クラウド会計ソフトfreeeの広告に感じること

クラウド会計ソフトfreeeの広告に感じること

クラウド会計ソフトfreeeのカスタマーサポートセンターのお話が目に入ってきて、大変だろうなと思いつつ、クラウド会計ソフトの広告に感じることなどを書いてみます。

目次

簿記の知識がいらない、という広告

freeeの広告で、簿記の知識はいらない、確定申告も自分でできる、税理士要らず、みたいなことがアピールポイントで打ち出されているのを見かけます。

実際のところはどうかというと簿記の知識はなくても出来る人もいれば、やっぱり出来ない、というかたもいます。

簿記の知識があればなんとか使いこなせる印象ですが、これまでの会計ソフトとは考え方が違う部分もあって他の会計ソフトを使っている方からすると違和感を覚えるようです。

それは税理士も同じでfreeeとはまったく付き合いがないという税理士もいれば、freeeを会計ソフト以上のものとして使いこなしている税理士もいます。

確かに広告として自分でできる、簿記の知識がいらない、という打ち出し方をしている以上は「聞いてた話と違う」というクレームがあっても致し方ない部分はあるかなと。

売りだし方がそうなってしまっているわけですので、買い手の認識とのギャップが大きいとクレームに繋がります。

今回の場合で言うと申告が簡単にできるならそうしたい、簿記の知識がなくても大丈夫だろう、税理士報酬もいらないみたいだし、という期待値に対して実際のところは違ったということが原因なんでしょう。

そういう期待を持った顧客を集めてしまう広告を打ったということに一因はあります。

ただカスタマーサポートの相手に対して電話口で脅迫や恫喝をするような、相手に恐怖を与えるような強い言葉を使うことは問題です。

聞いてた話と違うというのは伝えてしかるべきかなとは思いますがそれと使う言葉、語気を強めていいということとは別です。

クレームを減らすためには

では、このような聞いてた話と違う状況やクレームが発生しないようにするにはどうすればいいか。

簿記の知識がある程度ないと会計ソフトを使いこなして申告書を作り提出することには一定のハードルがあることを認めたほうがいいと私は考えています。

そうしないとこの手のクレームは広告を打ち出し続ける限りは途切れることがないでしょう。

またせっかく契約して会計ソフトを使えるようになっているのですから、例えばこういう部分が間違っているかもしれません、というアラートが出るようにする。

そこから間違っている部分を直すにはこういうプロセスが必要ですという案内をしてはどうでしょうか。

例えばマイナス残高になっている現金勘定など、われわれ税理士が一目見たら間違った状態であることは明らかです。

簿記の知識がないひとからすると何をどう間違っているのかすら分からない状態でしょうから、そういうことの解消をシステムの一部として組み込んでみてはどうかなと。

おかしいと思われる部分を直せる、アドバイスが貰えるだけでもユーザーは安心できると思います。

内容が合ってるかどうかわからないというのはけっこう不安

この安心できるというのはやはり大事で、というのも私のところにご相談に来るfreeeユーザーの方の多くが「できあがったつもりだけど、どこか間違いがないか不安。」という申し込み理由が圧倒的に多いからです。

合っているかどうか見てほしいというご依頼がfreeeユーザーの場合は特に多い印象です。

拝見すると出来ている方もいれば、この状態で申告するのは結構リスキーだな、という方もいて一概には言えないですが、印象としては「何処かが間違っている可能性がかなり高い」という方が多いです。

合っているか間違っているかわからない、というのは確定申告の経験の有無ではなくて簿記の知識があるかないかがポイントです。

そこを解消しようと思うとマイナス残高がおかしい、それを直せる、というところまで自分で簿記の知識を多少なりとも身につける、それか専門家にアドバイスをもらって修正するしか現状ではできません。

freee側でそのサポートをやっていない(むしろ必要ないとうたってしまっているわけなので)以上は自分で間違いに気が付けないと間違ったまま申告をしてしまうことに繋がります。

あとはセルフでやってみようと思ったけどやっぱり無理そうだ、ということに気がつけるかどうか。

こう言っては何ですがギブアップする方も結構いらっしゃる印象です。

私のところではfreeeを使っているけれどできているかどうかわからない、という場合のご依頼は基本的に中身を見てからじゃないとサポートできるかどうか判断できない、とお伝えしています。

最悪の場合、イチから入力などをしなおしたほうが早いかもしれない、という状態はあり得ます。

合ってるかどうかわからないというのはそういうリスクを抱えるということもアタマの片隅に置いておいていただきたいところです。

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まとめ

今後はインボイス制度の開始で消費税の申告が必要になる個人事業主のかたや法人の方も増えるでしょう。

そうなるとますます税理士側でfreeeユーザーの申告を受任することが減ることも予想されます。

現状でセルフで申告をしているかたは今のうちにどう対応していくのがいいか、freeeユーザーで税理士にチェックやサポートを受けていない方は特に考えておいたほうがいいかもしれませんね

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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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