知ってるひとは知っている。
知らないひとはぜひ手に取ってもらえれば。
真保裕一さん著の「奪取」オススメです。
真保裕一さん代表作
真保裕一さんは、推理小説やサスペンスものを中心に、
時代小説や経済小説にも取り組んでいる、江戸川乱歩賞受賞の作家さんです。
映像化された作品も多く、
ホワイトアウト
アマルフィ(外交官・黒田康作シリーズ)
アンダルシア
など。
(織田裕二さんと縁があるんでしょうか?)
また意外と知られていませんが、
有名なアニメ作品の脚本も担当されております。
みんな大好きドラえもんです(笑)
アニメ作品から堅めの経済小説まで
幅広く手掛けられるそのジャンルの広さも魅力の一つです。
そんな中でも初期の作品、「奪取」はかなりオススメです。
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紙幣=お札の精巧さをご存知ですか?
「奪取」のハナシの本筋は、ズバリ偽札づくりです。
友人が作ってしまった借金を返す羽目になり、
考え出したのが偽札づくり。
裏社会とのかかわりもあり、涙あり笑いありです。
それも中途半端なコピーではなく、
偽札を偽札としてではなく、ホンモノにできるだけ近づけようとします。
印刷をかける際の版の作成から、
紙幣の質感を再現するための紙づくりなど。
もはや、偽札ではなくホンモノをつくる勢いです。
日本のお札には様々な偽造防止の技術が盛り込まれています。
たとえば、千円札であれば、
野口英世が描かれているその裏面の右上。
1000の数字の下にYENと描かれています。
このYEN。
手に取っている状態ではわかりませんが、
虫眼鏡などで文字の中をよく見てみてください。
NIPPONGINKO=日本銀行と描かれているのが読み取れます!
他にもイロイロなところに
NIPPONGINKOと描かれていますので、
手にとってまじまじと眺めてみましょう。
模様だと思っていたところが実は文字だったという箇所が結構あります。
文字の細かさ(=マイクロ文字といいます)だけでなく、
紙幣そのものへの凹凸や透かし、ホログラム、特殊発光インキなど
日本の紙幣印刷技術は世界でも最高峰といわれています。
通貨は信用力
巷で話題の仮想通貨。これも一種の貨幣ですが、千円札のような形はありません。
それでも信用があるから、取引され価格が変遷します。
これ自体は、価値が分からないひとからすると
ただの暗号でしかないです。
日本銀行券の千円札も、価値が分からないひとがみると
ただの紙切れですが、日本という国家がその「信用力」で価値を担保し
みんながそれを無条件に信用するから成り立っています。
昨年話題になったサピエンス全史でも貨幣について言及されています。
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まとめ
お金の作り方、そこに施されている技術を体感するには絶好の本が「奪取」です。
読み進めれば最後にどんでん返しも待っています。
普段手にするお金をよく見るきっかけにきっとなります、オススメです。
いつか、大阪の造幣局の見学に行きたいと考えています。