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医業未収の減らし方。組織対応編

チームワーク

おはようございます、京都の所属税理士takasagoです。

ぼくは前職で医療事務、いわゆる病院の事務方をやっていました。その医療事務の仕事はというと、患者さんの受付をして、電話を取り、会計をする、という病院の受付的ポジションです。

そんな業務のなかで最も神経を使うのが、レセプト請求とお会計です。要はおカネ回りですね。

特に病院の医業未収は深刻な問題です。ぼくがいた病院で取り組んでいた組織としての対応とマインドをお伝えします。

 

医業未収が発生する要因

医業未収はなぜ発生するのかを考えてみましょう。

レセプト請求ではなく患者さんからいただく窓口負担の未収というのは主に3種類に分けられます。

 

ひとつめは患者さんに持ち合わせがなく、支払いができない場合。

ふたつめは病院側で計算間違いがあってもらい忘れた場合。

みっつめは夜間・休日等でお預かり対応をした場合。

 

患者さんに持ち合わせがない場合、多くの病院では分割払いの同意書などを取って複数回にわたって収受することになるでしょう。

入院の時には入院費の支払いに関する誓約書を提出させる病院もあります。

 

また計算間違いがあった場合、それが判明した時点ですいませんがという連絡をし、次の来院時にいただくことが多いのではないでしょうか。

 

ひとつめとふたつめは、イメージがつきやすいと思いますが、問題はみっつめ。

現場にいてもイメージがわかないんですが、ぼく自身は簿記をやっていたのでよくわかりました。

 

みっつめはいわゆる預り金対応です。

預り金対応すると未収が残るというと???な医療事務の方もいらっしゃるでしょうが、会計に置き換えるとよくわかります。

 

(医業未収金)10,000(医業売上窓口負担分)10,000

(現金)5,000(預り金)5,000

となってしまうので、精算されるまでずっと未収金は未収金のままです。

 

医業未収金は病院を長く経営すればするほど、どんどん未回収で積みあがっていってしまい、最終的にはどこかのタイミングで貸し倒れ処理が必要になります。

一般企業で言うところの売掛金の回収可能性と同様に評価する必要があるからです。

 

医療法では正当な事由がなければ医療従事者は患者より診療を求められたとき拒むことはできない、となっています。

おカネがない人、持ち合わせがない人の診療をしないというのは正当な事由にはならないとされていますので、おカネを持っていなくても患者さんを診療する義務があります。

その点だけ見ても病院側には医業未収のリスクがあることをよく理解しておく必要があります。

組織対応でいこう

医業未収が発生する要因を考えてきましたが、発生した医業未収に対してどのように対応するか、というのは病院それぞれでルールが決まっているでしょう。

ぼくが勤めていた病院は当時、組織での対応にしていました。

 

相手が相手の場合もありますし、医業未収の対応って結構精神的な負担が大きいです。

医業未収担当を一人置いて対応させる、というのは組織としてもあまりよろしくないかと。

 

具体的に考えてみましょう。

ひとつめの患者さんの持ち合わせがない場合には、マニュアル対応で必ず複数人で対応するようにしましょう。

この場合、支払いが何回ぐらい滞ったら法的措置を取りますという文言をさり気なく入れておくと効果的です。

 

法的措置とは具体的に、保証人に請求をしたり、内容証明を送ったり、最終的には債権回収を弁護士に依頼したり、ということを指します。

お支払いがないとこういうことをしますよ、だからなるべく早く相談等に来てくださいねっていうスタンスが大切です。病院だってボランティアじゃないんですから。

 

ふたつめの計算間違いについては、その計算をした担当者に謝罪させて回収する、という対応が多いかと思いますが、それをすると誰も計算をしなくなります。

これについては異論もあるかもしれませんが、当番制にしておくと自分のミスを誰かがフォローしてくれている、誰かのミスを自分がフォローする、という相互関係になるので、計算間違いに起因するギスギスした人間関係を回避できるかと。

 

一番いいのはもちろん計算を間違えないコトですが、そうはいっても間違えることはあります。

間違えない対策も必要ですが、間違えた後の対応のほうも重要ですから、ここはひとつ当番制にしてみてはどうでしょうか?

 

特に計算担当者で毎日膨大に計算をしている場合には、間違いが起こる頻度としては高くなります。

いちいち計算担当者のみに責任を押し付けていては、その担当者はすぐにやめてしまうことでしょう。

 

みっつめの預り金対応については、預り金対応を極力やめる、というのが一番の対策です。

土日の退院時の入院費の精算や、夜間休日診療時の診療費については預り金対応のところもあるかと思いますが、医事職員の請求レベルを向上させて、できるだけ診療時・退院時に医療費を収受しましょう。

 

入院費については事前にわかっている場合には必ず事前に計算しておき、夜間休日診療も計算できる医事職員を配置しておくだけで医業未収金はかなり減少すると思います。

これもひとりだけに担当させるというのは物理的に無理な場合が多いので、組織で対応しましょう。

まとめ

医業未収の話はどこの医療機関でも規模の大小はあるでしょうが、かなり大きな問題になっています。

いわゆる債権回収業務なので楽しいことはありません、むしろイロイロなコトを言われたりで精神的に辛いコトのほうが多いでしょう。

そういう業務はなるべく組織で対応して個人の負担を減らす、というマインドが大切です。

マニュアルの整備、電子カルテオーダーの取り込み忘れを防ぐ措置をする、計算能力の向上、それらを組織的に取り組んでみましょう。