その財産はどこから来たの?名義財産のツッコミどころ。

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おはようございます、京都の所属税理士takasagoです。

相続の場面でよく聞く、名義〇〇。

名義預金とか、名義株式とかありますが、

大きなくくりで名義財産と呼んだりします。

名義財産と認定されると影響がかなり大きいので注意しましょう。

 

目次

名義財産とは

名義財産とは、簡単に言うと

名義は奥さんの名前だけど、ホントはご主人の財産、というイメージです。

 

このあたりの認定=税務署からの指摘については

財産の種類にもよるのですが結構イヤらしいものがあります。

 

例えば、旦那さんの財産が1億円で

奥さんの財産が5千万円だとします。

 

旦那さんが亡くなっても、奥さんが亡くなっても、

相続担当の税理士としては、その財産の形成要因は何か?というものが

非常に気になります。

 

亡くなった方が経営者でバリバリ働いていた、とか。

バブルの時に財産をうまく運用して増やした、とか。

両親から相続したもの、とか。

 

理由もなく財産が形成されることはありません。

何か理由があるはず。

 

税務署的なモノの見方をすると、

理由なき財産形成は、名義財産を疑ってきます。

まあそりゃそうですよね。

 

特に危険なのが、ご高齢の方で財産の形成要因が

「わからない」と発言してしまう場合。

 

こうなると贈与の主張はできません。

何故かというと、当ブログでも何度もお伝えしていますが、

贈与は「あげます」「もらいます」の口頭でも成立します。

 

なので、「わからない」→「もらってない」ので

贈与ではない、ということになりえます。

 

そうなると、その財産はどこから来たの?

京都風に言うと、どこから来はったん?と(笑)

その財産はどこから来たの?

財産の形成要因は様々ですし、イロイロな事情があるでしょう。

 

例えば、経営者だった場合、役員だった場合。

旦那さんも奥さんも、役員報酬を結構高額で取っていたと主張するのであれば

役員報酬が支払われていた期間の決算書・決算内訳書であったり。

 

また資産運用で増やしましたという場合。

証券会社の残高推移が分かる資料や、預金通帳の過去のモノ、

過去の所得税確定申告書とか。

 

贈与でもらいましたというのであれば

贈与契約書や、贈与証書、贈与税の申告書など

複数の客観的な証拠が必要です。

 

とにかく、財産の形成要因は説明できるようにしておくことが重要です。

 

相続税の調査というのは、申告期限から少なくとも1年ほどたってから

税務署から連絡があります。

 

そうなると、人間は都合の良い記憶をしていますので

都合の悪いコトは忘れてしまいます。

 

あとから説明の証拠を揃えるのはかなり大変なので、

相続税申告の時に、配偶者の財産形成要因を確認します。

 

仮に、財産形成要因が分からないとなって、

相続に強い税理士がみたときに、これは反証が難しいな、と感じた時には、

例えば奥さんの財産を一旦、名義財産と認定されそうな部分については

旦那さんに相続してもらうことも考慮します。

 

でも二次相続の税額が多くなったりすることもあるので

そのあたりはどこまでのリスクを許容できるか、

そのバランスをとることが必要です。

 

また、名義財産が疑われそうな場合には

相続人に方にしつこいぐらいに説明をします。

あとで聞いてませんと言われたりすると

税理士の説明責任が問われたりするので

相続人の方から一筆もらう税理士もいます。

どこまでするかに正解はありません。

 

税務調査になると、たとえ税理士であっても

フォローしきれない部分があるのは事実です。

相続税の税務調査は、ほかの税目とその性質が異なる部分があります。

 

法人税や所得税であれば、

万が一、税金の取り漏れがあっても、今後事業が続く限り、

どこかで取り返せる、という意識が多少なりとも働きます。

 

でも、相続税はその次はいつになるかはわかりません。

税務調査の際には、ある種、一発勝負の感があります。

なので税務署側でも資産課税部門は目つきが違うことがあります(笑)

 

相続税の税務調査で申告漏れが指摘されるケースでは

ただ単純に計上が漏れていました、というものよりも

圧倒的にこの名義財産が多いのです。

 

名前をただ単に書き換えるだけでは

ほぼ間違いなく税務署は補足してきます。

心配な事があれば、税理士に相談することをオススメします。

まとめ

相続税の税務調査は経験しなければその苛烈さは

なかなか理解しづらい部分があるかと思います。

亡くなった方の趣味や生い立ちから、前述の財産形成要因、

自宅の中をじっとりと見られたり、決して気持ちが良いものではありません。

隠し事をしていると、後ろめたさから、そのプレッシャーで

心身ともにかなり疲弊するそうです。

名義財産かも、と少しでも思うのであれば

かならず税理士に相談しましょう。

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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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