おはようございます、京都の所属税理士takasagoです。
遺言がない場合、遺産分割協議という
相続人で誰が何を相続するかを決める、いわば会議が必要です。
相続人間でもめている場合=争族の場合、
根拠となる数字、金額で何を採用するか、で揉めることがあります。
相続財産の主なもので揉め事のタネをまとめました。
現預金
預金は簡単。
どの時点の残高を採用するかです。
亡くなった時点なのか、
相続人みんなで決めた一定の日なのか、協議をした日なのか。
「いつ」が決まれば「いくら」が決まります。
一つ決めればいいから簡単です。
それでも預金の場合は残高が確認できるので簡単ですが、
現金の場合は簡単ではなくなります。
現金は大抵が亡くなったひとの身近にいたひとが管理しています。
よって、そのひとがいくら残っていたのかを具体的に説明できなければ、
「いくら」なのかを確定する段階で揉めます。
非上場株式
非上場株式の金額は、決めることが二つあります。
それは「いつ」の時点の、「どの方法」で計算するのか、ということです。
「いつ」なのかは、前述の通りです。
一方の「どの方法」かを決めるのは一筋縄ではいきません。
というのも、非上場株式の金額を算定する方法がたくさんあるからです。
相続税という視点で見れば、財産評価基本通達という
相続税を計算するときに使うルールで株価を計算することができます。
でも、その会社の生み出す利益に着目した株価の計算方法もあります。
裁判になったりすると、複数の方法で計算した株価を
その実情に合わせて一定の割合で平均したりした金額を使ったり。
通常は相続の場面の話なので、相続税を計算する際の方法が採用されますが、
それも相続人間で同意する必要があるので、これも揉め事のタネです。
基本的に遺産分割で揉め事が発生している場合、
何かを決めるのには相続人全員の同意が必要です。
みんながコレでイイよ、とならなければなりません。
つまり、相続人の数が増えれば増えるほど
利害が対立するので、揉め事は収まりません。
揉め事を少なくするという点で考えるならば
遺言があったほうが絶対に揉める可能性は低くなります。
これはこれでまたの機会に、ブログでアウトプットします。
非上場株式を相続税計算のためのルールで計算しても
上場株式のように市場があるわけではなく
株式の保有数によっても価格が違ったりします。ややこしいですね(笑)
中小企業の経営者や株主の相続で揉め事が起きた場合、
非上場株式は結構な確率で揉め事のタネになります。
かつては、株主が7人以上でしか株式会社を設立できませんでした。
7人の株主がそれぞれの親族に株式を分散して相続させた場合、
どんどん散らばります。
例えば7人の株主がそれぞれ3人の相続人に株式を相続させると
7人×3人=21人。
うんざりです(笑)
中小企業の社長や株主の相続対策を考える際には
株主の集約がポイントになるのはこういう理由があるからです。
細分化すると収拾がつかなくなります。
不動産
つづいて不動産の金額です。
不動産は一物多価といって、イロイロな価格があります。
「いつ」については、これも前述と同じです。
「いくら」について考えてみます。
固定資産税評価額
→固定資産税を計算するための価額。市町村で決定
相続税評価額
→相続税を計算するためのルール、財産評価基本通達で計算
国税庁発表の路線価などがベース。計算する税理士で金額が異なる場合がある
不動産鑑定評価額
→不動産鑑定士が鑑定により計算する金額
不動産が生み出すであろう収益なども加味されて計算される
これら3つが主流ですが、最も高くなりがちなのが不動産鑑定評価額です。
計算する不動産の周囲の売買取引事例なども加味されるためです。
これもどの金額を使うかで相続人全員の同意が必要です。
つまり揉め事のタネです。
まとめ
遺産分割での揉め事のタネをまとめてみました。
出来るならば揉め事はもちろんないほうがいいんですが、
相続業務に接していると残念ですが揉め事を目にする機会は多いです。
揉め事にならないように、というのも大事な相続対策なので
今後は「揉め事にならない相続」を提案できるようにしていきます。
相続対策は事前準備がすべてです。