税理士試験の法人税法攻略③

山登り

louiepastore / Pixabay

税理士試験の法人税法を考えてきました。

今日は、計算問題について攻略を考えていきましょう。

 

法人税法はなぜあるのか。

法人税法の計算問題について考える前に、

法人税法がなぜあるのか、考えたことはありますでしょうか。

大事なことですのでおさらいです。

 

会計では、収益-費用=利益を学びました。

収益は、モノを売った売上であったり、サービスを提供した対価です。

費用は、モノを作るための原価であったり、売るために必要な支出です。

簿記論や財務諸表論では、この仕組みを会計基準を基に学びます。

 

法人税法は、法人が稼ぎ出した利益に対して税を課すためのルールです。

法人税法がない場合を考えると、会計上での利益に税をそのまま課します。

これでは具合が悪いのです。

 

なぜかというと、会計上の利益は会計基準のルールに従っても調整ができてしまうからです。

法人側の恣意的な利益にそのまま税を課すと、やったもん勝ちの世界になります。

なので、法人税法上の利益を計算して税を課しましょうということで

法人税法というルールが出来ております。

 

「別段の定め」の集合体

法人税法上の利益を一から算出するのは実務上も大変なので、

会計上の利益に調整を加えて、法人税法上の利益(=課税所得)を算出します。

 

 

法人税法上の収益の額を、益金の額と呼び、

法人税法上の費用の額を、損金の額と呼びますが、

原則的に益金の額は一般に公正妥当な会計処理の基準に従って計算した会計上の収益の額で、

損金の額もまた、一般に公正妥当な会計処理の基準に従って計算した会計上の費用の額です。

ただし、「原則的に」の文言を忘れてはいけません。

法人税法の益金の額、損金の額には「別段の定めがある場合を除き」と規定されており、

この「別段の定め」がいわゆる、会計上の利益に加算する項目、減算する項目と考えましょう。

 

加算項目は、損金不算入(=会計上は費用だけど、法人税法上は費用と認めず足し戻す)

減算項目は、益金不算入(=会計上は収益だけど、法人税法上は収益と認めず差し引く)

がメインになってきますが、法人税法の試験で一生懸命に算出する法人税法上の利益は、

「別段の定め」の集合体と考えることが出来ます。

 

受験生は「別段の定め」を、学んでいくこととなります。

 

計算問題の概要

法人税法の計算問題は、個別問題がいくつか出るパターン、

総合問題(加算調整、減算調整)があるパターンや

さらには別表調整ではなく会計上の利益修正(決算修正)をさせるパターンなど

試験委員(=試験問題を作る人)によって、出題形式は様々です。

 

ただ、最近の計算問題の特徴として、理解力を問うてくる問題が多いことが挙げられます。

計算の根拠を書かせることもあるので、勘が良いだけでは点数を拾えません。

ある一つの処理について、理由を付して答えることを要求してきます。

 

法人税法の計算問題は、理論問題とおなじく理解力が問われる問題が多いので、

なるべく理論の内容とリンクさせて計算問題に取り組みましょう。

 

多くの問題を解こう

税法の計算問題は時間が足りないケースが大半です。

問題量に起因することも多いのですが、判断に迷いが生じると手が止まります。

 

判断に迷いが生じる原因は、見たことがない問題の場合は仕方がないですが、

「問題慣れ不足」に起因することがあります。

 

個別問題は特に、パッと見て手が動くようになるまで、

授業や講義の宿題を素直に解き切りましょう。

理解力は理論が頭に入ってくれば徐々に身に付きますが、

判断の速さ・瞬発力は、問題を多く解かなければ身につきません。

 

以前のブログでも紹介しましたが、

私は個別問題は間違えなくなるまで、総合問題・模試は最低でも3回は解きなおしていました。

総合問題を解く→間違いノートを作る→個別問題を解きなおす→総合問題を解きなおす

のループである程度量をこなす必要があると考えています。

 

おわりに

法人税法の試験は、おそらく税理士試験の科目の中で最も難しいと思われます。

量もややこしさもピカイチです。

 

何年も勉強していると、何を勉強しているのかわからなくなる時もありますが、

初心に基本に戻ることが大切です。

法人税法を乗り越えられると、道は大きく拓けます。

諦めず、倦むことなく頑張っていきましょう。

 

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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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