生成AIを仕事に取り入れて、しばらく経ちました。
お客様向けの説明資料の叩き台づくりや、調べものの整理など、以前より速くなった作業はたしかにあります。
速くなると、次に出てくるのが「じゃあ、もっと顧問先を受けられるのでは」という考えです。
今日は、その問いに対して、いま私が考えていることを書いてみます。
速くなって見えた「まだやれそう」
たとえば、お客様に制度の改正をお知らせする文章。以前は一から書いていましたが、AIに叩き台を出してもらうと、確認と手直しだけで済むようになりました。
ちなみに、記帳には生成AIを取り入れていません。会計ソフトのベンダーが用意している機能で、いまのところ自分の事務所にとっては十分だからです。
それでも、ひとつひとつの作業が少しずつ軽くなると、数字の上では件数を増やせるように見えてきます。
同業のなかには、AIを武器に顧問料を抑えて、件数を大きく増やす道を選ぶ方もいます。それも一つの選び方だと思います。
ただ、私には100件のような世界は、怖さのほうが先に立ちます。
いまの件数と、夏前に決めたこと
いまの顧問先は30件ほどで、そのうち個人事業主が20件ほどです。ここにスポットでの申告対応が加わり、確定申告時期の事業所得の申告は、スポットも含めて30件を超えます。
お客様は漫画家、同人作家、同人ゲームクリエイターの方が中心で、最近は作家業の方もいらっしゃいます。オンラインがメインで、人にあまり会わずに済ませたい方や、月々の問い合わせが少ない方も多いです。
記帳はお任せいただき、決算前や確定申告のとき、イレギュラーなことがあったときに相談できればいい。そういう関わり方がほとんどです。
この30件をどう感じているか。
まだやれそうだと思う自分がいる一方で、これ以上増やすと、体調を崩したときや家族の事情が重なったときに、すぐに手詰まりになる。もっと言えば「詰み」になる。そんな感覚を、いま強く持っています。
実はそうした考えから、今年の夏前から新規の顧問受付を停止しています。いまお付き合いいただいているお客様への対応は、これまでどおり変わりません。
この新規顧問の受付停止ももうすぐ解除する予定にしています。これは新しい取り組みを始めるためでAI活用とはまた違う話なので改めて別の内容としてお伝えします。
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AIで空いた分は、件数ではなく余白に
AIで軽くなったのは、あくまで作業の部分です。
申告書を最終的に確認すること、判断すること、税務調査で交渉すること。お客様からのご相談などの対応も含めて、ここはひとりで事務所をやっている以上、いまも私にしかできません。
4月のブログで、顧問件数の目安を「税務調査に対応できる件数」に置くと書きました。その考えはいまも変わっていません。
【4/12ブログ「顧問契約件数の限界値」】

だから、速くなった分で件数を増やすのではなく、何かあっても詰まないための余白として残すことにしました。
昨日書いたからだのメンテナンスと同じで、元気なうちに備えておく感覚に近いと思います。
方向としては、最近読んだnoteの記事(AI時代に税理士の顧問料は安くなるのか)の言葉を借りると「第三の道」です。
顧問料を抑えて数多くの顧問先を持つ道でも、少数の顧問先に税理士本人の時間をたっぷり注ぐ高単価の道でもない、その中間。定例の面談を基本にせず、必要なときに税理士本人にすぐ聞ける状態を届ける形です。
私の場合は、クリエイターの方の税務顧問と、相続関連業務の2本を柱にしていくつもりです。
件数を絞る以上、顧問料は安すぎず、高すぎない水準で考える必要があります。件数と単価は、セットで考えるものだと思っています。
持てる件数と、持つべき件数は違う
AIで「持てる件数」は、たしかに増えたのかもしれません。
でも「持つべき件数」は、自分が責任を持てて、何かあっても詰まない件数だと思っています。
この答えも固定ではありません。そのときの状況や考えに合わせて、見直していくつもりです。
10月に入り、年末調整、その先の確定申告と、忙しくなる時期がまた近づいてきました。余白があることのありがたさを、たぶんいちばん実感する季節です。
速くなった分を、あなたならどこに使いますか。私は、しばらくは余白として持っておくつもりです。
