相続税は実態でみる。住民票だけ動かして同居になるか?

マイナンバーカード

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引っ越しをしました。住所が変わるとイロイロと手続きが必要です。

基本は区役所や警察署に出向く必要があり、面倒だなぁと。

面倒ではあるのですが、相続税の申告をやっていると住民票だけを動かして同居だと主張する人がたまにいます。その面倒を補って余りある同居のメリットがあるからです。

 

目次

オンラインでは住所変更できない

住所変更をしようと思うと市区町村役所に出向く必要があります。

今回、ぼくの場合は京都市内での移動ですから、移動先の区役所に出向いて手続きすれば事足ります。

 

出向いた先で転入届を記入し、免許証などの旧住所が確認できる身分証明書を添えて提出すれば簡単に住所変更はできます。

ここでふと疑問が。住所変更の際には新しい住所の確認はされないわけです。例えば賃貸借契約書の写しを提示させたりということもない。

 

どうやって新しい住所が本当の住所か確認しているんでしょうかね。

 

最近オンラインで古本やスノーボードの買取で免許証をアップロードしたのと同じく、免許証をアップロードできればオンラインで手続きできるのかなと思ったり。

 

これもマイナンバーカードがあればすべて解決すると個人的には思います。

おまけに免許証の記載事項変更(いわゆる住所の記載を変更すること)については、新しい住所が記載された住民票の写しか、新しい住所がわかる水道光熱費などの支払通知書などを提示すれば簡単に住所を変更できます。

 

ここでも新住所の賃貸契約書などは一切確認しないわけです。これもマイナンバーカードの住所変更をしておけばオンラインで出来そうなもんですが。

 

出向かなければいけないのは、免許証やマイナンバーカードそれ自体に新しい住所を勝手に記載するなということなのでしょう。

 

郵便の転居届は非常に簡単でした。日本郵便が提供しているe転居というサイトがありまして、ものの3分で登録完了しました。

e転居

 

1年間は転送されてくるのでコツコツと住所変更をしていくのみです。

 

相続税は実態をみる。住民票だけの移動はキケン

相続税の計算ではイロイロな特例があります。

亡くなったひとと同居しているコトで適用される小規模宅地の特例という特例があります。

 

同居しているのでそのまま居住用の不動産に課税するのはしのびないよねという優しい配慮から、相続税の計算上は居住用不動産の土地の価額を最大で330㎡まで80%の減額をできます。

 

例えば相続税評価額で1億円の土地が2,000万円まで課税対象を減額できるわけです。

この特例の効果は相当に大きく、可能であればみんながコレを狙いたい。

 

すると、「同居しているというのは住民票を移動させればいい」と考えてしまうひとが少なからず出てきてしまいます。そして非常に安易に「住民票だけ」移して特例が適用できると考える。

住民票の移動は前述のとおり非常に簡単に済ませられてしまうからです。

 

でもでも、ただ単に紙上だけで住民票を移動させて同居していると言えるかというと、答えは否です。

 

相続税は良くも悪くも実態課税。実際にはどうかというのがポイントです。

例えば東京で働く(←ここがポイント)息子氏が、京都の父親が住む家に住民票を移した場合には、同居と言えるでしょうか?

 

例えば息子氏が毎週のように京都に帰省して、父親の介護・看護・療養に励んでいた場合はどうか。

これはあくまで一時的なことであって、息子氏の生活の本拠はどこか?というのが問題になります。

 

息子氏はあくまで介護・看護・療養のために通っているのであって、仕事をして給与をもらい、家族がいれば養っているのは「どこで」なのかを考えてみると、これはやはり東京でしょう。

 

厳しいと感じるかもしれませんが、生活の本拠や同居の実態というのは特例の適用関係上、詳細に伺うことがあります。

インターネットなどで相続に関するあいまい知識を仕入れてきて、実際に住民票だけ移していたかたをお見掛けするとやはり紙上だけで判断できないコトでもあるのです。

 

そこは丁寧にヒアリングをして本当に同居の実態があるのかどうか、特例が適用できるのかどうかを確認しておく必要があります。

それはお客さんのため(税務調査で否認されるリスクがある)ということと、税理士本人も説明義務を怠っているとしてお客さんからクレームを受ける可能性があること(クレームだけで済めばよいですが)の両方があるからです。

 

相続税申告の最初のスタートはヒアリングです。

本当のところはどうか?というのを丁寧に伺っておくことがとても大切です。(名義預金も同じです)

まとめ

住民票を移して改めて出向いてさえしまえば簡単に済むなぁというのが印象でした。

コレだけ簡単だと同居親族を狙いたくなる気持ちも分かります。課税価格が相当に下がると、すなわち税金が下がることを意味するからです。

 

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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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