おはようございます、京都の若ハゲ税理士ジンノです。
税理士試験3日間の予定を終えた受験生のみなさん、お疲れさまでした。今年は新型コロナウィルスの影響もあり普段と違う勉強の環境と、受験当日を迎えたのではないでしょうか。
ホッと一息つきたいところですし、緊張感と疲労でそれどころではないかもしれませんが、税理士事務所に就職・転職しようと考えているのであれば、今からは税理士業界への就職・転職の時期です。
税理士事務所への就職シーズンは夏の試験直後と、12月の合格発表後です。大手専門学校でも就職面談会(オンライン含む)を開催しています。
いまから税理士事務所(税理士法人含む)に就職しようと検討している受験生が就職面談の際に聞いておきたい事項とキラー質問がないか考えてみました。
面談の時に聞いておきたいこと
ぼく自身も受験生を経験して、受験生(簿記論、財務諸表論、法人税法の3科目)の状態で他業界から転職してきました。
なのでこんなことが聞きたいなと思うことは経験者として想像しやすいです。聞いておきたいことはズバリ3つ。
実務経験2年の証明をもらえるか
税理士事務所に就職する大きな理由の一つに実務経験2年を積むことが挙げられます。というのも税理士試験は5科目を晴れて合格しても、実務経験2年が登録の際に求められる登録条件になっています。
この実務経験をどこで積むか、というのは気にしておきたいところで、いわゆる税理士事務所ではなく事業会社でもOKな場合がありますが、その場合はハードルが少し高い。
メジャーな方法としては税理士事務所で2年間以上勤めるというのがぼくの周りでもよく聞く税理士登録の流れです。
つまり、税理士登録を考えている場合にはどこかの税理士事務所で実務経験を積んでおくのが最もストレートな登録への道です。
この点を踏まえたうえで、では実務経験って実際にはどう証明するかというと「所長先生の署名」だけで、何か別で試験があるわけではないのです。
この「所長先生の署名」が所長先生によってはハードルが高くなります。
風のうわさでは「実務経験2年の証明をお願いしたら退職勧奨された」とか「実務経験2年の証明は出さないと言われた」とか、イマドキそんなことがあるのかと思う対応をされた税理士さんがいるそうです。
他にも、実務経験2年の証明をお願いしたら今月末でクビね、とあからさまなケースもあるようです。レアケースかもしれませんが。
実務経験の証明をもらうときに場合によってはひと悶着あるかもしれない、ということはアタマの片隅置いておいたほうがいいでしょう。
かといって、面接の場で「5科目取れたら実務経験の証明は何事もなくしていただけますか?」とは中々聞きづらいものです。むこうから言ってくれた助かりますが、そうとはかぎりません。
ここを上手に聞ける質問がないだろうか、まず考えたいところです。
勉強時間を確保できるか
受験生の状態で就職するわけですから、その後大学院に行くにしても試験での受験を続けるにせよ、勉強時間が必要なことは明らかです。
仕事の時間に勉強するわけにもいきませんから、仕事が終わった後やその前に勉強をする時間を確保する必要があります。
この勉強時間を確保できるかもかなり重要度が高い聞きたいことのひとつにあげられます。
というのも、受験生が実務経験2年の証明も見込んで税理士事務所に就職した際に、仕事の忙しさに流されて合格が遠のく、という現象が割とよく見られます。
税理士事務所と言えども忙しさは事業会社と変わりないですし、業界としての繁忙期が12月から3月までの確定申告時期まであります。
税理士事務所に就職した受験生にとってこの12月から3月の期間にいかに勉強を遅れずについていけるかは合格への大きなポイントです。
繁忙期にはまず仕事優先ですから、専門学校の授業も飛ばしがちですし、勉強も遅れる傾向にあります。そのままずるずるとなし崩し的に勉強時間がうまく確保できずに、受験当日を迎えてしまうケースもよく耳にします。
これはとても不都合な真実だとぼくは思っているのですが、税理士事務所に就職したがゆえに忙しすぎて勉強時間が足りず試験合格が遠のくケースはひょっとすると結構あるのかなと。
そう考えると、就職した後の特に繁忙期に勉強をする時間、専門学校に通う時間を確保できるかは受験生にとってはとても重要な聞きたいことのひとつになるのがお分かりいただけるでしょう。
最近では募集要項に「繁忙期も残業〇〇時間」とか「受験生は受験休暇が取れます」とか書いてあることもあります。
書いてあるとはいえ実際のところは聞いておきたいところですが、中々ストレートに聞きづらいでしょう。
資格手当などの給料面は変わるか
税理士登録に際して2年間の実務経験が必要なことは前段で解説しましたが、丁稚奉公ではないのでもちろん仕事に応じてお給料を貰います。
これが登録した前後で変わるのかどうか、というのも聞いておきたいところです。
資格手当として1科目〇万円とか〇千円の場合もあるでしょうし、税理士登録したら〇万円みたいなこともあります。
せっかくおカネと時間をかけて税理士試験にチャレンジして合格し登録したのですから、責任ある仕事をより担うことでお給料が上がり、少なくとも受験にかけたおカネは回収したいと思うのはぼくは自然なことだと考えています。
この点も聞けるのであれば聞いておきたいですが、最初からガツガツ聞くと印象を大きく左右しますし、これも中々聞きづらい質問です。
税理士登録したらお給料上がりますか?というのは面談をする人が税理士であればあまり気にしないでしょうけれど、これが税理士じゃない人が面接担当だと気分を害する可能性があります。
税理士試験の受験生が就職面接のとき聞いておきたい「キラー質問」
「実務経験2年の証明をもらえるか」「勉強する時間は確保できるか」「資格手当などの給料面は変わるか」
この三つを上手にそれとなく聞き出したいところですが、何かいい質問はないか、以前にも受験生から相談があってこう聞いてみてはどうか、ということをぼくなりに考えてみました。
受験生は就職面談の際にこう聞いてみてはどうでしょう。
「〇〇事務所さんで受験生から税理士登録した方はいますか?また今もお仕事を続けてらっしゃいますか?」と。
この質問であれば聞けると思います。そして聞きたいことが透けて見えてくるとぼくは考えています。(事務所経営者の方は余計なことを書くなと言われそうですが)
まず最初の「この事務所で受験生から税理士登録したか方がいるか」という部分ですが、答えがイエスであれば少なくとも実務証明2年は出している可能性が比較的高い、ということが分かります。
ノーであれば黄色信号です。なぜかというと所長先生の年齢と事務所の規模や設立からの年数にもよりますが、実務証明を出さない可能性と勉強できる時間が確保できない可能性があるからです。
それなりの規模(20~25人)で設立から相当経っていればそれまでに受験生が就職している可能性は高いです。
その受験生が受験をやめてしまう事情があったかもしれませんが、勉強する時間がないのかもしれない、という可能性もあるわけです。
この質問をして気さくに答えてくれたら全然いいですが、機嫌が悪くなるなどあからさまな場合にはもっと黄色信号です。実務証明についてポジティブに捉えていない可能性が高いと考えてよいでしょう。
続いて「今もその事務所で仕事を続けているか」という質問からわかるのは事務所の居心地の良さです。
合格した人がその事務所に居続けるのは、独立志向がないなどの要素もあるかもしれませんが、少なくとも居心地がいい可能性が高いです。
登録しても給与面も含めて居心地が悪ければ退職しているでしょう。コレだけがすべてではないですが、なんとなく勘づけることもあるかなと。
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何を最優先にするか決める
勉強する時間も確保できて、実務証明も問題なくしてもらい、お給料もよい、という職場はあるかもしれませんが多くはないでしょう。この3つが良くても、人間関係として合わない人がいてイヤ、という可能性もあります。
ただ、受験生という立場であれば優先順位を決めておくのも大事で、とくに勉強する時間があるかどうかは優先順位高めのほうがいいとぼくは考えています。
ぼくの場合は、5科目のうち3科目持っている状態で転職し、法人税法を持っている状態だったので勉強時間の優先順位は少し下げていました。
というのも数字的に3/5以上の重みが法人税法(または所得税法)にはあって、あとの科目は望まなければいわゆるミニ税法と呼ばれるものでも自分が納得できるのであればよいと考えていたからです。
素直な心情としては税理士試験のヤマは超えたかなと考えていました。
税理士になるという目標があるのであれば勉強する時間がないと合格が遠のきます。特に法人税法か所得税法が残っている場合には、勉強できる環境を優先したほうがいいでしょう。
以前に勤めていた先でも、このいずれかの科目に合格するのが勉強時間が確保できなくて撤退しつつある受験生を見てきました。
環境を整えるという意味でも転職、就職のタイミングは計画的にしたほうがいいです。
ぼくは前職がまったくの畑違い(医療関係)だったのと、法人税法取ったら転職すると決めていたので、そういう考え方でもありだと思います。
大きな企業に勤めている場合には待遇や福利厚生、休みの取りやすさひとつとっても税理士事務所より優遇されていることもあるでしょうし、慎重に判断したほうがよいです。
まとめ
実務経験2年という条件も重みがありますが、受からないと始まりませんので優先順位をある程度自分の中で決めて就職活動、転職活動に取り組んでみましょう。
勉強する環境を最優先に考える、ということでしたら就職先はひとまず税理士事務所じゃないほうがいい、それぐらいの考え方でもぼくはアリだと考えています。
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