定期的に税理士試験の取得ルートの話がSNSなどで話題になります。現実世界、リアルの対面ではあまり話にならないのですが、それは置いておいて。
最適解ってあるのだろうかと考えてみますが、いつも結論は出ません。
立っている場所も見ている方向もみんなそれぞれ違うからじゃないかなと。
税理士資格の取得ルート4つ
税理士資格の取得には4つのルートが大まかにあります。
税理士試験の5科目を取得するパターン、いわゆる官報合格と呼ばれるルート(税理士試験に5科目合格すると、官報に記載されることが由縁)
税理士試験のうち3科目を取得して、大学院で修士論文を書き、審査を受けて2科目を免除される、いわゆる院免と呼ばれるルート。
国税職員として勤務して免除等により資格を取得する、いわゆる国税OBと呼ばれるルート。
公認会計士や弁護士資格から税理士資格の登録要件を満たして登録をする他資格ルート。
以上の4つです。
それぞれメリットやデメリットはあるでしょう。
現状では官報合格ルートがかなり人数が減っていて、大学院に進むという方が増えているそうです。私が税理士試験に合格したとしで5科目取得の方は750人ほどでした。令和3年度試験では580人ほどでやはり減っています。
税理士試験の受験者数そのものも減少傾向が続いていて、税理士試験の受験要件が緩和されつつありますがそれでもすぐに受験生が増えるかというと増えないでしょう。それはまたの機会においておいて。
どのルートが最適解か、というのは結論が出ないのですが、話をしている税理士はそれぞれどれか一つのルートしか経験していません。
5科目取って大学院で修士号を取る税理士もいますが、あくまで税理士資格の取得は官報合格です。
それぞれが自分のルートしか経験していない状態ですから、自分にとってその選んだルートが最適解でしょうし、それしかなかった状態とも言えるかなと。
むしろ、その自分が選んだルートが正しかったとやはり思いたいものです。税理士同士で話をしても自分のルートがご贔屓でしょうから、あまり意味はないかもしれません。
では受験生の立場だとどうでしょうか。
税理士試験との相性は確かにありそう
私自身は金銭的、家庭の事情が許すのであれば大学院に行っていたらと思っていた部分が正直にいうとあります。
もし合格科目が全然増えなくて、ということになれば真剣に考えたでしょう。
幸いなことに5科目揃えられましたが、試験問題と自分の相性というのは確かにあります。
良問と呼ばれる試験問題というのがある一方で、これはどうやって解けばいいのか、という問題も中にはあります。
さらにいうと今年の固定資産税の試験では問題に不備があり、受験した方に配慮するという公表がありました。
こうしたことがあるので税理士試験に対する不信感というか、解答が公表されないことなども含めて、税理士にはなりたいけど試験との相性が良くない、みたいなことも起こりうるのではないかと考えています。
大学院を受験して合格し、そこで修士論文を書いてそれが審査に通るかというと必ずしもそうではないでしょう。
ただ税理士試験とはだいぶ毛色が違うものではあるでしょうし、そっちの方が自分に合うケースも少なからずあるのではないかなと。
申告書や帳簿を作る上で有利不利の話も出てくることがありますが、資格取得した後の勉強継続、頑張りにもよるでしょう。
全ての税理士が相続税申告を得意としているわけではない、ということと同じです。
得意不得意は少なからず人であればあって、試験そのものや科目との相性の良し悪しはあるものです。
反対に、院免ルートの税理士から見ると、官報合格の税理士は税法に弱いと言われたりすることもあります。
試験に合格するための勉強であって、税法を深く理解し課題について論文を書いてこなかったが故の指摘でもあるでしょう。
例えば私であれば租税法(金子先生の著書)は手に取ったことはありますが読破したことがないです。
お客様から見ると官報合格の税理士も、院免の税理士も変わらない、という意見もあればそれは顧客を軽んじた意見だ、という税理士もいます。そもそもお客様は税理士資格の取得ルートはご存知でないケースの方が多いでしょう。
結局は自分がどうありたいか、自分にとっての最適解は他者の意見ではなく自分でこうと決めたルートです。
私は、法人税の試験3年目のときは本当にこれでもかというぐらい勉強して、試験に臨むときにはこれで落ちたら所得税法に切り替えよう、という意気込みでした。
結果的には合格できましたが、所得税法に科目を切り替える可能性もありましたし、そこでもつまづいたら大学院に行く選択肢も考えたでしょう。
それぞれが立っている場所も見ている方向も違うわけですから参考にする部分はあっても最後は自分の選択を信じるしかありません。
まとめ
税理士資格の取得ルートはいくつもありますがそれゆえにいろんな考え方や経歴があります。自分の経験してきたことが最もよかったと人は思いたいものです。私も例外ではないです。
とやかく言われることよりも、自分がどうありたいか、どうしていきたいか、迷っているときには少し考えてみるのがいいでしょう。
そのときに自分がこうしてみたいと思うキャリアのかたの書いたものや話を聞く機会があれば足元は固まりますし、一歩踏み出しやすいのかなと。それぐらいの距離感で「他人が考える最適解」と接するのがメンタルヘルス的にもよさそうです。