※Nick HillierによるUnsplashの写真
いとうせいこう著、「国境なき医師団」を見に行く、読了しました。
非常に秀逸な、また考えさせられるルポルタージュ、オススメです。
本の概略
[amazonjs asin=”4062208415″ locale=”JP” title=”「国境なき医師団」を見に行く”]
本の概略は簡単です。
著者いとうせいこうが、世界各地の国境なき医師団を見に行く。
きっかけは、著者自身が国境なき医師団に寄付をした関係で取材を受けた際に、
活動が外部にあまりにも広まっていない、
現場を見せてもらって原稿に書いて広めたい、
そう感じたことです。
国境なき医師団のWebサイトはこちらから
本書では国境なき医師団のことをMSF(=MEDECINS SANS FRONTIERES)と呼んでおり、
彼らスタッフも自身のことをMSFと称しているそうです。
著者自身は超多忙のクリエイターですが、
仕事の合間を縫って、世界各地の取材を受け入れてくれる地へ赴きます。
取材地ごとに章立てがされており、
ハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダを訪れます。
それぞれの場所で抱える課題は異なり、
それぞれで必要な活動は異なります。
その活動を現地で行うスタッフに取材をし、
感じたことを綴っていったのが本書です。
現地へ赴く下準備(=ワクチン接種)から、
移動の道中、帰りの飛行機と、著者の深い思索を追体験できます。
著者のスタッフを見つめる真摯な態度
著者がスタッフを見つめる真摯な態度は
ただただ尊敬に満ち溢れています。
そんななかからとても印象に残ったシーンを。
ハイチ編より、60歳を超えたドイツ人エンジニアの言葉。
それで60歳を超える頃から、ずっとMSFに参加したかった。
そろそろ誰かの役に立つ頃だと思ったんですよ。そして時が満ちた。私はここにいる。
この言葉は著者が自身と年が近いであろうスタッフに、
なぜMSFに参加したのか尋ねたときの返答です。
これまでも誰かの役に立ってきただろうに、
そして大切な家族もいただろうに。
果たして自分はこんな感情や動機を維持し続けて、さらに実際の行動に移せるだろうか、
そう感じさせられました。
ギリシャ編より、著者が難民の方を見て感じたこと。
明日、俺が彼らのようになっても不思議ではないのだ。
そこで著者は、MSFのスタッフが難民に対して
深い「敬意」を持ち、真摯な態度をとる理由に思い至ります。
著者もまた、難民の方に対してはもちろんのこと、
MSFのスタッフに対しても真摯な尊敬にあふれた態度で向き合い、
現地に行くことがかなわないぼくたちに、現場の状況・活動を教えてくれます。
決して安全ではないであろう地に、時間を作り遠路を行き、
本書を発表してくれた
いとうせいこうさん、どうもありがとうございました。
まとめ
国境なき医師団の名前は、
所得税の確定申告をしているとしばしば目にしていました。
ただ、どんな活動をしていて、どんなスタッフがいるのか、
知りませんでした。いや知ろうとしていませんでした。
国境なき医師団の活動を知りたいひと、興味があるひとは
ぜひ、本書をお読みいただければと思います、オススメです。
ふるさと納税に加えて、今月からMSFを微力ですが定額支援させていただきます。