おはようございます、京都の所属税理士takasago(@co_develop)です。
相続税は金銭一括納付が原則です。じゃあ、有価証券にしておくから
相続が発生したら売却して納税資金に充ててね、というケースは結構見受けられます。
財産を遺す人はそれで良いでしょうが、財産を遺された人は困ってしまうケースがあります。
有価証券のコトは全然わからないし興味ないわってケース
有価証券にはイロイロな種類があります。
上場株式はもちろんのこと、公社債や投資信託など、
市場で取引しているものは多種多様です。
有価証券にご興味があれば、値動きなどに対して興味があって
保有しておきたいモノ、手放しても良いモノの判断を相続人の方が
ご自分で行います。
でも有価証券に全く興味がなければどうでしょう。
まず手元に残すかどうかの判断に困られます。
そして全部売るにせよ、タイミングに困られます。
よく有価証券に限らず不動産についても売り時をご相談されることがあります。
市場性があって、価格の変動があるモノの売り時の判断は非常に難しく
買いたい人がいるときが売り時といえば売り時です。
有価証券であればいつでも売れると言えば売れますが
不動産は売りたいときに売れないのが常です。
買いたい人が出てきたときに都度都度で判断するのが良いかと。
不動産のハナシは置いておいて。
有価証券は証券会社の証券口座で保有することになりますが、
有価証券を相続した場合、証券口座を開いて有価証券を移す手続きが入ります。
その際には、たいがい担当の方がつきます。
証券会社としては、有価証券を保有してもらい続けて
さらに証券口座内で商品を組み替えたりしてほしいわけです。
証券会社というのは基本的に手数料ビジネスです。
イロイロな視点でのご提案を相続人の方にされて
相続人の方がますます困ってしまい、税理士に相談してみる、という流れであればまだ良いほうです。
税理士に相談する余裕もなく、よく理解が及ばないまま複雑な商品を買ってしまった
というのは後の祭りでよく耳にします。
有価証券にご興味がない相続人の方は、
保有しないと決めたら全部売却したほうが良いかと。
有価証券が大好きで価格推移がメッチャ気になるケース
一方で有価証券が大好きな方もいらっしゃいます。
または物凄く興味がある方。
こういった方が有価証券をご相続されると、何が起きるか。
かなりの割合で値動きに一喜一憂されます。
ご高齢の方の場合には多くないのですが
比較的お若い相続人の場合には、スマホによって値動きに心奪われることがいつどこでも可能です。
そうなると心休まる時間と場所はありません。
気が付くとかなり疲弊してしまう場合も。
また有価証券がお好きな方は手広く保有されるケースが多いです。
そうなるとFXとか仮想通貨とか、かなり投機性の高いモノにのめりこんでしま方も。
ご相続されると一気に財産が増える方も多いです。
そうなると金銭感覚のタガが外れてしまうこともあるので
有価証券がお好きで、ご相続された場合には、ご自身で保有や売却のルールを
設定することをオススメしています。
相続開始後に大きな株価の変動があったケース
相続税はある人が亡くなった時点で遺した財産に課税されます。
相続税を課税する価格の計算を財産評価と言いますが、
財産評価にはルールが定まっています。
有価証券の場合、原則として亡くなった日の市場価格でもって価額を計算します。
相続税を有価証券を売却して払おうとしている場合、
評価時点と売却時点とのタイムラグが生じます。
評価時点で高い値段がついていたものが
売却時点で低い値段になってしまっていることは多々あります。
この値動きを予見することは非常に難しい。
(それができるならぼくは税理士をしてませんね(笑))
要は高い価格で相続税が課税されて、低い価格で売却して相続税を払うケースになると
相続税を払えるかどうかわからない、そういう場合が発生し得るということです。
このタイムラグによる不利益の解消については数年前から税制改正要望として
毎年上がっていますが、まだ実現していません。
相続税の申告期限は相続開始の日から10か月以内です。
申告期限以内に申告書を提出して納税をすることになります。
この10か月の期限というのもネックになって、
安い価格で売らざるを得ず、結果として税負担が重くなるケースが見受けられます。
有価証券を売却して納税資金に充てる予定がある場合には
相続開始後ではなく相続の起きる前に財産を保有している方が
タイミングをみて売却しておき、納税資金が確保できる現預金に変えておくと
相続人の方はそれはそれは喜びますし何より安心です。
お元気なうちに金融資産を整理しておかれることを相続対策ではオススメしています。
まとめ
相続の業務をしていると、ご高齢の方でも有価証券を保有している方は結構多い印象です。
ネット証券真っ盛りの時代ですが、いまでも証券会社の外務員の方は
有望顧客の方、見込み客の方には足しげくご自宅に通う場合も多く、
押し切られてしまったり、うまく断れずに購入するケースもあるでしょう。
お仕事なのでそれ自体は否定しませんが果たして税金のコトや
相続人のコトをどれほど考慮されているのかなぁと思う次第です。
ぼく自身はお元気なうちに整理しておくことを常々ご提案しています。
参考になれば幸いです。