私自身は税理士として独立する前には4年間ほど税理士法人に勤めていて、その前に1週間だけ税理士事務所に勤めていた経験があります。資格を取ってから独立するまでの期間は比較的短い方でしたが、全く自分のキャリアプランについてはあまり考えていませんでした。
ただ、どういったタイミングで自分の将来を考えたほうがいいか、選択肢としてどういうものを選んでいくかで科目や勤め先の法人の選択も変わってくる部分はありますので、今日はその辺について考えていることを書いてみます。
試験に合格していないとやってはいけないということではない
私は試験科目は法人税法と消費税法、最後に相続税法をとって税法科目を終了しました。相続税法を最後に選択したのは、その勤め先の所属している部署が相続を専門に扱う部署だったからです。
私はその部署に転職してきて、4年半ほど相続税の実務について非常に学びが多く経験を積めました。なので独立してから相続税の申告業務もやっているということもありますので、相続税の科目を選択してよかったなぁという気持ちはあります。
ただ相続税法の科目を選択していなくても、相続税業務は別にやっても構いません。ただそこに至るまでに結構な勉強と営業のスキルが必要になってくると思います。
独立前にその業務をやりたいと思っているのであればその税法科目で試験に合格するのが一番安心ではあります。一方で勉強は続きますが一度受験するぐらいの勉強を体系的に行っているというのは業務にも活かされてくるでしょう。
私は勤めているときの所属していた部署が相続部門でしたので相続税法を自然と選びましたが、税務相談などでも相続に関する相談はやはり多いので勉強しておいてよかったとは思います。
所得税法については受験していませんがいま仕事の多くの部分が個人事業主の方の顧問ではある状態です。独立してからどのような分野や業種が仕事の対象になるかは読みづらい部分があります。成り行きでそうなる可能性もあるからです。
なので独立してからも勉強は続きますし、仕事としてやっていきたいのであれば実務として学ぶ機会は意識しておいた方がよいです。
自分のキャリアとやりたい仕事
独立するしないにしても、自分のキャリアプランをどう考えていくかというのはそれぞれ思い描いていることがあるかもしれません。私は実際は全く思い描いていなかったので、独立する時も半ば勢いで独立をしました。
こういう業務もしたいなという思い描いていることがあるのであれば、そういう業務をメインに取り扱っている税理士法人に転職するというのも選択肢でしょう。
税理士法人である程度の規模のところの方が受験生にとっては勉強の環境も整っていて、その分野を専門とすることを目的としては、キャリアプランがあらかじめ組んである可能性もあります。
自分が思い描いていることがあるのであれば、そういうところに転職するのも私は良いかなというふうに思っています。
「相続業務をしたいけれど、今は所長の案件になっていて全く手をつけれていない」という方からのご相談があったときに、「相続を専門とする税理士法人に転職するのも良いですね」という話をすることがあります。
それで転職していった方は何人か知っていますし、何かのきっかけになったのであれば嬉しく思います。
キャリアプランがない場合はどうするか
私のようにあまりキャリアプランを描かず、試験が受かった後に独立するかどうかも含めて全く検討していなかったという方も中にはいると思います。独立志向が強い資格ではあるのですが、私の場合はそこを意識せずに試験に取り組み、5科目を合格できたという段階で考え始めました。
なのでそれからでも全然いいかなという気もしていますし、税理士資格さえ取ってしまえばある程度選択肢というのは広がってきます。
事業会社に転職する人もいますし、独立を選択する人もいます。そのままその事務所での居心地が良く、後継者として残ってほしいと言われていて、それもいいかなと思うのであればその選択肢も良いでしょう。
独立するだけが正解じゃないですし、そこに残ることだけが正解というわけではないです。いろんな選択肢が資格を取ると広がってくるというのは、私は確かにそう感じます。
資格を取ってからは受験勉強そのものは終了しますので比較的時間ができると思いますし、いろんな税理士の話を聞いたり本を読んだり、セミナーを受けたりして、自分がどういう方向に進んでいきたいのかということを考える時間やきっかけを得るというのは、独立に限らず試験に合格した後の方が時間としてはたくさん取れるでしょう。
ですのであまり自分のキャリアプランがないことをプレッシャーに感じず、資格を取ってから考えてもいいです。もし思い描いていることがあるのであれば、そこに向けて自分ができることを1つずつやっていくということを意識しておくと良いと思います。
まとめ
私も資格の勉強をしているときには全く独立を意識していませんでしたので、今の状況というのは、受験生の自分が見ると驚くと思います。
ただ独立も楽しいものですし、選択肢として入れていただくといいのかなと思いますので、もし自分のキャリアプランに悩んでいる方はまず資格を取っておくというのも良いかと思いますので検討してみてください。