以前メルマガで、性善説でお客様を見るかどうか、という話を書きました。私はどちらかといえば性善説寄りです。それはいまも変わりません。
ただ、ひとりで事務所をやっていると、お金の話を避けて通れない場面があります。そのひとつが、顧問料や報酬の滞納です。
誰かを責めたい話ではありません。今日は、ひとり事務所としてこの話にどう向き合っているかを、少し書いてみます。
滞納は、たいてい悪意ではない
まず、これまでのことを書いておくと、お支払いが遅れることはありました。ただ、未回収になったものは、おかげさまでありません。
遅れの理由の多くは「うっかり」です。振込を忘れていた、口座を切り替えたタイミングで漏れていた、月末の忙しさで後回しになっていた。資金繰りが苦しい時期に、どうしても順番が後ろになることもあるでしょう。
私自身も払う側に立つことがあるので、その感覚はよくわかります。うっかりは、誰にでもあります。
遅れていることにご本人が気づいていない、ということも少なくありません。連絡してはじめて「すみません、漏れていました」となって、すぐにお振込いただける。それで済むなら、それがいちばんです。
だから、遅れがあったときに最初にするのは、責めることではなく「確認」です。
紹介に頼らない コンテンツ発信営業の仕事術(kindle本)
独立開業日誌: 独立3年目までの営業活動を中心に(kindle本)
振込が確認できなかったら、まず連絡する。それも早めに
振込が確認できなかったら、まずは連絡します。これは、できるだけ早く行うようにしています。
文面は事務的に、短く。「○月分の顧問料のお振込が確認できていないようです。ご確認いただけますか」と、期日を添えてお送りします。
早く連絡するのは、催促したいからというより、こじらせたくないからです。言い出しにくさから一か月、二か月と先延ばしにすると、金額も気まずさも積み上がっていきます。そうなってからのほうが、お互いに話しにくさが増していきます。
それに、遅れが一度あったくらいで、いきなり解約ということはありません。ただ、正直に言えば、気にはなります。
税理士は、お客様のお金周りがしっかり見えてしまう仕事です。顧問として、通帳の動きも売上の波も毎月見ています。
だからこそ「いま苦しい時期なのかもしれない」と察してしまうこともあるし、見えているのに何も言わずにいるのも落ち着きません。
なので連絡のときには、「何かご事情があるようでしたら、遠慮なくお知らせください」とひと言添えるようにしています。
疑いたくないから、仕組みで守る
性善説でいたいからこそ、気持ちだけに頼らないようにしています。
たとえば、契約のときに、お支払いの期日や、未払いが続いたときの扱いを決めておくこと。決めておかないと、その都度の感情で判断することになります。
言いにくいから黙っておく、気になるけれど様子を見る。そうやって判断を先延ばしにするのが、いちばんこじれる形です。
料金をはじめにすべてお見せしておくことも、そのひとつです。以前「価格の見せ方」の記事でも書きましたが、最初に見えていれば、あとで「こんなはずでは」となりにくい。
口座振替のように、払い忘れそのものが起きにくい方法を選ぶ、という手もあります。ただ私はお客様とのコミュニケーションのタイミングでもあるので毎月ご案内するようにしています。
こうした仕組みがあると、遅れがあったときに、その都度相手の気持ちを推し量って悩まなくてすみます。決めてあることを、決めてあるとおりに確認するだけです。
性善説か、性悪説か、の二択ではなく、性善説でいつづけるために仕組みを置いておく。いまの私は、そう考えています。
線を引くのは、ほかのお客様への誠実さでもある
ひとり事務所の時間は限られています。毎月きちんとお支払いくださっている方がいて、その方々との公平もあります。
遅れをなんとなくそのままにしておくのは、ある意味で毎月きちんとお支払いをしてくださるお客様への不誠実にもなってしまう。
それでも、事情を話していただければ、相談に乗る余地は残しておきたいと思っています。黙って止まってしまうより、ひと言いってもらえるほうが、ずっといい。
お金の話は、いまでも少し苦手です。 だからこそ、苦手なまま判断しなくてすむように、先に決めておくようにしています。
