その贈与ちょっと待った!贈与する前に考えてほしい3つのこと

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Viscious-Speed / Pixabay

お客様からの相談で、贈与の事後相談、結構多いです。

なぜやったあとに相談するのか。。。

もどかしい気持ちでいっぱいになります。

贈与する前に考えてほしいコトを3つ、整理しました。

 

あげる相手は本当にそのひとで良いのか?

一般的には、お子さんに贈与するケースが圧倒的に多い。

これはこれでいいんですが、

相続税対策として贈与するならば、相手を考えておきたい。

 

というのも相続税の計算上、

亡くなったひとが生前に贈与した分は、亡くなった日から3年以内の分は

相続財産に足し戻して相続税を計算してね。っていう規定があります。

 

これは租税回避行為を防止するために出来た規定です。

この規定のポイントは、足し戻しの対象になるひとです。

 

贈与で財産をもらったひとが、「今回の相続で財産を取得するひと」に限定されます。

ウラを返せば、今回の相続で財産をもらわないひとに対して行われた贈与は

たとえ3年以内であっても足し戻しの対象にならない、ということです。

(一部の特例贈与、精算課税贈与を除きます)

 

相続で財産をもらう息子さんに贈与すると3年以内であれば足し戻し。

けれども息子さんの配偶者が相続で財産を取得しないのであれば

この息子さんのお嫁さんに贈与できれば、相続の課税関係から切り離せます。

 

息子さんに贈与したって、結局はその贈与財産をチェックしているのはお嫁さん、

何てケース、それこそ山ほどあります。

であれば、最初からそのお嫁さんに贈与したほうが良いケースも実は多いです。

 

ココだけのハナシですが(笑)

義理の両親の介護を献身的に支え、行ってくれるのは

子どもの配偶者であるコトは多いです。

日頃の感謝も込めて贈与してあげたら

それこそ息子に贈与するよりも、それはそれは喜ばれます(笑)

 

この規定は生前贈与加算、という規定ですが、

この規定のインパクトは結構大きいです。

仮に3年間コツコツと110万円ずつ、子ども3人に贈与していても

110万円×3人×3年=990万円が足し戻しの対象になります。

(贈与税が課税されているかどうかは関係ありません。

課税されている場合には、その贈与税は相続税から控除されます)

 

であれば切り離せたほうが断然有利の場合がありますので、

子どもの配偶者、または孫、に贈与することを検討してみましょう。

 

あげる額は本当にその金額で良いのか?

贈与税の非課税枠は110万円です。

この金額でコツコツと贈与している方も結構多い。

 

でもちょっと待って。

本当にその110万円贈与で相続税対策として有効ですか?

 

この質問をすると、たいてい

「やらないよりはやったほうがマシ」というお答えをいただきます。

 

せっかく贈与するという気持ちがあるなら

その効果を最大にしたほうがよいと、特に税金面では思うんですが。。。

 

この贈与の効果を最大にしようとすると比較しておきたいことがあります。

それは贈与税率と相続税率の比較です。

 

贈与税は相続税を補完する目的があり

同額の財産で比較すると贈与税率>相続税率となっています。

 

贈与税率は一対一の対応ですから、すぐにわかりますが、

果たして相続税対策をしている方で、ご自身の相続税率がどれくらいになりそうか

把握して贈与を計画的に行っているひとがいるか。

 

ぼくの印象では、

税理士がキッチリと相続税対策をしていれば、

この贈与税率と相続税率を比較しての贈与プランを策定できています。

(たまに税理士関与でも、( ゚д゚)とする贈与プランを見かけますが)

 

贈与をやみくもにしても、

トータルで見れば結局、相続税のほうが安かった。

なんて事態になる前に、相続税率をある程度の精度で計算して

贈与プランを策定することをオススメします。

 

証拠は残しているのか?

贈与税は黙っていてもバレない、申告は不要だ。

なんてコト言う相談者の方がたまにいらっしゃいます。

基本、年上の方に対して失礼ですが

ぼくの気分は、「黙れ小僧!!」です。(ごめんなさい(笑)さきに謝っておきます)

 

贈与単体ではバレないかもしれませんが、

相続税の調査があったとき、まとめて倍返しされます(笑)

マイナンバーが預金口座に紐づけされたら、それこそ贈与も根こそぎやられるでしょう。

 

イメージでいうと、

デコピンがビンタになって返ってくる感じです。

 

昨今の相続税の税務調査で一番やり玉に上がるのは

ズバリ現預金です。

 

ここを内容がキッチリ詰めれているかどうかで

相続税の調査の印象自体がガラッと変わります。

 

税理士はクライアントが嘘をついていると、(あまり)疑ったりしませんが

相続税の税務調査では、基本的に悪いことしてんじゃね?って感じです。

(これは年配の熟練調査官に多い印象です)

完全に性悪説です。

 

特に、何か隠していることがわかると

突然手のひらを返したように、その他の部分への追及も自然と厳しいモノに。

 

贈与契約自体は口頭で成立してしまう!ので

証拠をきっちり残しておいて、名義預金と言われる可能性を排除しましょう。

 

現金ではなく預金口座間で振り込む

→口座の記録で証拠をのこす

受贈者(財産をもらったひと)が自分で通帳と印鑑を管理する

→ホントは贈与してないんじゃ?という名義預金の可能性を排除する

贈与契約書を作成する

贈与契約書に公証人役場で確定日付を取る

不動産であれば登記を完了する

贈与税が発生するのであれば申告する

 

これらをしておけば、しておくほど、証拠は残っていきますので

この部分は是非手間を惜しまずやってほしいと、個人的にも考えます。

 

まとめ

贈与は手順を間違えたり、

認識を間違えると痛い目にあいます。

実行するその前に、税理士にぜひ相談しましょう。

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この記事を書いた人

ひとり税理士として独立開業した京都在住の税理士です。ひとり税理士としてチャレンジしていること、考えていることなどを発信していきます。

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