした。
確かに、成年後見の現場では弁護士、司法書士、社会福祉士の三士業が活躍することが非常に多いとのこと。
言われてみれば確かにそうで、知り合いの司法書士さんも何件かお引き受けしていますとお話ししていました。
税理士会としてはそこに食い込んでいく所存なんだろうけれど、税理士が成年後見を受任する意義はあるのだろうかと講義中に考えていました。
税理士にとっての一番大きなウェートを占めるのは中小企業の社長を含むクライアントです。その中小企業の社長さんも高齢化が進んでいます。特に京都は長く続いている企業も多いのでその印象が非常に強い。
成年後見を中小企業の社長さんや会長さんなど事業関係者におすすめする機会というのはぼく自身は今のところないのですが、中小企業のサポートをこれまでも、またこれからも仕事にしていく税理士にとっては考え始めなければならないコトなんだろうと思います。
税理士業界の高齢化も着々と進んでいる印象ですし、受験生も年々減少しています。自分たちにとっても問題だ、という問題意識が芽生え始めているのでしょうか。
中小企業をサポートする立場として確かに「危ういな」と感じることも正直に言えばあります。こちらの説明力不足で自分を納得させてはいますが、相手が比較的ご高齢であればそれだけじゃない可能性も多分にあり得ます。
相続をやっている関係で比較的多くのケースを見聞きしていますが、成年後見よりも任意後見のほうがより親身になれるのかなというのがぼくのイメージでした。
成年後見制度は確かに被後見人を守る、権利保護の意識が強いと思いますが、やりすぎ感もぼくにはあって、本人の意思はそこにはない。(そういうひとが成年後見されるというのは重々理解しています)
昨日の講義で印象的だったのが、中央大学の先生のお話。
その先生は冒頭から面白い印象の方だったんですが、講義が進むにつれてどんどん気合がのってきて自然とアツい内容に。
その中でも、「任意後見をもっと使うべき」「後見の現場は意思決定支援に重点を」「税理士が後見の現場で活躍したいならもっとロビー活動的なモノをちゃんとやれ」「税理士は財産管理でもっと良い立ち位置を築けるはず」
こういう思いをお持ちでらっしゃるようなので税理士会主催の成年後見人養成研修の講師を受けてくださったのかなと。
成年後見の現場で活躍されている先生のお話を聞ける貴重な機会となり、現場の感覚を少しでも感じられるとても良い講義でした。
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使える知識かどうかは今は分からない場合もあるけれど
成年後見の現状としては税理士のかかわり方はまだまだ道半ばというところでしょう。
昨日から始まった講義が今後の自分の業務に対して有用かどうか、使える知識かどうかは今のところ分かりません。
でも知識が少しでもある、成年後見をめぐる現場の状況をなんとなく理解していることと、まったくよく分からない状態では対応力に違いが出ることもあります。
それは税法の世界でも同じで、ぼくも受験生時代はこの勉強したことの何割が実務において重要なのだろうか。
ひょっとしてここで学んだことは仕事では今後一切つかわないのではないか、そう思うこともありました。特に苦手分野についてはそのように感じることも多かったです。
今後の自分の業務において成年後見の知識が役立つかどうかは正直言って分からない部分もあります。でも知っておくことでお伝えできる内容に幅が出ることも事実なので、しっかり勉強しておきたいと思います。
また講義の中で非常によく出てきた「意思決定支援」というワード。
この意思決定支援は後見の現場ではもっと出てきて良いというお話でしたが、税理士の仕事ってクライアントの意思決定支援そのものだと考えています。
経営者のお話やお困りごと、不安、悩みそういうことを丁寧に聞き、選択肢を示したり背中を押してあげるのも税理士の仕事のひとつです。つまりは中小企業の意思決定支援を税理士が担っていると。
意思決定のサポートが対個人であれば成年後見になりますし、中小企業であれば税理士業に置き換えれるかもなぁという印象を持ちました。
普段関わることのない学びの現場で自分の業務を振り返ってみる良い機会にもなりました。
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まとめ
成年後見の現場にはまだまだ改善点も多いようです。
ただ、日本の高齢化はどんどん進んでいますし待ったなしの状況です。2025年には認知症の患者さんは730万人に達するとの予測もあります。
認知症の方であっても自分らしく生活し、出来ることは自分でやり、決めたいことは自分で決める。そういう社会の実現に税理士として関与できる未来があれば、税理士は良い仕事だなと今よりもっと思えると考えています。
昨日の一日一新
民法858条
成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
この条文に感銘を受けて成年後見業務に注力される士業の方が多いとのこと。