ひとり税理士のバックアップ問題

バックアップ体制

おはようございます、京都の若ハゲ税理士ジンノです。

先日、自分の遺言について考えていることを書きましたが、Twitterで「ひとり税理士は万が一があったらお客様にとても迷惑がかかると思うがその辺はどう思っているのか」という趣旨のtweetを見かけました。

確かに自分に万が一があって、お客様の対応が出来なくなった状態(死亡や病気やケガで意思確認等ができない場合も含む)になったらどうするべきか、どうしておきたいか、要はバックアップについて考えています。

少しこの点について整理をしてみます。

 

目次

ひとり税理士に関わらず税理士が死んだらどうなる

税理士が死んでしまったとき、その資格自体は誰か、例えば相続人には引き継げません。この点はとても大事で、一身専属と呼ばれる民法の用語になります。

 

つまりジンノが死んでも誰にもそのジンノの税理士である権利は引き継がれないということです。

 

税理士の資格そのものは取得後に例えば何かをやらかして資格停止処分になったり除名処分等になったりする場合を除いて、会費を払っていれば死ぬまで税理士として仕事ができる身分となります。(実際に実務が出来るかどうかではなく、税理士として仕事ができるという意味です)

 

税理士がひとりで活動していようといまいと亡くなればその時点で税理士資格は停止します。

 

大きな組織、例えば税理士法人との顧問契約であれば他に税理士が複数人いるので税理士法人が解散(税理士法人は税理士2人以上が必要)した場合でももう一人の税理士が後を引き継ぐことは可能でしょう。

 

中小零細の税理士事務所ですと税理士がひとりでパートなどの職員さんが3~4人というところも特段珍しくはなく、こういった場合はどうするのか。税理士はひとりなわけですからひとり税理士の場合と大差ないように思います。つまり税理士交代となるということです。

 

冒頭で顧問税理士にもし万が一があったときに顧問先はどうするのか、税理士がその税理士事務所にひとりの場合は無資格の職員が何人いようとも誰も税理士事務所の顧客を引き継ぐことはできません。

 

税理士として現役で亡くなった場合や顧問先を持ったまま万が一があった場合には都市部ではない田舎の税理士の場合には、税理士会の支部で後を引き継ぐ税理士さんを探すケースもあるそうです。

 

これは個人的な感想ですが大きい事務所だから、税理士法人だから引き継ぎは全く問題ないかというとそういうことは決してありません。

むしろ税理士事務所によっては担当者の業務が属人的で、要はその担当者しか分からない顧問先のこと、が山ほどあります。

 

所属している税理士や所長でさえもよく顧客のことが分かっていない、何でこのような処理をしたのかわからない、ということは往々にしてあります。

 

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ひとりであるリスクを理解しておく

ではひとり税理士のバックアップ問題はどのようなリスクマネジメントができるでしょうか。

 

もし明日死んだらどうしようとは確かに思いますがそれは顧問先も同様です。

ひとり税理士側はひとりで税理士業をやっている状態というリスクを真摯に受け止めるべきだし、お客様にもひとり税理士が顧問をしていることはリスクであるけれども、それでもその税理士に頼みたいから頼んでいるんだということを理解しておいてほしいとは思います。

 

お互いにリスクがあるということについてぼくの場合は契約書にお客様側も契約が解除できるように以下のような文言を入れさせてもらっています。

乙において、病気その他の理由により委嘱事項の遂行が不可能となったとき

乙というのはぼくのことで、こういう事態になる可能性もありますのでお互いに契約解除が可能な内容になっています。

 

契約書に記載することもそうですが、自宅でひとりでやっている、ということもご理解いただいたうえでの契約となっています。

 

だからといってじゃあ「顧問税理士に急に何かあっても顧問先は困らないのか」という点は多分いまの状態ではそうはならないので、自分の健康はもとより事業を遂行できる環境を整えるということも大事になってきます。

 

もし万が一があっても顧問先を通じて次の税理士に顧問先の税務的、会計的な状況をお伝えしたいとは思っていて、そこが自分に出来る最低限のリスクマネジメントじゃないかなと最近は思うようになりました。

 

以前は自分は大丈夫だ、自分が事業を廃止するまでお客様に迷惑はかけない、と変な自信がありましたが、起きると思って準備をしておくのと起きないと思って準備をしないのとでは天と地の差があります。

 

自分に何かがあったとき、顧問税理士業務を継続することが困難になったとき、仮に資料がきちんと整理されていて状況を把握できるものを用意しておき、お客様が次の税理士を探しやすくしておくということも考えておきたいところです。

 

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バックアップをどう取ってお渡しするか

顧問先のデータ関係はそうやすやすと人に見せられるものではありません。税理士には守秘義務もあります。

 

もし自分に万が一があったときにではお客様にとっての自分のデータをどう取り扱う予定かどうかは気になるところでしょう。

これはまた後日考えたいところですが顧問先の会計データは誰のものかということ。

 

もし事業年度の途中まで月次の仕事が進んでいる場合、むしろ何かがあったときには決算でキリ良くという状態は稀で大概は事業年度の途中でしょうから、どこまでをバックアップしておけるか。

 

お客様とのやり取りや税務的な判断、相談内容などはカルテのようなものに記載しておくこと、紙の資料を預かっているならばファイリングをして適切に保管しておくこと、あとは会計データの保存、こういったことはコンテンツとしてのバックアップです。

 

これらをお客様にどう渡すかも気にしておきたいところで、例えば家族に頼むのか、信頼できる税理士さんや弁護士さんに願いしておくのか。

お願いするなら死後事務委任契約が必要かどうか。

 

もし信頼できる税理士さんがいたとしてお客様と相談の上引き継いでもらえるのであればそれでよい気もします。

そういった税理士さんを探すのであれば同世代か同世代以下のほうが寿命という点を考えると良い気もしますがなかなかうまくはいかないでしょう。

 

それでも自分に万が一があったときに少なくともどのようにお客様に今自分が持っているお客様に関するデータや資料を返却、引き渡しをするかは考えたいなと。

特にぼくの場合は配偶者もいませんし、そういうことを頼めそうな自分より年が下の税理士というのが近くで見当たりませんので余計にかもしれません。

 



まとめ

とりとめもない感じになってしまいましたが考えておきたいことではありますのでアウトプットして整理をしました。

・自分に万が一があったときの手当てをしておく

・どのようにお客様にそれを渡してもらうのか、税理士さんなどを探すのか、死後事務委任契約も考えるのか

・お客様にも再度リスクがあることをご理解いただく

これらのそれぞれをもう少し詰めて考えていきたいところです。

 

もし記事を読んで「役に立った!」「おもしろかった!」と感じていただけたなら、とても嬉しいです。

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※カツラなど目につくやもしれませんが、もし買っていただいたらかぶります。

 



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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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