今から独立するというかたや受験生と話をしていると事務所の方針として記帳代行するか、自計化先しかみないか、という話が定期的に出てきます。
メリット、デメリットは?
記帳代行をするかどうかは事務所のスタイルを考えるうえでは大事です。仕事の仕方が結構変わってきますので。
記帳代行のメリットとしてはお客様に価値を感じてもらいやすいというのがあります。
そもそも記帳が誰の仕事とか事業主がやるべき、とかはいったん置いておいて、社長や事業主のかたにとっての記帳はどういうものか。
クラウド会計ソフトが進んできたとて自分にできないと感じているひとが多い印象です。
そもそも仕事は自分が苦手に感じることをひとにお願いしても問題なし、OKだと私は思っています。
苦手なことをひとにお願いする、時間を買う、ということで自分の時間やスキルを活かすということは良いことじゃないかなと。
そう考えると自計化するにあたっては簿記の勉強、入力の仕方について結構な時間と知識が必要になります。
その時間と手間を税理士に依頼したいと思う人も実際のところはいらっしゃる、というのが実感としてあります。
帳簿の付け方がわからなくても稼いでいる社長、フリーランスのかたはいらっしゃいますし、別のスキルです。
一方で記帳代行のデメリットとしては税理士側での負担が大きくなりがち、ということがあります。
資料を預かって、通帳の写しを預かって物差しを当てながらひとつずつ入出金の仕訳を入れていくクラシックなスタイルだとかなり時間がかかります。
記帳代行といってもやり方としてはいろいろあって、事務的な作業を極力少なくできるような効率化も記帳代行では出来るようになってきています。
ただ、自分がそれをすることに変わりはないで、その部分をどう考えるか。
自計化のメリットとしては試算表が早くできる、事業の数字を事業主が把握できるようになる、ということがあります。
確かに自計化していると税理士側で記帳代行をするよりも早く自社内で関係できますが、税理士側が提供するサービスとしてはありがたさを感じにくくなる可能性もはらんでいます。
仕事としてはチェックががメインになりますのでそれを望む相手をいかに見つけるかどうか。
反対に自計化のデメリットとしては先方のタイミングで仕事をしてもらうことになるので、遅いところはいつまでも連絡がこない、なんてことも。
自律して自走できるところじゃないと自計化は難しいです。
記帳代行はずいぶん変わってきている
独立したのは2019年の1月ですがその時からいまでも記帳代行のやりやすさは変わってきています。
例えば通帳の入力ひとつとってもデータ連携したりCSVデータを取り込む、Excelに入力したものを取り込むなどいろいろとやりようがあります。
一昔前の通帳の写しから一行ずつ入力をしていくスタイルの記帳代行はずいぶんと減ってきました。
事務所によってはこういうことへの取り組みを全くしていないこともあるでしょう。
私が勤めていたときの事務所もこの手の効率化、記帳代行には手を付けておらずいわゆるクラシックな形での記帳代行がメインでした。
記帳代行といってもやりようはあるということです。
そこになにか経営アドバイスや管理会計、事業計画、融資サポート、相続事業承継などの別の業務を組み合わせることも可能です。
ただしあくまで記帳代行なのである程度のマンパワーが必要で顧問をバンバン取ってひとりで仕事を問題なく回していける件数は少なく設定しています。
お客様が求めることも記帳代行と自計化では違ってきますし、自分のスタイルをどう決めていくか。
別に片方だけしかやったらダメなルールはないです。私の事務所でもお客様には自計のかたもいれば記帳代行の方もいます。
いまは記帳代行のほうがニーズが強く感じるので両方やりつつも記帳代行がメインです。
苦手なことは任せて自分は売上を得られる仕事・業務に集中したいというお客様の割合が多いですね。
まとめ
自分が税理士事務所に転職してきたときのことを考えると、まだまだクラシックなスタイルしかなく、クラウド会計ソフトもない時代でした。
お客様から資料をどさっと預かって、ということはスタンダードだったわけです。
そこで修業というか経験を積むとやはりその時のやり方を踏襲したいと思うものですが、スタンダードも少しずつ変わってきているのかなと。
やりたいようにやれるのが独立後の醍醐味なので自分の「こうしたい」を大事にしています。