もめてる相続もタイムリミットは10ヵ月と考えておく

タイムリミット

タイムリミット

おはようございます、京都の所属税理士takasago(@co_develop)です。

相続業務を担当していると、イヤでも「もめている相続」にぶち当たることがあります。

もめている場合も特に「10ヵ月」を意識してもらったほうがいいよ、というおハナシです。

 

目次

タイムスケジュールのおさらい

相続開始日=(基本は)お亡くなりになった日からタイムスケジュールをおさらいしておきます。

相続業務は申告がある場合、ない場合で全くタイムスケジュールが異なりますが、相続税申告が必要な場合を想定しています。

 

相続開始日

通夜・お葬式

初七日などの法要

だいたい49日明けからの関与が最もスムーズな関与の仕方です。

 

顧問先の社長や会長、顧問、相談役などが亡くなった場合にはお葬式などへの参列もあるでしょうし、会社、プライベート問わずの手続きの相談もありますから関与の段階としてはかなり早いほうです。

 

相続税の申告がある場合には、申告期限は亡くなってから10か月です。

その申告期限までに申告書を提出して、納税があれば納税を済ませる必要があります。

 

遺言がある場合には比較的スムーズです。というのも、遺言は何にもまして優先されるからで、遺言が最優先に取り扱われます。

親族間などで「もめている場合」もコレは同じで、基本は遺言に基づいて申告書を作成するコトになります。

 

遺言について争いがある場合、例えば遺言の不備があって無効の申し立てをしたり、認知症があって本人の遺志ではないと主張したり、という場合。

長期化するコトが大半ですから、相続人間で同意がとれれば遺言の通りに一旦申告書を提出し、そのあとでトコトンやってもらう、というのもありえます。

遺言に基づかないで、ということであれば法定相続分で申告をすることもあるでしょう。

 

どっちにしたって10ヵ月に変わりはありません。

 

遺言がなくて遺産分割協議の場合も考え方としては同じですが、遺産分割協議の場合には相続人間で財産の分割を協議=相談して決める、必要があるのでタイムスケジュールとしてはタイトです。

 

登記が完了している必要はないですが、分割協議がととのっている必要はあるので、どんなに遅くても申告期限の2週間前には分割協議が成立する必要があります。

 

遺産分割がととのわなければ当然、未分割申告として特例の適用が出来ず、高額な税金を一旦納める必要があります。それも分割できていないので相続人の個有財産から納税する必要があります。

 

もめていたってイイことなんか何にもありませんが、それでも揉めてしまったもんは仕方がないので、どうするか、どうなっていくかを考えておく必要があります。

「もめている」と一言で言ってもその度合いは実は全く違います。

もめている相続にも度合いがある

ただでさえ「もめている」状態というのは、皆さん避けたいですが、度合いによっては、10ヵ月以内に分割を決めてしまえる場合もあります。

仮に、10ヵ月以内に分割がまとまらない場合はどうなるかというと。

 

10ヵ月以内に分割がまとまらない

家庭裁判所での調停へ

家庭裁判所ので調停が不成立=裁判へ

家庭裁判所での決定・判決に不服がある

上級審へ

 

という流れになりますが、この間、相続税の申告書をどうするのかというと、期限内申告書=10ヵ月以内の時点で一旦提出する申告書に、申告期限から3年以内に分割できる旨の見込書というものを添えて提出しておきます。

 

この見込書をつけておくことで、3年以内に分割できればその時点で分割できた内容で申告書を提出しなおし、各種特例も受けることができます。

また3年経っても分割できていない場合、裁判に移行している場合には訴状の写しなどをそえて、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を税務署長宛に提出し、承認をうけることができれば、3年を超えて分割できた場合にも各種特例を適用することができます。

 

上級審まで裁判がもつれた場合、5年6年は遺産凍結のうえ裁判が継続します。長い長い戦いになりますし、場合によっては10年近くもめてしまう場合もあります。

 

こうならないためにも「もめごと」は少ないほうがイイのですが、もめ方の度合いによっては10ヵ月以内にまとまる場合もあります。

 

レベルで表してみると

レベル1:ただ単に仲が悪いだけ

レベル2:第三者がいる同じ場所には集まれるが直接話はできない

レベル3:お互いに連絡は取れない、取りたくない。双方に代理人弁護士がついている

というイメージです。

 

レベル1では、だれとだれが仲が悪いのかを見極める必要があります。特にここでは相続人以外のひと、つまりは外野の人がいないかどうかを確認する必要があります。

自分がもらう財産でもないのに口を出してきて場を乱す、相続人じゃない人にはご退場ねがったほうがいいでしょう。

これは10ヵ月以内にまとまる可能性があります。

 

レベル2では、お互いの主張はあるけれどもそれを直接ぶつけられない、感情的なモノがはいってきてしまって話し合いがうまく成立しない、そんな場合です。

相続でもめて弁護士さんにお願いする、というともめている双方で弁護士さんをお願いするイメージがあるかもしれませんが、お互いが信頼できる弁護士さんひとりに仲介・利害調整・仲立ちをしてもらう、という方法もあります。

ぼく自身も実際の業務でこのパターンで顧問弁護士さんに仲介をお願いして、うまくまとまったことがあります。

これなら弁護士さんにうまく立ち回ってもらって、仲介してもらえれば10ヵ月以内にまとまる可能性があります。

 

レベル3で双方に弁護士さんが付いている場合にはトコトンもめ始めているので、10ヵ月以内の申告というのは見込めません。

3年以内の分割見込書をつけて、そのあとの流れを粛々とご説明することになります。

 

ただし、双方に弁護士さんが付いている場合、税理士も双方についている場合があります。

この場合には可能であれば申告の内容を揃えておくことを検討してください。というのも、税務署からすると同じ人の相続税申告書で内容が違うものが2つある、という状態は看過できないのでかなり高い確率で税務調査に移行してしまいます。

 

それを避けることができれば相続人の負担も減少するのかなとぼくは思います。

まとめ

もめごとのある相続は、精神的にも体力的にも相当にハードな場合があります。

もめ方の度合いによっては10ヵ月以内で申告も可能なので、どんな風にもめているのか、税理士として公正中立な立場で一歩引いて、よく観察してみることをオススメします。

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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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