今回は水滸伝(北方謙三著)について、
その魅力・面白さをお伝えしたいと思います。
ストーリー
明代の中国で書かれた伝記歴史小説で四大奇書のひとつに数えられます。
中国の北宋時代(960~1127年)の末期に、世の中の不正を糺そうと
108人の漢(おとこ)たちが、梁山泊に集まって戦いを繰り広げる。
ものすごく短く説明するとこうなりますが、
実際は非常に長い物語になります。
水滸伝はいろいろな作家さんが書いていますが、
なかでも人気なのが北方謙三Versionです。
北方謙三Versionの水滸伝を「北方水滸伝」と呼んだりしますので、
ここでは北方水滸伝と呼ばせていただきます。
北方水滸伝は全体の構成を練り直し、独自の解釈が加わっていますので
原典とは別のものと考えたいただいたほうが良いです。
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魅力その①登場人物のキャラクターが秀逸
108人集まってくる漢たちは、それぞれに事情があります。
なかなかすべてを覚えるのは難しいのですが、
それぞれのキャラクターにストーリーがあり、考え方があり、
登場人物に非常にリアリティがあります。
北方謙三さん自身も思い入れがあったようで、
主要キャラクターが死んでしまうときは、泣きながら原稿を書いたそうです。
読んで頂ければ、ご自身が感情移入できる登場人物に出会えます。
魅力その②戦とは戦場のみで行うものではない
梁山泊が朝廷側と戦うと聞くと、戦争シーンばかりと思われるかもしれませんが
北方水滸伝では、戦うために必要な物、お金・資金などについても詳細に記述されています。
特に、戦争をするにはお金が必要になりますが、
北宋末期には貴重品で、生産から流通まで厳格に管理されていた
「塩」を闇に流すことで、資金を蓄えます。
その他にも流通や通信、兵站を担う人物も多く出てきて、
戦闘には不向きでも、それぞれに得意なことを活かして、それぞれが戦いを担います。
走るのが早い人は、飛脚を担って、中国全土の同志を結びつけますし、
商才がある人は、兵糧を買い集めたり、
騎馬隊が使う軍馬の仕入れや、治療をしたりする人もいます。
ご自身の職業に重ねることが出来る登場人物に出会えます。
魅力その③それぞれの立場での視点
梁山泊が朝廷を倒す、というただの勧善懲悪のお話ではありません。
特に、朝廷側の登場人物がこう言います。
国を倒すと言うが、改革ではなぜダメなのか?と。
北方水滸伝では梁山泊側だけではなく、朝廷側からの視点が多く盛り込まれています。
1つの事象について、相互の考え方、やり方が随所にでてきて、
なるほどと思わせられる部分も多々あります。
どちらが正しいのか。それは置かれた立場で全く異なることになります。
おわりに
税理士の仕事と全く関係ないと言われてみればそうなのですが、
税理士という仕事は、お客様に「気付き」を促す職業でもあります。
また、決算書や日々の試算表・帳票を、
経営者や経理担当者とは異なる視点で見ることが出来るのも税理士です。
今後もビジネス書に限らずお勧めの本を紹介したいと考えております。