その書類、印紙の貼付がいるんじゃない?

印紙

印紙

おはようございます、京都の所属税理士takasago(@co_develop)です。

印紙税、なじみがある人もない人もいるでしょう。

税務調査でもよくヤリ玉にあがりますし、しばしば貼り漏れています。

どんなシーンで登場するか、基本を整理します。

 

目次

印紙税とは

印紙税とは、不動産の売買契約書や領収書など

日々の経済取引等に伴って作成される特定の文書について課税されます。

 

この特定の文書のコトを課税文書といって

1号文書から20号文書まで、細かく分類されています。

 

印紙税の納税義務は課税文書を作成した時に成立し

その課税文書を作成した者が納税することになります。

 

納税の仕方は、印紙を購入して課税文書に貼付して消印します。

要は貼り付けて印鑑で割り印を押す流れです。

 

課税文書は契約の内容等によって区分されるのですが

この区分のされ方が非常にややこしいです。

 

特に判断に迷うのが

請負契約か委任契約か、記載される契約金額、この2点です。

 

ちなみに貼付漏れしているとどうなるかというと

過怠税と言って本来納めるべきだった印紙税の3倍が課税されます。

仮に2万円の印紙税添付義務があって、貼付漏れしていた場合には6万円です。

もちろん全額損金不算入です。(オーマイガー!)

 

さらに貼付はしたが消印(印章でまたは署名で消す)していなかった場合にも

消印されていなかった印紙税相当額が過怠税として課税されます。

 

貼り忘れたら3倍返しを喰らう、そのように理解しましょう。

なので貼り忘れないように十分に気を付けるべきです。

 

一方で、税務調査で指摘された場合には「印紙税不納付事実申出書」を

調査官から提出するよう指示されることもあるでしょうし、

そのように交渉できれば過怠税は10%でおさまることもあります。

 

さらに言及すると税理士法第2条では印紙税は税理士の業務範囲から除かれています!

なので税理士は印紙税については税務代理することはできないから

税務調査対応をしない、というワケにもいかないでしょう。

 

ここまでは基本的な事項を整理しました。

次は実務でよく見かけるシーンを見てみましょう。

登場するシーンは

よく見かけるな、と思うものを列挙してみます。

 

領収書

領収書は5万円以上の売上金額を領収した場合には印紙を貼付する必要があります。

レジでその場で発行する場合も、です。

 

ちなみに銀行振り込みの場合には、本来は領収書の発行義務はないですが

支払った側から領収書の発行を依頼された場合には発行に応じる義務があります。

 

振込請求書については

「金融機関からの振込依頼書・明細書をもって領収書に代えさせていただきます」

という旨を明示しておけば、領収書の発行依頼自体が減ることが見込めるので

結果として印紙税の節約になります。

 

クレジットカードでの支払いの場合はどうかというと

クレジットカードでの支払いというのは信用取引として位置付けられており

領収書という名前で発行していても、金銭の受領事実がないので

課税文書に該当しない旨の例示が国税庁からも明示されています。

 

ちなみにクレジットカードで支払ったことが分かる領収書でなければ

課税文書に該当するとみなされるので

「クレジットカード利用」の旨を領収書に記載する必要がありますので

くれぐれもご注意ください。

税理士の契約書

税理士はどうかというと、ココは非常にややこしく(笑)

 

まずは請負契約か委任契約かの区別が必要です。

ザックリいうと、

請負契約は仕事を完成させてその仕事の結果に対して報酬を支払う

委任契約は委託した業務を行うことに対して報酬を支払う

というイメージです。

 

決算報告書や申告書の作成という税務代理業務については

仕事を完成させて成果物をおさめる必要がありますので請負契約です。

請負契約の場合には2号文書になります。

また、税務相談だけの場合については成果物が伴わないので委任契約。

委任契約の場合には印紙税は非課税です。

 

請負契約だとして、継続的な取引(契約期間が3か月を超えるもの)の場合

例えば月次顧問の場合には、課税文書としての区分が変わります。

7号文書になります。

 

ここからさらに一歩進めて、営業者という考え方があるのですが

税理士個人は営業者ではなく、税理士法人だと営業者になります。

ここが一番の謎です(笑)

 

継続的な顧問契約の場合には

税理士個人の場合には2号文書、税理士法人の場合には7号文書(又は2号文書)です。

2号文書と7号文書の両方に該当する場合には、

契約金額の記載の有無でどちらで課税するか判断します。

 

契約金額は契約期間が定まっていないと計算できないので

例えば月額顧問料〇万円、との記載で契約期間が定まっていない場合には

契約金額の記載がないと判断されます。

 

整理しておくと

税理士個人の場合の請負契約は2号文書、

税理士法人の場合の請負契約は契約金額の記載ありなら2号文書、なしなら7号文書。

 

なぜここまで細かく〇号文書の中身を確認したいかというと

印紙税の金額が違ってくるからです。

7号文書の場合には印紙税の金額が4,000円です。

2号文書の場合には最小の印紙税の金額は200円ですので20倍!

 

まとめ

印紙税はその取扱い、判断が非常にややこしいです。

実務でもちょくちょく問い合わせがある項目なんですが。

先日、事務所の先輩税理士から印紙税の本を開業祝いの一環でプレゼントされました(笑)ので、思い切って記事にしてみました。

印紙税にご興味のある方は国税庁HPの質疑応答事例に目を通してみましょう。

 

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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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