こんにちは、京都の所属税理士takasago(@co_develop)です。
経理や税理士の仕事は今後10年でなくなる仕事とか言われていますが、みなさんは本当にそう思いますか?特にIT技術の進化は今ようやく税理士業界・経理業界に押し寄せています。
もし経理の仕事はAIにとって変わられる、そう思うなら経理という仕事の選択肢は外したほうがいいですが、本当にそうなのか?
本日ご紹介するフリーランスの経理の方が書いたこの本には、今後の経理人が生き残るためのヒントが散りばめられています。
AI経理の未来予想図
この本はフリーランス経理の前田康二郎さんというかたが著者ですが、フリーランスの経理ってどんなことするの?というのがぼくの最初の素朴な疑問でした。
どうやら組織に属することなく、フリーランスいわば流しで経理を受注し、改善し、提案することを生業とするかたをフリーランスの経理というようです。
このフリーランスの経理の方は、要は経理の最前線に身を置く方です。税理士とはまた違った視点で経理業務、業界を見てきておられます。
経理の最前線を走るそのフリーランスの経理である著者さんが、AI経理がもたらすもの、対応できるもの、できないものを本書では解説しておられます。
また経理業務が効率化されると経理担当者が必要なくなる、リストラの対象になるなどと安易に捉えることに警鐘を鳴らしてもおられます。
具体的な経理方法を学ぶというよりは、AI経理のもたらす未来を想像している、またこうあってほしいという希望がそこかしこに散りばめられています。
本書で言うところのAIとは、いわゆる人工知能(AI)のほかに、クラウド、フィンテック、IoT、RPA(Robotic Process Automation)などのIT技術全般を指しています。
近年ではマネーフォワードやfreeeに代表されるクラウド会計が台頭し、また導入されていますが、税理士業界に身を置くものとして、ぼく自身はIT技術の発達は嬉しいモノのひとつです。
ひとり税理士を目指し独立するぼくにとって、会計業界に関するIT技術の発達はそのままぼくの仕事をサポートしてくれる技術の進歩に他ならないと考えているからです。
ただし、ぼくがそれらを使いこなせることが大前提ですから、知識や技術の習得をはかり、知恵としてお客様に提供できるように精進する必要があります。
本書では経理担当者に今後求められる資質や能力について言及されているのですが、とくにぼくが共感したのが、経理業務は例外処理の連続、という部分でした。
普段のルーチン業務については、自動化や合理化により効率化をはかることができるのでしょうが、経理のお仕事って例外の出来事をどう処理するかにその役割がかかっている部分もあります。
また数字を読み解く、数字や金額に違和感を感じる、社長や上層部の経営判断に資する情報を提供する、というのも必要な能力です。
経理担当者の未来予想図も描かれているのでぜひ手に取ってみてください。とても勉強になりましたし考えさせられました。
IT業界のABCDとは
ハナシは少し変わって、先日同僚からこんな話を聞きました。
IT業界におけるABCDを知っているかと。残念ながらぼくはパッと思い浮かばなかったのですが、みなさんはどうでしょうか。
答えは
A=AI(人工知能)
B=Blockchain(分散型ネットワーク)
C=Cloud(インターネット上でのデータ保存やサービス)
D=(Big)Data(大容量のデジタルデータ)
を指すそうです。
これらのIT技術は日々進歩しており、会計業界でもクラウド会計ソフトが台頭しています。
しかし、クラウド会計も使い方や導入の仕方によっては、足かせになることもあります。
先日もお客様からクラウド会計が遅い、という一見矛盾するような相談がありました。
クラウド会計というとデータの取り込みや同期により仕訳を入力することなく記帳業務ができるイメージかと思います。
ただそのお客さまでは、月に800仕訳のうちの多くを手入力していたそうで、クラウド会計で手入力を大量にするといちいちクラウド上にデータを入力し読み込んでいるので、かなり遅く感じてしまったようです。
大量に手入力することで記帳業務を完結させている場合には、ネット口座からのデータ取り込みやExcelの取り込みを考えてみたほうがよく、さらにいうと手入力の文化がキチンと醸成されている場合にはクラウド型ではなくインストール型(従来の会計ソフト)のほうが相性が良さそうです。
便利だと聞いたからという理由でクラウド会計を導入すると想像以上に時間を要することになりますし、クラウド会計を導入すればチェックが減ると思っているかたも多いですが、むしろチェック作業自体は増える可能性が高いです。
初期設定や導入範囲を見極めつつ、本当に経理業務が効率化するかを検討したうえでクラウド会計などを導入する必要があるでしょう。
まとめ
クラウド会計というと響きがいいのか、時々何も考えず導入しようとする方がいらっしゃいますが、人間と同じく業種や経理業務の内容・範囲との相性がクラウド会計にもあります。
やってみなければわからないこともありますが、やってみなくてもわかることもあるので、そのあたりの見極めは慎重にすべきかなと思う次第です。
クラウド会計に代表される会計関係のAI技術を導入する前に本書を読んでおくことをオススメします。