↑こういうことを感じるようになるともはや職業病の感もありますね(笑)
京都の所属税理士takasagoです、おはようございます。
皆のあこがれ古都京都。でも京都の土地を相続税評価で計算しようとすると難易度高めな時があります。
ぼく自身が京都の不動産の評価で実際に感じたこと、日々感じることをお伝えします。
古い町並みだからこそ
冒頭の写真の場所、多分祇園界隈なのかと推察します。
こういった場所のコトを風情がイイと皆さん思うでしょう、ぼくも思います。
でもいざ相続税評価してくださいって言われたらどうか。
気を付けてみなければいけない部分がこの写真だけでもいくつかありますね。
まずは、2項道路に該当するかどうか。
2項道路とは簡単に言うと古い道で道幅が4m以下の道路という認識でとりあえずはよいです。
この2項道路に接している場合、建物を建築する際にはセットバックと言って、道路の中心から2メートルまで後退して=敷地を道に提供して、建物を建築しなければなりません。
今建っているものは置いておいて、新しくその土地に建物を建てる際には、というハナシです。
京都はやはり古い街ですので、ハッキリ言って大通りを少し入ったりすると2項道路ばっかりです。
また2項道路に該当するかどうかは現況で確認して4m以下かどうか確認する必要があります。
なので現地確認はマストです。
さらに、土地の評価をする際、皆さんも公図というのを取得して参考にする場合が多いかと思います。
公図とはいわば法務局備え付けの土地の所在地をおおまかに記した地図です。
この公図、財産評価上は参考程度にしかなりません。
というのも古い町並みで測量がすべての土地に入っているわけではないので、縮尺も精度も不明な公図が基本です。
なので公図を全面的に信用して財産評価することはかなり危険です、京都の場合は。
公図でも縮尺とか精度の記載がある場合、地図や航空写真とほぼ同じではあるのですが、京都の公図は場所によってはぐちゃぐちゃです。
見ても混乱するだけの場合もあります(笑)
さらにいうと、土地については道路に提供されている部分が意外と多く、また固定資産税の課税も道路提供部分を含んでいることもあります。
そうなると、道路提供部分についての固定資産税の減免も検討する必要があります。(住宅用地の軽減措置とは異なりますのでご注意ください)
では建物はどうか、というと。
建物は固定資産税評価額がベースで相続税評価を算定しますので簡単だろうと思うなかれ。
建物でも減額要素はあります。
それは文化財建造物に該当する場合には減額できるというものです。
いわゆる祇園界隈は町家が立ち並ぶ伝統的建造物群保存地域に該当するので、評価対象の建物がその伝統的建造物群を形成しているかを確認する必要があります。
また該当すれば建物だけではなく、土地も一体とみなされて減額対象になりますので、さらに減額できる可能性が増します。
→「文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の評価」でお調べいただければ分かります。
はいもうイヤだなって思っている人がいるでしょうがまだまだ京都ならではがあります。
ウナギの寝床はややこしい
京都の町家は古いモノが多いです。
特にウナギの寝床と称される、路地状部分があってその先に家屋の敷地があるような場合。
↓(こんな土地です)
間口が狭いだけならまだしも、接道義務を満たしていない土地もあるわけです。
また接道義務は2mと思い込んでいるとイタイ目にあいます。
接道義務は道路からの奥行距離で間口距離が変わります、それも市町村によってことなるので注意が必要です。詳しくは市区町村の建築基準条例をご確認ください。
例えば京都市の場合、路地状部分の長さが20メートルを超えて35メートル以内の場合には、
2+(路地状部分の長さ-20)/15の算式で接道義務を満たす間口距離を計算します。
35m超の場合には4mの接道義務があります。
また路地状の部分がまっすぐであればよいですが、カギ型のようにくねっと曲がっている場合もありますので、そうなるとさらに難易度があがります。
また、接道義務を満たしていない土地があるぐらいですから、無道路地もあるわけで。
そうなると財産評価上ではかなりややこしい形状の土地がバンバン出てくることになります。
京都は町並みを残す取り組みを今、行政側も熱心に取り組み始めていますが、それでも町家がどんどん取り壊されています。
町家を維持するにしても相当に費用は掛かりますし、バランスをとるもの難しいのかなと。
まとめ
毎年40~50件、京都の不動産を財産評価していると、測量図がない土地のほうが多い印象です。
不動産鑑定士の先生にご相談することもありますし、鑑定評価を取ることもあります。
京都の土地は今物凄く地価が上昇していて、実勢価格でいうと路線価の3~4倍の地域もあるぐらいです。
不動産の評価は税金計算に対しての影響が大きいので、慎重にかつ丁寧に作業するコトを日々心掛けています。