中小企業の社長さんからご自身の退職金についてよくご相談を受けます。
注意すべき点が多いので、考えてみましょう。
いつやめるのか?
中小企業の社長さんは、仕事が好きで死ぬまで仕事をしたいという方も
中にはいらっしゃいますが、後継者がいればできれば引き継いでもらって
会社を存続してほしいという方も多いです。
ご相談を受けた際には、このような質問をします。
社長はいつまで仕事をしたいですか?いつ辞めれればベストですか?と。
例えば、後継者になりそうなお子さんがいる場合には、
お子さんの年齢が基準で、お子さんが30歳になったら社長業を譲りたいと言われたとすると、
仮にそれが今から20年後であればゴールが決まります。
このゴールが決まることがとても重要です。
会社の業績が順調であれば、20年後に退職金を支給するために
生命保険に加入して満期をうまく設定します。
また、業績が悪ければ、会社を引き継いでもらえるように、
業績改善の経営計画を立てたりします。
特に生命保険については、出口戦略が必要です。
出口=課税繰り延べ先の支出計画がなければ、ただ課税を繰り延べるだけです。
課税の繰り延べについては、後日書きたいと思います。
いくらもらえるのか?
中小企業のオーナーや社長さんは役員であることが大半です。
役員の退職金には役員在任期間の功労に対する報酬という側面があります。
ただし、法人税法上は不相当に高額な役員退職金は損金不算入(=費用にならない)となる可能性があり
合理的な金額であれば損金として認められます。
具体的な金額の算定方法は法人税法上には規定されていませんが、
合理的な金額としては、以下の算式が目安となります。
役員退職時の月額役員報酬×在任期間×功績倍率
問題は功績倍率です。
創業者であったりすると、その功績は多く見られたりしますが、
会社の状況に合わせた計算が必要です。
さらに、役員退職金を支給する場合には
役員退職金規定の整備が必要です。
個人事業主の場合には、小規模企業共済などを使うことが多いです。
意外と知られていない制度ですが、かなり節税効果の高い共済制度です。
確定申告の際などにお客様に提案すると、非常に喜ばれます。
まとめ
中小企業の社長さんにとって、会社の存続や事業承継は
いずれは必ず考えなければならない問題です。
退職金の支給は株価への影響も大きく、さまざまな面からの検討が必要です。
働き盛りの社長さんにこそ考えてほしい問題です。
急がないけれど重要な課題としての認識が必要です。