未成年の相続人がいるときの実務注意点まとめ

desk

※Photo by rawpixel on Unsplash

おはようございます、所属税理士ブロガーのtakasagoです。

昨日は京都は葵祭で人出がすごいことになってました。

ぼく自身は京都市の中心部ではなく、宇治市に出かけていたので影響はなかったですが。

今日は、相続人に未成年の方がいる場合の注意点をまとめます。

 

目次

特別代理人の選任

未成年者について、どういう立場かを確認しておくと、

まだ成年に達していないひと

判断能力に乏しい部分がある

権利が保護されない可能性がある

利害関係のない人をバックにつけて、権利保護をしよう

 

というのが考え方の流れです。

 

未成年者が相続人になる場合に、まず行うのが

特別代理人の選任申し立てです。

これは家庭裁判所に申し立て=申請します。これがバックにつける行為です。

 

[memo title=”MEMO”]相続関係業務で家庭裁判所に行くことがあるのは

・特別代理人の選任

・自筆遺言の兼任

・相続放棄の申し立て

の3本柱です。[/memo]

 

家庭裁判所に特別代理人を選任申し立てすると、

家庭裁判所では特別代理人にふさわしい人物を選びます。

多くは親族ですが、

ここで気を付けるべきは「利益相反」です。

 

ここでいう「利益相反」とは

未成年の相続人の権利に反しない、という意味ですので

親や利害関係があるひとは特別代理人にはなれません。

印象としては、叔父・叔母などが多いでしょうか。

 

利害関係がない、利益相反しないひとが特別代理人として

未成年者の権利を保護するように動きます。

 

相続の分野における未成年者の権利とは

法定相続分と遺留分を指します。

遺留分についてはややこしいのでまた後日お伝えすることとして。

 

遺言がない場合は、法定相続人で遺産をどのようにわけるか協議する必要があり、

この遺産を分ける相談・協議のことを遺産分割協議といいます。

 

特別代理人がいる場合の遺産分割協議は、

特別代理人は未成年者の権利=法定相続分を守ろうとします。

ゆえに、特別代理人が選任された段階で、

その相続人は法定相続分を確保することとなります。

 

これはなぜかというと、

家庭裁判所に遺産分割協議案として、未成年相続人の権利が守られているかを

実際の協議成立前に報告する必要があるからです。

 

家庭裁判所は、未成年者の法定相続分が確保されていなければ

その遺産分割協議について承認しません。

よって、永遠に分割協議できないこととなります。

 

家庭裁判所では、財産の目録と遺産分割協議案でもって

客観的に判断しますので、

ほかの相続人が置かれている立場とか、

通常の未成年者が所有するような財産の規模ではなくても

大原則として「法定相続分」でもって判断します。

 

遺産分割協議

遺産分割協議が整わなければどうなるかというと、

相続手続きは全くできなくなります。

 

未成年者がいる場合の相続手続きには

特別代理人選任審判所

→特別代理人が誰になったかの決定通知

特別代理人の印鑑登録証明書

特別代理人が実印で押印した遺産分割協議書

が必要になります。

 

分割協議書自体にも、未成年者の代わりに

特別代理人が押印をすることとなります。

 

遺産が分割できなければ財産は永遠に塩漬けです。

 

順番としては

特別代理人の選任

遺産分割協議案の決定

遺産分割協議案の承認

遺産分割協議

遺産分割手続き

という流れになるので、

相続人に未成年者がいる場合には、

通常の相続よりも時間がかかることを覚えておきましょう。

 

実際、家庭裁判所での手続きだけで1か月ぐらいはかかることもあるので

段取り良くスケジュールを組んでいく必要があります。

 

未成年者控除

相続税の計算上、未成年者については税額控除がなされます。

社会的配慮がなされています。

 

控除額は、その未成年者が20歳に達するまでの年数×10万円、です。

例で考えると

12歳の相続人の場合には

(20歳-12歳)×10万円=80万円、となります。

 

1年未満の月数については、カウントしないでよいので

12歳11か月でも12歳として計算します。

 

ここでよくある間違いとして、

孫に遺贈した場合で、その孫が代襲相続人でない場合には

その孫は受遺者であって、法定相続人ではないので

未成年者控除の適用はなく、2割加算の適用があります。

 

未成年者控除の適用要件は

法定相続人であり、

かつ20歳未満であり、

国内に住所を有する

ことが大きなポイントなので、どれかが外れれば未成年者控除適用外です。

 

未成年者=未成年者控除適用、と直結すると

控除を間違えるリスクになりますので、

チェックリストなどで要件を必ずチェックするクセをつけたいところです。

ぼく自身も必ずチェックリストで確認しています。

 

まとめ

未成年者控除は適用間違いが多い控除項目です。

2割加算とともに、申告書作成時には注意しましょう。

段取りよくスケジュールを組んでおかないと、

思った以上に時間がかかってしまったりします。

 

家庭裁判所もある程度の配慮はしてくれますが、

優先的に物事を進めてはくれません。

相続税の申告があるのであれば、

普段よりもスケジュールには気を使いましょう。

申告期限に間に合わないとそれこそシャレになりません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

目次