相続税申告書に計上すべき「現金」の取り扱いと注意点

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おはようございます、京都の所属税理士のtakasagoです。

相続税の申告書はややこしい、自分で出来ない、とお考えの方も多いかと思います。

 

中小企業の経営者で同族株式などがある場合は、

プロ=税理士に任せたほうが良い場合もありますが、

そうでない方の場合はご自分で作成できるとぼくは考えています。

そんな自分で相続税申告書を作成したい方に向けて、

特に現金には注意して欲しいので、ポイントをまとめます。

 

目次

現金の計上漏れ

相続税申告の注意点については、当ブログでもお伝えしてきました。

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などなど。

 

こんなものまで、相続財産なの?

というお声は今でもよく耳にしますし、ご質問を受けます。

 

細かいようですが、

基本的にはモノがある以上は値段がある、というのが基本スタンスなので

価値がありそうならば計上する必要がある、

ぐらいの感覚のほうが計上漏れはないでしょう。

 

特に計上漏れしやすいのが、現金です。

 

現金については、亡くなった時点の

その亡くなったひとの現金です。

当たり前だろ、と言われそうですが(笑)

 

お財布の中に入っていたお金、

ご自宅に保管していたいわゆるタンス預金、

亡くなった日やその直前に銀行から引き出しておいた

葬式費用などに充てるためのお金、

誰か相続人が預かっていた現金、

これらはすべて現金として計上する必要があります。

 

お葬式費用については、

後で債務控除するので、トントンといえばトントンです。

 

ポイントは今はもうない、ではなくて、

亡くなった日に金融機関に預けていた分以外、

という点です。

 

よくあるのが、今はもう使ってしまって手元にない、

だから計上しなくてよい、という誤りです。

 

例えば、亡くなった当日にイロイロな支払いのために

50万円を亡くなったひとの口座から引き出しておいたとします。

 

相続税申告では残高証明書をつけることが多いですが、

残高証明書は亡くなった日が終了する時点の

残高が証明されています。

 

6月11日に預金残高1,000万円の口座から

50万円を奥様が引き出したとします。

残高証明書に記載されるその口座の残高は950万円です。

 

つまり申告書上は、預金950万円、現金50万円で計上します。

[alert title=”注意”]現金のうち、亡くなるまでに使っていた分があれば

その分は差し引きますが、そんなケースはあまりありません。[/alert]

 

相続税の税務調査で

最も指摘事項としてあがってくるのがこの現金です。

 

去年から今年にかけて、相続税の税務調査に何度も参加しましたが

ほぼ100%の確率で調査官から現金については聞かれました。

 

先日あった例でいうと、

お葬式費用をどこから支出したかで現金の計上額が変わりました。

流れとしては、

亡くなったひとの口座から葬式費用がでてない

(亡くなった後の出金にもない)

家族の口座から?を確認するとない。。。

税務調査で確認、手許現金からが判明

計上漏れ

(亡くなった時点では手元にあったので)

[memo title=”MEMO”]税理士側には家族の口座から支払いという返答が

申告書作成時にはあり、記録が残っていました。

家族名義の預金口座を確認できていればよかったのですが、

亡くなったひとはともかく、ご家族の預金口座の確認って

結構ハードル高いんですよね。

相続税を業務にする税理士さんならわかってもらえるかと。[/memo]

 

きちんと計上していても、結構細かく聞かれます(笑)

調査官が何を見て判断しているかというと

ズバリ亡くなったひとと、ご家族の預金の動きです。

預金通帳からの引き出し目的は?

相続税の税務調査の際には、

税務署は必ず亡くなったひととご家族の預金の動きを確認します。

 

これは、隠していても隠していなくても同じで、

金融機関に照会をかけて、強制的に10年分、場合によっては

記録が残っている分全部を金融機関に提出させます。

強権発動ですね(笑)

 

これは相続税の申告を提出している家族も、そうでない家族もです。

例えばお孫さんなどはむしろキツめに調査されます。

(名義預金の関係があるためです。詳しくはまたブログに書きます)

 

で、預金の照会をかけた資料を調査官はみて、

怪しいところをチェックしていきます。

 

どういう部分を見ていくかというと、

比較的おおきな入出金と、生活資金以外での引き出しと思われる出金です。

 

大きな入出金というと、大体50万円以上が目安です。

また毎月の生活資金以外での出金は、預金通帳をみれば

なんとなく分かりますし、分かってしまいます。

この50万円以上の入出金はどこに行ったのか、どこから入ってきたのか。

ここが大きなポイントです。

 

調査官の思考を想像してみると、

誰か家族の口座に入金になっていないか、

何かを買ったのであれば何を買ったのか、

それは今も残っているのか、

残っているなら価値があるものなのか、

相続財産として計上漏れしていないか、

大方、このような論理展開が税務調査の場面でもよく見受けられます。

 

何かモノに代わっているならば

説明を求められますし、領収書の有無などを確認されます。

 

ご家族の口座に入金になっているならば

資金使途はなにか、資金交流がないか

贈与税の申告はあるか、名義預金ではないか、

必ず確認されます。

 

ここで最もアウトな返答は

お金をもらったひとが、「知らない」とか「分からない」と

発言してしまうことです。

 

こうなると、税理士としても対処できません。

 

何故かというと

贈与というのは、口頭でも成立します。

要は「あげました」、「もらいました」で

贈与が成立するということです。

 

あげたであろうひと=亡くなったひとですから

ハナシを聞くことはもちろんできません。

 

もらったひとにハナシを聞いて

「知らない」、「分からない」と言ったとします。

すると、もらったことが「わかならい」のであれば

もらってない=贈与不成立。

贈与不成立なら、あげてない=預けてある

よって、その亡くなったひとの財産。

計上漏れ。

 

という流れで指摘されます。

残念ですが、過少申告です。

 

もらったことを知らないのであれば

相続財産として計上しておきましょう。

ウソはバレます。

 

また出金に目が行きがちですが

入金についてもどこからなのかは注意が必要です。

例えば、自宅にあった分をいれた、という場合。

 

調査官の心象としては

「ほんとにこれだけ?もっとあるんじゃないか?」

となります。

 

なので入出金の確認が必要なのです。

 

この現預金の確認は、申告書を提出する前に

必ずチェックしておきましょう。

いざ税務調査の時になってからでは遅いです。

 

というのも、税務調査は申告書を提出してから

およそ2年以内ぐらいに連絡があります。

提出後2年なので、場合によってはおよそ3年前の

現預金の確認をすることになります。

 

人間は忘れる生き物です。

都合が悪いことは特に、都合よく忘れます(笑)

 

申告書を提出する前にキチンと確認し、

記憶が鮮明なうちに記録を残しておくことが重要です。

まとめ

現金の確認はどこまでするか、

というのは相続担当の税理士としても悩みどころです。

場合によっては、責任回避のために

相続人=ご家族に誓約書まで書かせる税理士さんもいるとか。

 

現預金については指摘されると結構な金額を

税金としても持っていかれますので、

心配なコトがあればぜひ相続が得意な税理士さんに相談しましょう。

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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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