京都の土地の財産評価はやりがい満載でたのしい

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おはようございます、京都のひとり税理士ジンノです。

相続税の申告をする際に不動産をお持ちであれば財産評価を行います。この財産評価は相続税を計算するために土地の価格をルールに則って計算することになります。

地図や登記簿謄本などを用いて計算していくのですが、実はぼくの住む京都は地籍調査率が全国ワースト1です。

財産評価は大変ですが、地籍が整っていないので税理士としてはやりがい満載です(笑)いま着手している相続税申告案件もそれなりにややこしいですがたのしいです。

 

目次

地籍調査とは?

地籍という言葉になじみがないと思いますので、まずは言葉の解説から。

 

地籍とは

いわば土地の戸籍

を指します。

 

土地の戸籍を調べて整えることを地籍調査といいますが、

一筆ごとの土地の所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量する調査する

のが具体的な内容となります。(国土交通省 地籍調査Webサイトより抜粋)

 

日本の国土は明治時代の地租改正時に作成された地図(公図)が元に記録(登記も含む)されていて、現在時点でおよそ半分の52%しか地籍調査が完了していません。

 

それにより何か不具合があるのかというと、

①境界や形状が公図と実際とが異なる場合がある

②行政事務の基礎資料になっている(固定資産税の算出など)

③登記簿謄本の内容が正確ではない可能性がある

などが主に考えられます。

 

不動産の売買などのときにおいても境界確定や地積の測量が必要になる可能性が高いですし、境界確定の際には隣地の所有者と揉め事に発展することもままあります。

 

予定通りに不動産を売却したり、建物を取り壊したりというスケジュールがどんどんと後ろ倒しになってしまいます。

 

相続の現場でもそれは同じで、キチンと地籍調査がはいっていて、登記簿謄本も公図も測量図も整っている場合とそうではない場合には財産評価の難易度が変わります。

 

地籍調査は地方自治体に一任されていて予算不足、調査人員不足で地域によっては全く進んでいない地域があります。

もしお住いの地域の地籍調査が完了しているかを調べてみたい場合には以下のサイトを参照してみてください。

[sanko href=”http://www.chiseki.go.jp/situation/index.html” title=”地籍調査の実施状況” site=”国土交通省 地籍調査Webサイト”]

ここから公図と現況のずれ公表システムに進んでいただくと、まんま公図と現況がズレている土地のmap表示を見ることができます。

 

相続が好きで財産評価業務にあたっていると、こういうことばかり調べてニヤニヤしていたりします。一種の職業病なのかもしれませんが(笑)

 

[box class=”box29″ title=”サービスメニューはこちら”]

[/box]

京都の場合、公図は全くあてにならない

では京都の場合はどうか、具体的にみてみましょう。

 

地籍調査をチェックする際には地籍調査進捗率というのがひとつの指標になります。

地籍調査進捗率は、調査済面積/要調査面積の割合になりますが、これが全国平均が52%でおよそ半分。

全国の調査進捗状況がグラフになっています。

都道府県 順位 進捗率(%)
全国 52
沖縄 1 99
佐賀 1 99
青森 3 93
岩手 4 91
宮城 5 89
岡山 6 85
香川 6 85
熊本 8 83
愛媛 9 81
鹿児島 10 79
福岡 11 75
宮崎 12 69
茨城 13 67
長崎 14 66
北海道 15 63
大分 16 62
山口 16 62
秋田 18 61
福島 18 61
高知 20 56
広島 21 53
島根 22 51
山形 23 49
和歌山 24 44
長野 25 39
群馬 26 37
徳島 26 37
新潟 28 34
埼玉 29 32
鳥取 30 31
山梨 31 30
富山 32 29
兵庫 33 26
静岡 34 25
栃木 35 23
東京 35 23
岐阜 37 17
石川 38 15
千葉 38 15
福井 40 14
神奈川 40 14
滋賀 40 14
愛知 43 13
奈良 44 12
大阪 45 11
三重 46 10
京都 47 8

※出典 国土交通省調べ

 

みなさんの住むところは何位でしたか?人口密集・建物密集が過度な都市部のほうが地籍調査が進まない傾向にあります(建物が多いほうが調査自体が大変で人口密集していると所有権者が複数になったり、隣地として接する土地が多いのかなと想像します)。

 

地籍調査が進めば進むほど、先ほど例に挙げた登記簿謄本の地目や地積、公図の正確性というのはもちろんあがりますし、固定資産税なんかもより適切なモノになると思われます。(地籍という意味で、です)

 

そして、注目のわが京都は47都道府県唯一の8%、一桁です。不名誉ですね。

 

特に京都市内は町家に代表される建築年数の古い建物が多く、また土地の形状としてもいわゆるウナギの寝床のような土地の形状が多くあります。セットバック対象の道路も数多く偏在しています。

 

財産評価的に言うと、無道路地であったり接道義務を満たしていない宅地が多くあり、そもそも公図自体の信頼性が非常に低いので、実地での土地の確認、形状、現況の使途の確認は必須です。

 

加えて航空写真で土地の形状を確認したり、土地家屋調査士さんにお願いして仮測量をしてもらうことも検討しなければならないケースもあります。

 

財産評価上は必ずしも測量による地積の確認は必要ではなく、課税時期における実際の面積による評価をすればよいので、境界があいまいであったり登記簿地積と実際地積が大きく違う場合は費用との兼ね合いで測量依頼を検討します。

 

実際問題としてぼくじしんは数百件の土地の財産評価をしてきましたが、公図のみで財産評価をしたケースはありません。

それはやはり公図と現況の違いが京都の場合は特に大きく、縄伸び(登記簿地積<実際地積)や縄縮み(登記簿地積>実際地積)もあり、公図上は土地があるように見えるけど実際にはどこだ?ということもままあり評価上は公図のみだとかなり不正確になるからです。

 

でもぼく自身は税理士としての仕事のやりがいや楽しさというのが実は財産評価にはあって、どれぐらい評価額が下がるかな(単純に地積に路線価を乗じて計算する価格から適切な財産評価額に、という意味です)、評価額の減額要素はほかに無いかな、とコツコツ調べていくことは非常に楽しいです。

 

結果的に適切な財産評価額が計算できれば、相続人の方に喜んでいただけますし、税理士に依頼した価値を感じてもらいやすいのかなとも思っています。

まとめ

地籍調査は土地家屋調査士に一任して予算を付ければどんどん進むのかなと。

財産評価というと難しいイメージがあるかもしれませんが、難しいと同時にやりがいもぼく自身は感じています。

京都ならではかもしれませんが。

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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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