減価償却費を計上しないことはありかなしか

減価償却費を計上しないことはありかなしか

少し前にSNSで減価償却費を計上しない決算はありかなしか、というのが話題になっていました。

一般のかたには頭の中にはてなマークがたくさん浮かぶと思いますが、意外とスタンスが分かれるんだなという印象でした。

減価償却費を計上しないことがありかなしか考えてみます。

目次

減価償却とはそもそも

減価償却費は魔法の経費、というわけでもなんでもなく、一定金額以上の固定資産を購入した場合の経費化の手続きです。

100万円の車を買ったら買ったときに100万円全額が経費になるわけではなく、時間の経過により価値が減少することや業務への使用頻度などを考慮して、複数年度にわたって経費にしていきます。

イメージとしては取り崩していくようなイメージですね。支払ったタイミングと経費になるタイミングが違います。

余談ですが、減価償却費で節税などとうたう不動産販売業者やコンサルティングのうたい文句、広告を見かけますが、払った金額以上に経費になるわけではないので節税でも何でもないです。

また特別償却も将来に計上する減価償却費の前倒しなだけですので、もし特別控除が選択できるならそちらの方が有利になる可能性はあります。

さておき。

車両購入のために100万円支払っているけれどもゆっくりと取り崩していって10万円、25万円、25万円、25万円、15万円ずつ各事業年度で経費になっていきます。

簿記を勉強しはじめたころに最初につまづいたのがこのあたりの話でした。

また法人税法の勉強をしているときにも圧縮記帳の話などが絡んできてややこしいなぁという印象はありましたが、原則としてはゆっくり経費になるんだということです。

減価償却の手続きは各固定資産について法定耐用年数というものと減価償却の方法が定められていてそれに沿って計上します。

ちなみに京セラ創業者の稲盛和夫さんは著書で、法定耐用年数に縛られる必要もないし現実に即していないということを書いておられましたね。

ここからが少し専門家以外のかたにはややこしいのですが、あくまでこの法定耐用年数は法人税法のルールに基づいてということになるので会計上はそれに従う必要はないということ。

ここは法人税法の勉強を始めたときに習う部分で別表調整すればよいということになります。このあたりは専門的すぎるので今回は本筋とはズレますし横に置いておきます。

減価償却ってこういうものなんだなというのが分かればここでは大丈夫です。

場合によっては計上しないケースもでてくる

では本題として、減価償却費を計上しないことはありかなしか。場合によっては計上しないケースもあるというのが個人的な意見です。

SNSで話題になっていたのは銀行に決算書を持って行ったときに減価償却していないように見えるとどうしてそういう処理をしているのか詳しく事情を聞くとか、銀行からの評価は下がるみたいな話でした。

もっと強い表現では粉飾だというかたもいらっしゃったようです。

企業会計においては減価償却するのが基本ですが、税務上においてはマストではなく、そこの部分がポイントなのではないかなと。

個人的には銀行に決算書を出すことがない会社であれば自由にやって良いのではないかなと考えています。

実際、今はないですが以前の勤め先の担当では繰越欠損金が多額にあるから減価償却費の計上を一時的に止めるというのは割とよく見かけました。

また、高額な海外メーカーの車両を法人で所有しており売却時に減価償却後1円だと多額に譲渡益が出る、むしろ買ったときより売ったときのほうが高く売れちゃうみたいなこともありますのでそういった場合には減価償却をしない、ということもありました。

ケースバイケースと言ってしまうとそれまでなのですが、銀行とお付き合いがないような会社の場合には自由でよいかなというのが私の個人的な印象です。

少なくとも勝手に税理士側で調整をする話ではなく社長の同意のもの、社長の希望に沿う形でということにはなります。

では銀行との付き合いがある会社が減価償却費を計上しないというのはどうか。

この場合、粉飾とまでは言われない印象が私個人としては強いですが、それでも銀行の担当者によっては減価償却を止めて利益調整しているとみられるでしょう。

減価償却を止めるということは利益が出ているように会計上は見えますので、わざわざそうしているのではないかと。

こういった場合には銀行の担当者対応としては減価償却したものとしての利益計算を向こうで勝手に決算書を修正する形で行っていることもあるようです。

そうなると減価償却してもしなくてもアチラ側で調整するなら一緒じゃないかと思うかもしれませんが、やはりなんで減価償却費を計上していないかという丁寧な説明は必要です。

繰越欠損金には使える期限があるのでそのためだ、というのならそれでよいので説明はしておくべきです。

決算書と一緒に法人の申告書を提出されても銀行員がそれを読み解くのが難しいケースというのはあり得ます。

であれば減価償却費を計上していない事情は説明しておいた方がよいでしょう。何も説明がないと銀行の担当者も困るでしょうし。

パスを出してシュートを決められなかったからといってどこに原因があるかはそれぞれの状況にもよります。パスが悪いのかシュートが悪いのか、両方なのか、キーパーの反応がよかったのか。

得てして銀行の担当者との行き違いや思い違いはコミュニケーション不足から発生しているように思います。

まとめ

減価償却費を計上しない処理は全く見ないかというとそういうわけでもないですし、面と向かって粉飾だろ!と言われることもいままではなかったです。

ただし本来は計上しているほうが望ましいでしょうから計上しない理由があるならきちんと説明しておくに越したことはないです。

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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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